勇者との戦闘
王らしき人の命令により俺は強制的に兵の訓練所ヘ連れてこられ、ハルトマンという名の子と模擬戦をすることになった。
「さっき紹介があったように僕の名はハルトマン。勇者の家系だ。一騎当千と名高い召喚者と一戦交えれるとは光栄だ。君の使用する武器はなんだい?用意させよう。」
勇者という気になるワードがあるがそれよりも模擬戦を本当にするということに顔を青ざめていた。
「あの…僕生まれてこの方、本当の戦闘なんてしたことないんですけど…」
「え?…そんなはずは…君は世界の中でも強者と呼ばれているはずだ。」
(それはゲームの話だろ!)と叫びたくなったがあえて飲み込んだ。
流石にそれを言うとどんなめにあうかわからなかったからだ。
仕方なく使えるかどうか分からないゲームの技術を使うことにした。
「じゃあ槍を二本とナイフを」
「わかった。用意させよう。」
そうして俺に模擬戦用の槍とナイフが手渡された。
ハルトマンが「さあ始めようか」と言いつつ木剣を片手で構えた。
俺も緊張しつつゲームの構えをした。
一瞬の静寂の後、俺は常套手段の片方の槍を投擲し突撃した。
投げた槍を勇者がいなしたタイミングで槍をふるうもかわされてしまった。
自分の十八番を何でもないようにいなされたため俺は投げた槍を拾い手数で押しつぶすことにした。
しかし完全に見切られているようで全て防がれている。
そこで片方の槍を投げその槍をいなされている間に大きく振りかぶる。
そして振りかぶった槍を木剣にぶつけた瞬間槍から手を離しナイフを取り出し切りかかる。
しかし当たる直前に素早い身のこなしで回避されてしまった。
そして勇者が「面白い戦い方だね。だが僕には届かない。次はこっちのターンだよ。」と言い木剣を振りかぶった。
「チッ」と言いつつ槍を持ち直し何合か打ち合うと木剣に少しひびが入った。
それに気づき心の中でほくそ笑んだ。
彼は数少ない武器破壊を得意とした嫌がらせに特化するゲームスタイルであり、武器の種類ごとに武器破壊しやすいポイントやテクニックを熟知していた。
だからこそ彼は槍を大きめに振りかぶり初めから意図的に狙いハルトマンの力が一番かかるポイントを全力でたたき真っ二つにした。
ハルトマンが驚きの表情をあらわにするのをみて勝利を確信しもう片方の槍で突いた。
しかしこれも回避されてしまった。
そこで王らしき人が「勇者よ。そろそろ本気で攻撃したらどうだ?」と発言した。
「わかりました。陛下。ご期待に答えましょう。」
その言葉に驚愕する隙もなく勇者は詠唱し始めた。
「我が身にやどれ。天を走り地を焼く神の怒りよ。」と。
すると勇者の体が薄く黄色に光った
その瞬間ボスモンスターが奥義を出す前のような空気を感じ警戒しながら距離をとる。
しかしハルトマンは一歩踏み出したかと思うと次の瞬間には目の前に現れ目にも止まらぬ速度で槍に蹴りを入れられた。
当然槍は耐えられるはずもなく折れ俺の手もかなりしびれた。
すると王らしき人が「ふむ。勝負ありだな。」と言いつつ俺の体を肩に乗せ運んでいった。
意識が薄れる中見たのは「陛下!そのようなことは勇者殿にでも任せておればよいのです!」と言う貴族の慌てた顔だった。