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エモーションとアパシー

2話です!分からない単語もあると思うのでそれは、随時説明を加えていきます。

 


 俺は窓から入る明るい光で目を覚ました。



「おはようございます、カイトさん」



 横で寝ていたレビウスは、どうやら既に起きていたらしく、掛け毛布は綺麗に畳まれていた。


 起きたはいいが、これからどうすればいいのだろうか……。

 昨日、突然この世界に来たばかりで何をすべきなのかは分からない。

 突然ここに来た割には、現状の理解が早すぎるのではないかと思うかもしれない。

 けど、それには理由があった……。


 それは……。



「おはよう、2人とも」



 自動で開くドアを開いて入ってきたのは、ミラだ。


 いい感じに遮られたので、さっきの話は今度に持ち越そう。



「とりあえず朝食よ。食堂に行くわよ」



 俺とレビウスは共に、食堂へと向かった。




 ここでも俺の想像した食堂では無かった。

 ホテルとかにある小さな食堂をイメージしていたが、この食堂は高級レストランのような広さと豪華さを持っていた。



「待たせたわね、レント」

「いやいや」



 ミラが朝食のトーストを齧っていた男に話しかけた。



「とりあえず、ここに座りなよ」



 そうレントという男に言われ、俺とレビウスは近くの席に座った。



「あの、ミラさん。朝食は……」



 今思えば、ここに来てから食事はしていなかった。

 そのため極度の空腹状態だった。



「私が持ってきてあげるわ」



 その一言を言い残し、彼女はこの場から離れた。



「初めまして、カイト君。僕の名前はレント。よろしく」

「こちらこそ、よろしくお願いします。隣の彼女は、レビウスです」

「レビウスです。今後お見知り置きを」



 レントは、爽やかに微笑む。


 彼の風格は、周りのものとは明らかに違う。

 逞しく、勇ましいのが彼の印象だ。



「君はこの世界の人では無いらしいね。わざわざ助けてくれるのは、本当に助かるよ。ありがとう」

「礼を言うまでもないです。助けを求めている人を助けないやつは、男じゃないと思いますから」



 それを聞いて、レントはふふっと笑みを漏らす。


 俺は、困った人を放っておけない性格なのだ。

 何も笑わなくても……。


 レントは咳払いをして切り替えると、思い出したかのように拳を叩いた。



「あ、そうだ。僕はミラに頼まれて魔法やレビウスちゃんの扱い方について、説明を頼まれているんだ」



 レントはそう言うと、横に置いてあった鞄から分厚い本を取り出す。

 そしてページをめくった後にレントは話し始めた。



「まず、陣営について。機械でない人たち……。僕達はエモーションって呼んでいるよ。エモーションはここにいる人達だけではなく、まだ沢山いてね。全部で9つのグループに分かれてそれぞれで行動している。もちろん、ここの人達はそのグループのうちの1つに属しているよ」



 レントは、分厚い本を1ページ1ページゆっくりと開きながら話す。



「次に、この世界への転移について。そして、そのグループにはそれぞれカイト君のような転移してきた人がそれぞれ1人ずついる。転移してきた人達のことを、セイヴィアーと呼んでいるよ。セイヴィアーは皆、カイト君と同じ時代、同じ星の人々のみがここに転移してきている。理由は、その限られた条件が揃った人のみが、レビウスちゃんのようなアンドロイドを扱えるからだ」



 ここに転移してきたのが自分だけでないと知ってとりあえずホッとした。

 同じ情報を持つ人々がいるだけで安心感は大きく違ってくるからだ。


 隣に座っているレビウスも俺と同じようにレントの言葉を真剣に聞き入っていた。



「で、次はアンドロイドについて。アンドロイドには種族、属性が存在する。まず、種族。それぞれ弓使い、剣使い、槍使いの3種類に分類される。レビウスちゃんは弓使いだよ」



 レビウスが召喚された時に背中につけていたのは、確か弓だった。

 だから弓使いだというのは納得できる。



「属性も3種類。火、水、木の3種類に分類されて、レビウスちゃんの属性は火。属性は、種族にはない相性があって、火は木に強く、木は水に強い、そして水は火に強い。種族、属性がそれぞれ違う9種類がそれぞれのグルーブに1体ずつ召喚されているはずだ」



 彼の説明はとても分かりやすい。

 レントはトーストを一口かじり、飲み物を飲んで口を潤してから話を続ける。



「でも、それはエモーション側だけに限った話ではない。感情がない人たち……。俺たちはアパシーと呼んでいるよ。アパシーたち側にも9つのグループがあって、それぞれに違ったアンドロイドとセイヴィアーがいる。ただエモーション側と違って、セイヴィアーは既に機械に乗っ取られて感情がない」



