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世界統一目指します。  作者: 珀斗
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転生して天下を目指す!

 日本の社会は壊れている。朝から晩までどれだけ真面目に働いてもすべてが評価されるわけもなく、上司の機嫌を伺いながらうまく人間関係を築けるやつが昇進していく。うまく全てをこなすことが出来なければ、社会からはじき出される。そんな世の中を変えるためにいる政治家や各自治体のお偉いさんは金を得るためだけに仕事をして、金にならないことには目を瞑る。

 そんな世の中を変えたいと僕は総理大臣を目指し政治家になった。実際政治家になってから社会を正すために多くの政策に積極的に取り組んできた。そして新たに一つの法の制定まであと一歩のところまできた。

コンコン。

「失礼します。田中先生車のご用意ができました。」

一人の男が入ってきた。

入ってきた男は僕を支えてくれている秘書の佐藤君だ。

「ああ、ありがとう。」

「やっとこの日がやってきましたね。先生の念願の完全実績評価制度が実用化される日が。」

佐藤君は嬉しそうに言う。

それもそうだ、完全実績評価制度とは僕が政治家生命を注いできた制度だ。年功序列といった古い概念から、実績を示したものが正当に評価されるための制度だ。

「そうだね、でも大変なのはこれからだ。この制度は今の社会に受け入れられにくい。僕らの頑張りがこの法を素晴らしいものにできるかどうかかかっている。これからもよろしく頼むよ。」

目を潤ませながら佐藤君が、

「はい。精一杯先生のお力となれうよう頑張ります。」

「では行こうか。報道陣の皆様が待たれているからね。」

部屋から出て、二人で車に乗り込み会場へと向かった。


会場に着き、車から降りるとすでに多くの報道陣が待機していた。

僕が降りた瞬間に集まってきた記者が、

「田中大臣!今回の法令は今までの常識を覆すものとして注目を集めていますが、なぜこのような法令を思いついたのでしょうか!!」

「国民からは反対の声もでていると思うのですが、それについてはどう思っていらっしゃるんでしょうか!?」

「田中大臣!!」

様々な声が僕にかけられる。

僕は余裕のある態度で、

「これから皆さんが納得してくださるように、しっかりとご説明させていただきますので、中に入ってもうしばらくの間お待ちいただいてもよろしいでしょうか?」

と、集まってきた記者に笑顔で答えた。

そして、記者の間をかきわけながら中に入った。

中に入ると、外で取り囲まれた記者の倍以上の数の人数で埋め尽くされていた。

「さすがの数だね」

僕はスーツを整え、秘書に一言声をかけた

「行ってくるよ。」

そう言い放ち壇上に出た。


壇上で一礼し用意されていた椅子に座り、

「今日はお集りいただきありがとうございます。これから完全実績評価制度についてご説明させていただきます。まずは・・・」

パァン!!!

突然、場内にまぶしい閃光と銃声が鳴り響いた。

僕は一瞬何が起きたかわからなかった。

次の瞬間、自分の胸が熱いと感じ、手を当てると真っ赤な液体がべっとりとついていた。

ガタ、ガタン、!!

僕はそのまま椅子から床に倒れこんだ。

「せ、せんせい!!!」

佐藤君がかけよってくる。

息も満足にできず、ただただ胸の熱さと猛烈な痛みが僕を襲っていた。

発砲した犯人はSPに取り押さえられているのが横目で分かった。

「せんせい!大丈夫ですか!?先生すぐ救急車を呼びますので、、!」

「せんせい!しっかりしてください!せんせい!」

何度も呼びかけてくれる声に僕は答えることが出来なかった。

段々と視界が暗くなっていくのを感じながら、僕は目を閉じた。

(ああ、僕は死んでしまうのか、、。まだまだこれからだっていうのに、、)

(今から成し遂げないといけないこともたくさんあるし、思い残すことがたくさんある。)

(こんなところでは死ねない、、!死にたくない、、!)

そう暗闇の中で思っていると、どこからか声のようなものが聞こえた。

「もしもし?おーい。聞こえてるかーい?」

(なんだ?少年のような声が聞こえる気がする。)

(ああ、ついに幻聴まで聞こえるとは、、。これはもうだめだな。)

