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29話 あれれ~おかしいぞ~攻撃が当たらないなー!

 最近、アーケオプスが山に住みつき困っています。アーケオプスのせいで、山に住む動物が奴に喰われ熊や猿が逃げ、人里に降りています。先日、人里に降りてきた動物を駆除しましたがその後も人里に逃れてくる動物が後を絶ちません。元凶のアーケオプスを討伐しようにもすぐにこちらに気付き逃げてしまいます。どうか、アーケオプスを討伐していただけないでしょうか?


備考…アーケオプスは山で一番大きい大木を縄張りとし、いつもその木にとまっています。


(依頼者……匿名希望)



「……なるほどー。これはたいへんですね。討伐してあげましょう」


 クエストフォンで依頼文を読んでいたルノアがのんきに言う。


「……それで、どんな能力かわかりそうか?」


 ユウキはルノアに訊く。ちらりと視線をアーケオプス―大木にとまっている鳥を見る。実際には結構な距離があり、何とか肉眼で確認できるほどだ。


「ええ。いけそうです……《神ノ眼》!!」


 ルノアがアーケオプスに視線を向けると、その赤い瞳が輝きだす。


「……強さの総合としてはランクD相当。そこまでの強さではありません。ただし、俊敏はS相当。……さらに近くの生命体を察知する能力。遠距離攻撃など無生物の接近には気がつくことはできないようです。こちらがあと10歩くらい近づけば、気が付くでしょう。が、今のところは気が付かれてはいないようです」


「わかった。もういいぞ、ルノア……で、問題はどうやってあいつを倒すかだ」


 ルノアの瞳の輝きが止むと、ユウキはアーケオプスがいる方を睨む。とてもここからじゃ攻撃は届きそうにない。


「んー。どうしようね。私の魔法じゃ、ここからだと射程範囲外だよ」


 ミナが指を口に添えながら困ったような表情をする。


「……一つ、思ったんだが、どうしてアーケオプスには遠距離攻撃だけは有効なんだ?」


 ユウキはルノアに訊く。


「アーケオプスは近くの生命体を感じ取れることが出来るんですよ。無生物には反応しないからこそ射撃や魔法のような遠距離攻撃なら有効なんです。というか、さっき説明したじゃないですか。要するに遠距離攻撃は気付かれないか——」


 ルノアはそこまで言うとはっとしたように口をつぐむ。思ったよりルノアは賢い。どうやら俺が考えていることが分かったらしい。ユウキはそう察し、思わずほくそ笑む。


「……気づかれる前に近づいて倒そうということですか?」

「そういうことだ」

「でも……それが可能なのはアーケオプスに一瞬で近づけるくらいのスピードがないと無理ですよ。普通に無理じゃないです?それともどこかのサイヤな戦闘狂のごとく瞬間移動でもやって見せるとでも?」

「ああ、と言いたいところだがそんなチートな力は今のところ俺にはないな……。無理か」


 ユウキは肩をすくめて見せる。


「キースはどうなんです?本当に無理なんですか?」

「……無理だな。ウィーブスと戦っていた時の魔王状態ならいけるが……今の状態なら無理だ。ここで魔王化すればいけるだろうがそれはできない相談だな」


 その言葉を訊き、ユウキはため息をつく。なんとも不便なもんだ。そう思う。


「とりあえず、やるだけやってみるか。……どうせ、当たらんだろうが、俺はここから魔法を放つ。ミナも援護を頼む。ルノアはキースに身体強化を。キースは俺たちが魔法を合図に全速力でアーケオプスに接近して攻撃を。以上だ」


 ユウキは淡々と告げる。だめもとでやってみるしかないと思ったのだろう。だが、ユウキの明らかに無駄だと悟ったような目をしていたことにミナは一人、気が付くのだった。




「《獄炎》‼」

「《雷電》‼」

 ユウキとミナが同時に魔法を発動する。それと同時にキースが駆けだす。速い。並の人間では目視するのは困難だろう。キースが駆ける速度とユウキとミナの魔法が飛んでいく速さはほぼ同じだ。だが、次第に魔法の速度は落ち、やがて消滅する。


「ちっ……!」


 キースは右手を突き出す。


「《黒炎》!!」


 黒い炎がすさまじい速度でアーケオプス目掛け飛んでいく。そして、アーケオプスに直撃しようという瞬間


「グギャアア!」


アーケオプスが雄叫びを上げ、上空へと飛ぶ。黒炎はアーケオプスには当たらず、軌道を地面へと変えて消滅してしまう。


「クソっ……」


アーケオプスが地面へと降りてくる。


「うらあ!!」


キースはアーケオプスに近づき、手で捕まえようとする。だが、一瞬でアーケオプスは上昇し、逃げられる。


「……………やっぱり、駄目か」


 その様子を遠くから眺めていたユウキは静かにため息をついた。


 その後、何度かアーケオプスの討伐に挑戦したが、一度も攻撃は当たることは無かった。










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