#20 街道は続くよ、どこまでも。
本日は2話上げております。この次のお話もお読み下さいませー。
スケさんとハチさんを混同していたので修正しました(2019/09/19)。
なんで、海賊を退治するのか?
それは、ええと。
まあ、その。
「姫は真面目すぎる。義理もないのに」
「うー。義理はないけど、ほら。ね? ボクが、曲げちゃったから」
「辻褄を合わせる義理がない、と言っているんだよ、俺は」
苦笑しないでよ。
だって、だって。
プレイヤーのシナリオを曲げたから、海賊退治まで進まなかったのだ。
海賊は悪徳領主と結託していた、けど。
悪徳領主が処刑されたからって、別に解散するわけじゃない。
奴らは奴らで、今後も貿易船を襲い続ける。
うーん。
ほんとは、こういうシナリオじゃないんだけど。
分岐シナリオみたいにしてしまったのだ。ボクが。
まあ、海賊退治はメインクエストとはまた別に、サブイベントあるけど。
だから、ボクらが代わりに、そっちに対処することにした。
これは、商人ギルドの依頼でもある。
商人ギルドってほら、盗賊ギルドの隠れ蓑なんだよね。
……なんでか知らないけど。
海賊退治やるって決めたら、しぶしぶながら、彼がクエスト持って来た。
あなた、人間の町では賞金首ですよね?
なんで、そんなに妙に顔が広いんですか??
なーのーでー。
王命を帯びた盗賊と一緒に、そちらへ向かうことになっている。
盗賊が誰か、って?
そりゃ、一人しか居ないでしょ。
「なーんで、バレたんですかねえ? あっし、分かりやすかったですか?」
「う? ううん、分かりやすいというか、なんというか」
「内緒ってことっすか。いいっすよ、精進しまさあ」
スケさんが、御者台で頭をかいて笑ってた。
スケさんは、盗賊ギルドの隠密だった。
島からここまで、ボクらのことを監視してたんだって。
……確かに、三人の中でひとりだけ短剣持ってたし。
身のこなしが漁師離れしてるし、漁師っぽくないな、とは思ってたけど。
ちらり。
彼がすぐさま視線に気づいて手を振ったので、慌ててそっぽを向く。
ぶっちゃけ、気づいたっていうか、知ってた風なのは、彼だ。
「まあ。盗賊もいいものでやんすよ。島へ渡る準備は、万端でさあ」
「うー。船には、乗らないよね?」
「…………」
「ちょっと? スケさん?」
ねえ、ちょっと?
急に、真面目に御者の仕事に戻らないで。
彼?
彼は、荷台の片隅で突っ伏して、震えてる。
分かってるよ。突っ込まないからね。笑ってるに、決まってる。
むー。
揺れる馬車の荷台で、膝立ちでバランスを取ってたら。
がばっ、と後ろからふわふわで柔らかいものに抱き締められた。
「まったく、男どもはアテに出来ないわね?」
「うぇ? そ、そうかなあ?」
「そうよ。さあ、衣装はたくさん用意したから。着替えは心配しないで」
……えええ。
喜色満面で頬ずりしてくるティースさんに、気に入られちゃったボク。
風車小屋でも、言われるがままに、もう何十着も着替えたのに。
ねえ。
衣装替えても、ボクは、ただのボクだよ?
何がそんなに楽しいのかな?
着替えするたびに満足気にうんうん頷くのに、すぐまた着替えさせてさ。
……もしかして。
シナリオブレイカーしちゃったボクに、報復していらっしゃる?
えええ。
だって、仕方なかったんだよぅ。
フルのお化粧も恥ずかしいから、勘弁して下さいぃぃ。
そんなこんなで。
同行者を二人増やして、ボクらは街道をひたすら南下した。
300ポイント突破しましたぁっ。
今後とも、評価ブクマ共々、良しなにお願い申し上げます~っ。




