第九話 一誠
二週間も遅れて申し訳ないです。それに付け加えて文字量が少なくて本当にすみません。
「然闇……?」
「なぁに、絵糸君」
きょとんとした顔で俺達の前に現れた冬坂。最初はその光景が何だか信じられなくて、俺は声をかけてあげることさえもできなかった。
銃声が聞こえた後、誰かが倒れたってなったら、そりゃこの状況じゃ、冬坂が死んだって思うしかなくなるだろうに。
なのに、無事だったんだ。
そう考え付いた途端、俺はへにゃへにゃと音がしそうなほど間抜けに座り込んだ。
「よかったぁ……。冬坂、無事だったんだ」
「うん、無事だよ。死ぬかと思った」
ってことは、狙われてたってことだ。
でも、今近くには鬼がいるってことだよな。
だったら、逃げなきゃじゃん!
「おい、今すぐ逃げるぞ!」
俺が言うより早く、西条が動き出した。皆我に返ったのか、西条の言葉に頷いている。
「いや、待って、大丈夫だよ」
急に冬坂がそんなことを言うもんだから。
俺は「はぁ?」と首を捻った。
「な、何で大丈夫なんだよ。だって向こうに鬼がいるんだろ?」
「違うの、鬼じゃないの」
俺が言っても、冬坂はふるふると首を振るばかり。
「それじゃあ、一体どういうことなんですか?」
同じ同級生なのに、身長とその言葉遣いのせいで、どうしても後輩に見えてしまう高山が、胸の前で両手の人差し指を合わせている。
「そこにいるの、龍平君なの」
え?
龍平って、木山龍平か? さっき、紫織達と会ったって言う?
「え?」
「嘘……」
紫織と桜坂の声が上ずっている。そりゃそうだろう。木山が銃を持っていたと言うことになるのだから。
「龍平が、撃ったってのか!?」
西条が吊り目になる。龍平一体どういうことだ、クラスメートを撃ちやがってと今にも問いただしそうな顔だ。
「怪我ない?」
桜坂が冬坂の体に触れる。「怪我はないよ?」と冬坂が目をぱっちりと開いて言う。
「……然闇、教えてくれ。何があった?」
絵糸が緊迫した様子で冬坂の肩を両手で掴んだ。その目は冬坂だけを捉えていた。形の良い口も、心なしか震えているように見えた。
冬坂もゆっくりと口を開き、その場の注目を集めていた。
「龍平君が、叫びながら走ってくる音を聞いて、先生かと、咄嗟に判断したみたいで。で、銃で撃っちゃったみたい。第二理科室の前にあった人体模型が倒れちゃって」
「あー、分かった」
絵糸は、微妙な表情を顔に貼り付けている。
「つまり、木山が何故か銃を持ってたってことだろ? それで先生と間違えて然闇を撃ったと」
「そうそう、流石、物分かりがいいね、絵糸君は!」
冬坂がウィンクをしながらぐっと親指を立てる。絵糸は何も動じなかった。おい、こんな可愛い女子がそんなことやってるのに何も動じないなんて。こいつ本当に中一か?
そう思って、絵糸のことをマジマジと見つめる。
すらっとしていて、服の上から見ても分かるほど、無駄な肉が一切ついていない。
男子にしては白く綺麗な肌に、俺よりもほんのちょっぴり長いキザっぽい髪型。フレームのない眼鏡に、切れ長のシャープな目。
容姿で言うなら、少女マンガの優等生キャラど真ん中。しかもツンデレで、声が綺麗。
パッと見、中一には見えない。
絵糸の容姿に憧れを抱く男子も少なからずいるし、女子からは「無口で優等生タイプで超カッコいいよね!」などと人気を博している様子だ。
もしかしたら紫織も、絵糸のことが好きなのかもしれない。そう思うぐらい、格好良い奴なんだ。
紫織の好きな人のことは聞いたことないから、もしかしたら紫織の初恋が絵糸なのかもしれない。そう思うと、目の前にいる絵糸のことが急に憎たらしく思えてきた。
あれ、でもちょっと待て。
確か紫織は、二年一組の教室で、ある人の席に座っていなかったか?
