私は魔王の妻になりました。前編
長いと思います。
面白いと言ってもらえたら嬉しいです!
魔王の復活から14年の時が流れた────。
この14年間で世界は色々と変わった。
大きく変わったのは3つある。
1つ目は、魔王軍の押されて『魔界』のゲート─ゲートの形は漆黒の巨大な両開きの門─から近い国は人間でもエルフでもドラゴン達でも手を取り合い『協力同盟』を結ぶ
知恵の無いゴブリンやオーガ、力ある方につく者達は『魔界』と手を結ぶ。
『協力同盟』を結んだ者達は、名の通り住む場所を出来るだけ『魔界』のゲートから離れた場所に『天界』のゲート─銀色の両開きの門─の近くまで移動し、魔族達の進軍を防ぐために約50メートル位の壁を築き上げ、耐久力を上げるために神官や半年に一回『天界』に住む天使達から力を借りて魔法をかけて頑丈にしている。
2つ目は、二年前神の子が残した黒髪の少女が血を受け継いだ。
名前は天使達が彼女に何回聞いても答えないので、仕方なく天使達は彼女に名付けた。名はユーリファである。
今では『天界』と現世の者達からは魔王を滅ぼすための希望の神の子として崇められている。
ここで覚えておいてほしい女性の紹介14年間彼女に武術などを色々教えていたのは、100年も前に人とドラゴンとの間に産まれ、神の子に唯一の親友とまで言われた竜人。
名を、ファフニール。
そして、3つ目はついに『天界』、『協力同盟』全軍と神の子対、魔王軍の戦争『聖戦』が始まろうとしているということだ────。
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────日が登り始めている。
『協力同盟』国から離れ、『魔界』へと繋がるゲートが近くにあるある大きく広がる平野。
そこには多くの人やドラゴン、エルフにダークエルフにリザードマン、魚人に天使などが武装し、それぞれ馬や狼、地をはう巨大な魚などに乗ったり乗らずに立ったりしている者達は皆はゲートを睨みながら立っている。
彼ら彼女らは神の子やファフニール、それぞれの長が選び抜いた戦士達だ。
ゲートの前に背向けて、戦士達の前に立つのは一本一本が作り物のような銀色の髪に、白銀の鎧をまとい、背にはクリスタルで作ったかのような透明感あるロングソードを、左腕には腕をおおうくらいの大きさで、中心には真紅の宝石がはめこまれた白銀の手盾をつけている。
そう彼女が『白銀の魔騎士』が残し、今では神の子と呼ばれる少女ユーリファだ。
ユーリファの後ろには四人のフルプレートメイルをまとう男が二人、女が二人の騎士が立つ。
彼ら彼女らは神の子であるユーリファ直々から選ばれた護衛だ。
「時間ね」
そう言ったユーリファは一本前に出て、手に持っていた全体に自分の声を届けるため声量を上げる魔道具を口もとまで持っていき、士気を高めるためにまずゲートに向いた視線を自分に向けさせるために大声で呼びかける。
『ちゅ─────も───────くっ!!!』
彼女の呼びかける声は別に拡声器を使わなくてもいいんじゃないだろうかと誰もが思う声量で、それに声量にが最大なので戦士達は皆耳を塞ぐ──この時『魔界』のゲートから離れた『協力同盟』国にまで響いていた──
神の子としては声量はいいとは思うが、女としてはいかがかと思ったのだろう、それかただ単に呼びかけが大きすぎると思ったのか後ろに立っていた女騎士の一人がユーリファに慌ながら静かに声をかける。
「ユーリファ様、少し押さえてください!皆耳を抑えて貴方様のお話がきける状況じゃありませんよっ!」
最初は女騎士の言っている意味の分かなかったらしく首を傾げているが、周りを見渡して騎士の全員が耳を塞いでいるのを見て意味がやっと分かったのかユーリファは顔を赤らめている。
(いやっ!普通気付くだろ・・・・まぁ恥ずかしがるユーリファ様も可愛いからいっか!)