 俺は多少理解が追いついていないが、大体の内容を頭に入れた。

 何せ、覚えることがとてつもなく多いのだ。

 頭の中に詰め込むのはとても難しい。



「話が長くなったけど、最後だよ。君たちの役割について。君たちは、エモーション側の9人のアンドロイドとセイヴィアーで協力して、アパシーたちの本陣の中にある『機械の魂』と呼ばれるものを破壊すれば、僕達の勝ち。乗っ取られた人達も『機会の魂』が壊れたら元通り、エモーションに戻れるんだよ」

「エモーション側の敗北条件は何ですか?」

「全滅。機械に全員が乗っ取られたらそれで終わりだよ」



 そんな未来は見たくない。

 感情がなく、勝手に動いている自分など生きているに値しない。

 俺は何としてもそれを阻止しなければならないのだ。



「レビウスは、分かった?」

「この世界の一般常識や現在の状況は、召喚と同時に脳にインプットされています。ですので、全て把握済みです」

「そうなんだ……」



 てっきり、知らないものだと思っていた……。



「だから、もし分からないこととかあればレビウスちゃんに聞いてほしい」

「分かりました」

「まぁ、これで一通り説明は終わりかな」


「あの……」

「?」

「魔法について教えて欲しいです……」



 俺の存在意義や、アンドロイドの種族や属性。俺たちの役割については知ったが、魔法については全く触れられていない。



「お、とりあえず説明は終わった?」



 そう言って近づいてくるのは、3人分の朝食をトレーに乗せたミラだ。



「魔法については、彼女に教えて貰ったらいい」

「魔法だけは説明していないのね……。分かったわ」

「じゃあ、僕はこれで」



 彼は広げていた本を閉じ、鞄にしまうと早々にこの場を去った。



 やってきたミラは、さっきまでレントが座っていた席に座り、俺たちに朝食を配る。



「一見、若僧に見えるけど彼は戦闘隊長よ?」



 なるほど……。

 どうりで周りの人と風格が違うわけだ。



「魔法のことについて、聞く前に1つ良いですか?」

「何?」

「ミラさんやレントさんたちは、何をするんですか?」

「基本的に、貴方達にスムーズに仕事をしてもらうためのサポート。私たちの邪魔をしてくるアパシーたちの足止めよ」

「じゃあ、大事なことはアンドロイドとセイヴィアーだけがやるってことですか?」

「えぇ、そうよ。私たちではアパシーたちを簡単には倒せないわ。だから、出来ても足止めくらい。もっと早くセイヴィアーを呼べたら、ここまで状況は悪くならなかったと思うんだけど、転移装置を完成させるのに時間がかかって……」



 転移装置の完成に時間がかかったこと。

 それが、この危機的な状況になった原因の1つだったのか……。


 俺たちは、軽く雑談しながら朝食を食べ進めた。

 俺とミラが活発に話すのに対して、レビウスはあまり会話に参加せず、黙々と食べていた。

 無口なだけなのだろうか。

 彼女は、質問に答える以外ではあまり口を開かなかった。


 俺たちがゆっくりと朝食をとっていると、突然大きな足音が近づいてきた。

 その人は、甲冑を着ていて急いでいる様子だった。

 そしてミラの足元に跪いて、こう言った。



「アパシーが約100ほどここに近づいてきています。いかが致しましょう?」

「全く、朝からアパシーも暇ね……。いいわ、この機会にレビウスの力を試すわ。あなた達は休んでいていいわよ。ついこの前戦ったばかりで傷も癒えていないでしょうから」

「承知しました」



 甲冑を着た人は、すぐにこの場を離れた。



「レビウスの力を試すってどういう事ですか?」

「そのままの意味よ。レビウスに殲滅してもらうわ。100なら余裕よ」

「レビウス、大丈夫なのか?」

「はい」

「だったら、早く行くわよ!」



 俺たちは朝食を平らげ、走って向かうミラのあとをついて行った。



 ミラは、大きく開けたベランダに俺たちを案内した。


 この世界の外を見るのは初めだったが、対して驚きはしなかった。

 地球の景色と大差ない、例えるなら山奥の景色だ。

 どうやらここは森の中なあるらしい。



「じゃあ、レビウス! よろしくね!」



 ここから攻撃するってこと?

 弓だとはいえ、ここから地面までの距離はかなりある。

 それに木々が邪魔ではないだろうか。

 完璧に仕留めるのは難しいだろう。


 レビウスは、フォルムチェンジして召喚された時と同じ戦闘態勢に入った。



 さぁ、レビウスの御手並み拝見といこうか……。



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