ある人が誰なのかは分からないが、紫織のあんな戸惑いは今まで見たことなかった。
俺に勘付かれたくなかったのだろうか。その席の人が好きと言うことを。
紫織は、その先輩のことを……?
こうやって、考えれば考えるほど、好きな人のことを好きになっていくっていうのが、中学生男子なんだなぁ。
しみじみ、それを自覚する。
こんな時に中学生ってことを自覚してもしょうがないんだけど。
「冬坂さん、木山君はどこにいるの? 案内してくれる?」
紫織の鈴のような声が、俺の耳に入る。
そうだ、今は俺の好きな人のことを考えている時間じゃない。
殺人ゲームを生き延びる方法を考える時間だ。
「うん。確かねぇ」
冬坂は足音を立てながら、角を曲がる。
途端、「ひぃっ」と誰かの声がした。誰かははっきりと分かる。木山だ。
「木山?」
「木山君、どうしたの?」
俺達も角を曲がる。倒れたマネキンのすぐそばに座り込んでいる木山は怯えている様子で、銃を投げ捨てて、頭を抱えている。
「来ないで……」
か細く、震えているようなその声に、俺は一瞬、不思議な感覚を覚えた。
いつも高圧的な態度を取る木山が、怯えている。
「……って、何だ、冬坂達か」
木山は俺達だということに気付くと、いつもの高圧的な視線を投げかけてきた。
それが面白かったのだろうか、絵糸が鼻で笑った。
「な、何で笑うんだよ!」
急に、木山が目を吊り上げる。
「大体、冬坂も冬坂だろ。いきなり叫びながら出てくるなよ。狙い狂ったから、大丈夫だったけどよぉ」
冬坂を指差して、そんな悪態をつく。冬坂は眉を潜めて、「ウチ?」と人差し指で自分を指差す。
「先生からウチが逃げてるってことは、こっちに先に来るのは、ウチのはずよね? ウチを待たないで撃っちゃうなんて、ウチを殺す気満々じゃん!」
おっ、結構鋭い。木山、黙ってる。しばらく黙って、「冬坂」と呼びかける。
「俺は、咄嗟な判断が出来なかったんだ。だから、考えてみればちゃんと分かること、分かんなかったんだ。それでいいか?」
何故か勝ち誇ったような笑みを浮かべる木山。無性にイライラする。紫織がチッと舌打ちをした。
「好きな人撃っておいて、その態度は何さ?」
笑みを浮かべていた木山が、声の主、西条を睨みつける。
周りの視線を、冬坂と木山から集めた西条が、木山を見据える。
「お前、好きな人バレてねぇとでも思った? バレてんだけど」
普段のおちゃらけた様子の西条からは想像もできない声。でもそこにいるのは確かに西条だ。西条、この短期間で、色々な一面出過ぎだよ。
「大体、人撃とうとして、ごめんなさいも出来ねぇのかよ。そんな奴が超名門校に入ってるとか、世の中ホント終わってるよな」
「は? 西条、一体、どうした? 冬坂は助かってるんだから、別に良いじゃんか……っておい、お前何暴露しちゃってんだよ!」
時間差で木山のツッコミが飛ぶ。
西条は、木山を射殺さんばかりの視線で睨みつける。その視線に、いつも高圧的な視線を投げている木山も戸惑いを隠せなかったようだ。
「え、何? 龍平君が、ウチのこと、好き?」
本人にバレた。冬坂がきょとんとした顔で自分を人差し指で差している。流石は天然である。しかも何度も男子の好意を受け止めてきただけはある。「はぁ? 気持ち悪いんですけどぉ」とも「えぇ~、ウチィ?」とも言わないのがやっぱり良い人だ。
