若を奈何せん
テスト期間真っ只中に小説執筆して投稿ってどうなんだろう。
Artifact
―――――――生きる意味とは、生きた意味を探すことだ。
第一話
若を奈何せん
「第二防衛線突破、主砲蒸発。敵性対象、現在も進行中。」
薄暗い室内に、キーボードを叩く音と無機質な電子音が駆け巡る。
「能力者はまだか!」
「未だです!十秒前の通信の瞬間に本部を立ったそうで、到着時刻は只今より十五分後と推定!その間の敵性対象群の進行、本西部作戦大隊基地に只今より十分後に到来!無理です、間に合いません!」
瞬間、地震が襲った。衝撃に建物が不快な轟音と、砂を落とすような音を立てる。
「続いて、準主砲も蒸発!このままではニューヨーク条約が崩壊します!」
部屋の中央、胸に輝かしい勲章を幾つも付け立つ小太りな男は、呻き声をだしながら考える。考える。時折脳裏によぎる死への恐怖を押し込めながら、震える手を握りしめながら、頭の中に幾通りもの作戦を見出し、棄却する。やがて一分を費やし、結論をひねり堕した彼は、然し苦々しい顔で言い放った。
「ええい、こうなっては形振り構ってられん!A班、本基地のデータ保護システム起動!爆破レバーは管制室中央に寄こせ!B班、最大火力弾道ミサイルとアイギスの展開、『七』の使用凍結を管理者権限でアンフリーズ!発射は此方の合図まで待機!」
「なっ、大隊長!『七』は、ノヴァは駄目です!データ保護システムはまだいいですけど、周囲にどれだけの被害が出るか…!」
目にこぼれる寸前まで涙をため、その眼球も零れる涙と共に転がり落ちてしまいそうな程目をかっ開いた管制員が引き止める。その手は矢張り震えており、些か恐怖してるのが見て取れた。
「…此処まで出しての作戦成功確率は。」
男の問いにもう一人の管制員が応える。
「五十・一パーセントです。」
「…レバー一つで死ねる覚悟をしておけ。」
そう一言吐き捨てた男は絶望しきった顔で机に手を付いた。管制員達にも沈黙が漂う。
何処かから聞こえる鼻をすする音と嗚咽と、まだ希望を見出さんと手元のコンピュータを叩く音だけは、良く聞こえた。
沈黙を蹴り飛ばしたたのは此処にいるはずのない、少年の声だった。
『はぁい、西部作戦基地の皆さん!』
声に驚いたのか、恐怖なのか、其れとも、希望を持ったのか。数人の管制員が地を見る顔を上げた。
そのうちの一人が、手元のコンピュータを見て、強張った声を上げた。
「西部作戦基地通信回線に何者かが侵入!映像が送信されてきます!映像回復まで、5,4,3,2,1.…。」
初投稿初執筆です。ここまでありがとうございました。この後も続くので、ご愛顧ください。