「おい!!聞こえるだろ!?そこのお前!!返事しろよっ!!」

暗闇の中から一筋の光が差し、目の前を照らした。

そっと、目を開けるとそこには摩訶不思議な恰好をした少年のようなものがいた。

赤い目に髪は金髪。背中からは羽らしきものが生えている。

僕はハッと少し前の苦しみを思い出し、咳き込みながら自分の胸に手を当てた。

「はぁはぁはぁ、、、き、傷がない、、、。」

自分の胸に傷が無いこと、そして息もしっかり出来ることを確認し、深く深呼吸をした。

そして、

「なんで、、さっき僕は銃で撃たれたはず、、」

僕には何が起きたか分からなかった。これはなにかの夢なのか、どこかの病院で寝ている間の夢なのかと思った。

「これは、、夢なのか、、?」

そう一人で考えているといきなり、

「おい!!無視すんなよ!!」

「なんとか言えよっ!」

目の前にいた少年が僕の顔を覗き込んできた。

「き、きみは、、?」

やっと少年に問いかけた僕に対して、少年は

「やっとしゃべったか~。何度も無視しやがって。しかも人に名前を尋ねる時は自分から名乗るもんだって、母ちゃんに教わらなかったのか?」

不機嫌そうな顔をしながら少年は僕に言った。

僕はこの状況に困惑しながらもこの少年と会話をすることにした。

「すまない。私は田中雄大という。今の状況が分からないので教えてもらえないだろうか?」

困惑しながらもできるだけ丁寧に誠意を込めて少年に問いかけた。

「まあーいいけどよ!俺はこの世の全てを管理する神だ!!」

「お前は死んで魂になり、死後の世界へ行く途中に俺が自らこの場所に連れてきた。」

そう言い放った少年はドヤ顔で僕を見ていた。

「神って言ったのか?あの神様?」

僕は少年が言った言葉を確認した。

「そうだ!俺がこの世で唯一の神だ!」

「全知全能。この世の全てを知り、理を築くもの、それが神だ!どうだ!すごいだろう!!」

またもドヤ顔を浮かべながら言ってくる。

僕はなぜか少しずつ落ち着きを取り戻してきていた。

そして素朴な疑問を神と名乗る少年にぶつけた。

「神様が僕に何の用でしょうか?こうやって神様と話すことは死ぬと普通なことなのでしょうか?」

「普通のことじゃないぞ。死んでも俺と話せるのは稀なことだ!お前の歩んできた人生を俺は見ていた。」

「なかなか人間にしては珍しく多くの善行を積んでるし、しかもかわいそうな死に方をしたからここに連れてきてやったんだ」

そう僕に言うと、少年は少し離れたところに置いてある椅子に座った。

「僕は本当に死んだのでしょうか?」

僕は死後の世界などの科学的根拠のないものは信じていなかったし、普通に今話が出来ている状況から死んだということが受け入れれなかった。

「おう。お前は確実に死んだな、残念ながら。さっき体感しただろうが、お前は記者発表中に法令に反対していた者から襲撃を受け、銃殺された。信じれないなら、さっきの光景を見せることもできるぞ」

「いえ、やめておきます」

僕はあんなに苦しいことをもう一度見る覚悟はさすがになかった。

「それで僕はこれからどうなるんでしょうか?天国とかに行けるんでしょうか?」

少年は椅子に座りながらお菓子らしきものをを食べながら、

「そうだなーお前が望むのであれば天国に送ってやることもできるぞ。でもそんなことよりもっと面白いゲームをしないか?」

不気味な笑みを浮かべながら僕に言ってきた。

「ゲーム、、?」

僕が不思議そうに言うと、いきなり僕の目の前まで飛んできて、

「そう、ゲームだ。俺とお前でゲームをするんだよ。お前が俺の言うことをクリアできたらもとの世界に生き返らしてやる!」

「お前だって前の世界でやり残したことがあるんじゃないのか?」

そういうと僕の目をまっすぐに見つめてきた。

(たしかにやり残したこともある。せっかくあと少しのところまでいってたんだ。)

(やり直せるなら、、、もう一度、、、)

そう思いながら僕は少年に、

「ちなみにゲームって何をするんでしょうか?」

そう問いかけた。

少年は待ってましたとでもいうように

「それだよな!ゲームは、お前に別の世界に一度転生してもらい、その世界を統一してもらう。それだけさ!」

「統一って、世界の王になれってことですか?」

「そうさ!面白そうだろ?」

「でもそんな簡単じゃないんじゃないか?僕は今までで法律の一つを作ることさえもできなかったんだから、、、」

そうだ、僕は人生をかけて一つの政策に取り組んで、それも達成することもなく死んでしまったんだから。

「そりゃー普通のままだったら無理ゲ―だろうよ。でも今回は俺がいるんだぜ?」

「お前が転生する際に望むものを3つまで与えてやる!その能力を駆使して統一するんだ!」

僕が少し考える素振りを見せると、

「何を考えることがあるんだ?お前は俺とのゲームをクリアするだけで生き返れるんだぜ?悩むことなんてないだろ!」

(たしかに、、、このまま死んで終わりなんて嫌だ、、!)

「分かった、やるよ。世界を統一して元の世界に生き返ってみせる!」

そう言うと、少年は笑いながら両手を広げながら僕に向かって叫んだ、

「よしきた!さあ!俺は神だ!何を望む?お前の望むものを3つまで与えてやろう!!」

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