「あ、あぁ、それはまあ、放っとけよ……」
木山はしどろもどろになりながらも、言い訳を探している様子だ。西条はそんな木山をただただ睨みつけている。
「馬鹿みたいだよな。人殺そうとしといて、勘違いだからって、謝りもしねぇのかよ」
吐き捨てるかのようなその声に、木山が牙を剥いた。
「そ、そんなの、お前に関係ないだろ! だからお前らみたいな目立つ奴が嫌なんだよ! 自分に自信がたっぷりで、陰キャのこと簡単に見下せるから!」
さっきの言い訳を探していた木山はもうそこにはいない。全力で西条と対決している男子が、そこにいた。
しかし、西条もキレなくていいのにな。
何でキレたりなんかするんだろ。こんなの、放っておけばいいのに。どうせ木山も反省しているんだし。
あ。
一つの考えが頭をよぎる。
もしかして西条は、冬坂を撃とうとした木山を、とてつもないぐらい恨んでいるんじゃないのか。ここに木山しかいなかったら、間違いなく殺していそうなほど。
八つ当たりのように見えなくもないそれは、俺の考えを確信へと導いていっているようだ。
本当は西条は、木山に対して殺意を抱いているんじゃないのか。
冬坂のことを大切に思っているから?
いやいや、いやいや、考えすぎだ。
最低な考え方だ。たった一つの出来事で勝手に決め付けてしまうなんて。
西条は仲間を思って言ったのに、俺がこんなんじゃ駄目だよな。
よし、この話、終わり!
と頭の中で意気込んで、勝手に終わらせても、現実でのこの揉め事は、中々終わってくれない。
「はぁ? いつ、誰が陰キャのこと見下してるって? 逆に、勝手に自分達が陰キャだって思いこんでるわけ? それで俺達が陽キャ? 笑わせんなよ」
西条がツカツカと木山に歩み寄る。そしてしゃがむと、落ちている銃を拾った。
「こんな物騒なもん持ってさ。人殺す気満々じゃん。言い逃れできるとか思ってんの?」
カチャカチャと銃をいじくる西条。そして自分の制服のポケットから銃を取り出す。
「これは鬼から奪ってきたやつ。で、お前、これはどこにあったの?」
木山の所持していた銃を、彼に差しだす。本人は何も言わない。ただ口を引き結んでいるだけだ。
「冬坂の声が聞こえたのに、撃とうとしたんだ。撃ち殺そうとしたんだ。好きな人を」
「金工室に」
木山が突然言い放つ。
「銃が、あって」
どんどん、その声が萎んでいく。
「そこに、クラスメートの奴らが、入ってきて、言ったんだよ。俺達を殺そうとしてるのかって」
か細い声が震えて、木山の声だとは考え難い声になっていった。
「揉み合っているうちに、撃っちゃって、気が付いたら、全員、死んでた」
え?
何を言っているんだ、木山は。
さっきの惨状のことを、言っているのか? だとしたら、こいつは人殺しということになってしまう。
それも、大量殺人犯。
「お前、それって」
「俺は、何も悪くないんだ! ただ、ミスって、手元狂って、撃っちゃったってだけで……」
木山が必死で弁解する。
でももしそうだとしたら、返り血を浴びているってことにならないか? でも、木山は返り血一つ浴びていない。
あれ、これってどういうことなんだ?
「殺した時の服のままじゃ、俺が誰かを殺したってバレるから、着替えてきた」
疑問が一瞬で解決された。
と、新たな疑問が現れた。一体、何故彼は金工室に向かったのだろう。金工室に用があったのだろうか。
そう思って彼を見上げると、彼の目には、小さな水滴が浮かんでいた。本人も気付いていないのだろう、拭うこともせず、「ごめんなさい」と水滴と同じような小さな声を漏らすだけだった。
「だからって、あんな惨い殺し方することないだろ」
西条の声が、関係ない俺達の胸にも深く突き刺さってくる。大事な友達を殺されたのだからしょうがないのだろう。氷のように凍てつく視線と言葉が、木山を更に刺激したらしい。
木山は何かを言おうとして、でも一瞬で口をつぐんで、目をつぶって、重たそうな唇を無理矢理押し上げた。
「惨い殺し方?」
彼から出た声は、オウム返しだった。ということは、木山はあの酷い光景を目撃していないらしい。つまり、木山はそいつらを殺しただけなのであって、あんなことをしたわけじゃないのだ。
もしするとしたら、サイコパスなあいつら。
前田と宮沢。
右手の拳を握りしめて、歯ぎしりする。
あいつら、本当にふざけんな。
俺の大切な物、何から何まで奪っていきやがって。
この世界には本当にうんざりすることばかりだ。
大切な人を二人も失って、藤咲に受験するまで、生きる希望をなくして、死のうとしていた俺のことを、また嘲笑って。
そのうち、紫織や天才カルテットまで失ってしまったら、俺は自殺をしてしまうと言うのに。
俺らを弄んでいるみたいで。
関係ない奴らまで巻き込んで、一体何をしたいんだあの二人は。
「ほ、本田君……」
紫織の声が、横から聞こえる。ハッとして横を見やると、心配そうな表情をした美少女が立っていた。
「どうしたの本田君。スゴイ顔よ……」
ハッとする。俺はその表情のまま、すっかり暗くなった空を映しだす窓に目を向けた。そこにいたのは、眉間に皺を寄せて口を半開きにしている男。
「ぶ、ぶはっ」
途端、俺は噴き出した。何だこれ、ひっでぇ顔だなぁ。
本田君、と紫織が俺を呼ぶ。どうしたの、とも。
「だ、だって今の顔、ヤバすぎでしょ、顔芸みたい」
顔芸という言葉がハマったのか、高山が噴き出した。高山は大人しく、目立つこともないから、笑ったところは初めて見た。
「ぶはははははははっ」
……笑い方、笑い方。
大人しい高山の笑い声は、想像以上に個性的だった。鬼に見付かるだろうと、誰かが怒った。
でも。
女子でも中々見れないような可愛らしい笑みが、高山の顔に広がっていた。目がきゅっと細くなって、口角がこれでもかってぐらい上がる。
高山の笑顔が見れた瞬間。殺人ゲームにも、ちょっとばかり、意味があったのかもしれない。
最も、起こらない方が良かったんだけど。絶対に。
「ご、ごめんなさい」
途端、高山はその笑顔を引っ込めて、しゅんと項垂れてしまう。
木山は満足げに高山を見つめていた。いや、お前かよ、とツッコミたくなる。
「ま、いいか、これにて一件落着ってことで」
十人以上を殺した大量殺人犯は、そんな呑気そうな顔をしている。お前がそんな顔をしていいものかと、俺はとっちめたくなる。
途端に、西条が掴みかかった。
「ふざけんな! 何が、何が一件落着だよ! 黒川は、黒川は……」
胸倉をつかんで、木山の頬を思いっきり殴る。木山の眼鏡が外れ、もさっとしている髪の毛が揺れて。
「黒川は、何のために、死んだんだよ! お前が殺さなきゃ、今頃黒川と一緒にいれたかもしれないのに!」
泣いている。西条の瞳から大粒の涙が床に水たまりを作るような勢いで滴り落ちてきた。
「何が一件落着だって!? 俺の大切な人殺しておいて、何馬鹿みたいなことほざいてんだよ!」
誰も、何も言えない。木山も今度こそ、言葉を発さず、ただ茫然と西条を見つめている。西条は木山の顔をもう一発殴って、叫んだ。
「お前、俺と黒川がバレー部で、友達だってこと、知ってるよな!? 何俺の目の前にのうのうと現れてんだよ!? ごめんなさいも何も言わねぇでさ!」
どんっと重たげな音が響く。数秒後に、西条が木山を突き飛ばしたことが理解できた。
「ふざけんなよ! 何でお前なんかに、黒川が殺されなきゃなんないんだよ!」
最後の方は、聞こえなかった。
西条は右手で、涙を拭っていた。
大声で泣き叫ぶなんてことはしない。ただ静かにしゃくりあげながら、友達の死を悼みながら。
誰も、何も言えなかった。時間だけが過ぎていく中で。
ただ一人、動いたのは冬坂だった。
重い足を引きずるようにしながら、冬坂は遠くへ歩いていく。
誰も、呼び止めはしなかった。呼び止める気力もなかった。というか、皆気付いているのかいないのか。冬坂の足を引きずる音が、廊下に漂っている。
◆◇
冬坂が、ここに残ると言いだした。
冬坂を探していた絵糸が、帰ってきた瞬間、そんなことを言った。辺りに沈黙が一瞬訪れた後、「は? 何でだよ、冬坂」と木山がここにいるはずのない冬坂に怒りを向けた。
「お前と一緒に行動したくないからだろ。自分を撃ったオタクとなんか」
「何だと西条!」
木山に対して随分と毒舌になった西条が、ちらりと木山を睨みながら放った一言が、それだった。
「あのなぁ、冬坂はお前のことなんか好きじゃないんだぞ。初等部の頃からいたから、冬坂の好きな人に気付かなかったみたいだけど」
西条が木山に刺すような視線を送りながら吐き捨てる。木山も負けじと刺すような視線を送り、「知ってるよ。お前に言われると、すんげぇ腹立つ」と吐き捨てた。
何だかんだ、この二人も、地味に和解したらしかった。それでも西条は許してはいないだろう。自分の友達を殺した、イヤミな奴のことなんか。
「無駄なこと言うのやめろよ。どうせ西条、お前だって冬坂のことが好きなくせに。だから冬坂のこと、必要以上にかばったんだろ。あーあ、自分のこと好きじゃないって分かっていながら、惨めなもんだよな」
「ブーメランになってること、気付かないの? それに何? 俺好きな女子なんかいませんけど。勝手に決め付ける方がどんだけ惨めだよ」
「うるせぇな。ってか、そういうこと言ってるのにそいつのこと好きな男子、俺この目で沢山見てきたぜ」
「お前の沢山って何? だーかーらー、冬坂のことなんて好きじゃないんだけど。俺が好きなのは牛丼。アイラブ牛丼なの」
「そうかそうか、つまり君はそういう奴なんだな」
「うるせぇなお前ら」
絵糸が静かな怒りを漏らす。ぴくっと二人の動作が止まり、二人は慌てて絵糸の方を向き直る。今度は誰も笑おうとはしなかった。
「殺人ゲームが起きて、然闇もこもっちゃう非常事態なのに、よくそんな言い争いが出来るな。西条、お前が然闇のことを好きじゃないことはよく分かったから、黙れ。木山、お前が然闇を好きなのは前から知ってたから、騒ぐな」
「なっ」
「やっと分かってくれたか」
何か言いたげな木山と、満足げに頷く西条。それを見ていた紫織が噴き出した。
木山は顔を真っ赤にして、バツが悪そうに下を向く。西条はその顔を鼻で笑いながら、そうだよな、と気を取り直したようだ。
「冬坂がどう思って、ここに残るって決めたのかは分からない。だけど俺達は、もし逃げ切ることが出来たら、必ず冬坂を迎えにいこうと思う。異議はないか?」
西条の言葉に、皆は頷き、「異議なし」と桜坂が答える。
「そんときは木山が迎えに行けよ?」
「はぁ? 何で俺だよ!」
毒を吐き続けていた二人が、ただのクラスメート同士に戻った瞬間だった。途端に、高山が噴き出した。個性的なあの笑い方と一緒に。
久々の和やかな空気が、俺には丁度良く、小さな笑いの輪に、俺も加わった。