皆は心の中で同時にそう思った。
皆はユーリファに甘くて、誰もが和むのだった。─これから戦争が始まるのというのに─
『んんっ!ごめんなさい、やり直して・・・・皆さん注目してください!今から私達は魔王軍との聖戦を始めます!』
和んでいた騎士達は彼女の<聖戦>と聞き、皆の緩んだ顔は引き締まる。
『今日死ぬ人が出るかもしれない・・・・いや!確実に出るでしょう!だけれども、私は絶対に魔王の首を討ち取る!あの人に誓ってでも』
覚悟はしていてもやはり家族をおいて死にたくないなどという思いはあって、皆の沈む心を「あの人に誓って」という言葉でこの人なら後は大丈夫だという思いに下がりつつあった士気は最高潮にまで上っていた。
『皆!私が最も信頼する騎士達よ!今日から君達は魔王軍の討つ英雄だ!・・・・フィン!ローラン!門を開けよっ!!』
「「はっ!!」」
ユーリファの後ろに立っていた強靭な体躯が鎧の下からでも分かる筋肉を持った男の野太い声と、漆黒の鎧は太陽の光を反射するくらいに磨かれ、涼しい顔からは想像がつかない力強い男の声、二人の声が綺麗に合わさり平地に響く。
二人の男の声量はユーリファの拡声器を抜いた声量に勝てなかった。
二人の男は漆黒で禍々しい巨大な両開きの門の前左右に立ち扉に手をつけ────。
「ふっ!がぁああああああああああああっ!!」
「んっ!はぁああああああああああああっ!!」
最初に強靭な体躯をした男が。
次に漆黒の鎧を着た男が扉を押し少しずつ開いていく。
普通は戦士を百人で一斉に押さなければ開かないゲートの扉なのだが、ユーリファによって一日に四回しか使えない能力の一つである<神のご加護>によって今扉を開けている二人の男と、ユーリファの後ろに立つ女性は戦士である人百人近くの力を出すことができて、さらには魔力も上がっているため、これくらいの扉を開けることは容易くできているのだ。
そして完全に開いたゲート。扉の先は既に『魔界』となっており先には多くの魔王軍がいる。
『進めっ!!』
ユーリファを先頭に四人の男女の騎士、最後に『協力同盟』国の騎士達がゲートをくぐっていく。
騎士達全員がゲートをくぐったのを確認したユーリファは空へと魔法<光>を高く曇り─『魔界』は夕方なのか赤い─空へと放つ。すると魔王軍からも同じ魔法空へ放つ。
そして、ユーリファが最初に名のる。
『私は神の子ユーリファ!貴方が魔王か!?』
魔王軍の先頭に立つ一人の魔人が拡声器を口元に持っていき名のる。
『いいえ、私は魔王様の代理を致します、七大罪将軍<強欲>兼軍隊統率指揮官のヴィントゥルです、以後よろしくお願いします』
ヴィントゥルという魔人は、黒のスリーピーススーツは光を反射しないからまるで闇をまとっているように見える。ネクタイは白。腕には禍々しい形をしたガントレットつけている。履いている黒革靴は綺麗に磨かれて淡く輝く。頭は仮面をつけている、模様はほとんどが黒と赤だけで描かれ歪みに歪んだ笑みのは悪魔の顔みたいだ。
七大罪将軍には目の前の魔人<強欲>を初めとし、<憤怒>、<嫉妬>、<怠惰>、<傲慢>、<色欲>、<暴食>がある。
そのなかで一番手強いとされる彼は一日で北側にある人口八百万人が住む『パトラス』王国という国を一人無傷で滅ぼした。
彼のゆっくりとした自己紹介を聞き、過去の話を知る誰もが憎む視線を送るなか、彼女ユーリファは挑発をとばす。
『貴方達の王様はどうしたの!?もしかしてビビってお城から出てこれないとかですか!?』
ユーリファの挑発に乗らず、挑発を投げ返すヴィントゥル。
『いやいや、魔王様は私の力で戦争が早く終わってしまってはつまらないとのこと、なのでお城にて観戦されております』
ヴィントゥルの言葉に少し顔を歪ませる。
「・・・・屑ね」
誰にも聞こえないようにボソッと呟く。
そこで話し合いは終わる。
『ではそろそろ始めましょうか』
『そうだな!では・・・・』
と、ユーリファは息をスゥーと吸う。そのユーリファの行動に騎士達の緊迫感のある顔つきにあり、手に持つ武器を強く握りしめる。それは魔王軍も同じ。
『突撃っ!!!!』
『おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!』
ユーリファの気迫ある先頭開始の合図がでて、騎士達は魔王軍へと雄叫びをあげながら、天使や神官、魔法使いは魔法を使い攻撃を仕掛ける。
進んでくる騎士達を魔法詠唱する敵軍を見ながら、挑発をされても涼しさを感じさせていたヴィントゥルのは喧騒的になり、声は強く吐き出される。
『ゆけーっ!!魔王様に勝利を捧げるのだっ!!』
『おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!』
魔王軍も突撃部隊と魔法部隊で近づく敵に攻撃を仕掛けるため進むのだった。
そして『天界』『現世』対『魔界』の戦争が開始した。
この戦争はいずれ『聖戦』と記される。
*
*
*
戦争が始まって15分の経過、ユーリファと四人の騎士は魔王軍の数の薄い場所から進み、今は魔王城『アスベエル』の近くまで来ていた。
15分しかたっていないのに、今お互いの軍には大量の死人が出ているが、ユーリファ達がほとんど先頭に参加しない理由は、ユーリファの今日『魔王を討つ』という仕事があるからだ。その為に彼女は力を温存しながら進まなければいけないのだ。
ユーリファを囲むように進む四人の騎士は、ユーリファが力を温存するための護衛だ。
彼は他の騎士達よりは確かに強いが、人間の二倍の力や魔力を持つ魔王軍の魔物を倒すにはどうしても時間がかかってしまう。
そんな彼ら、彼女らの為にゲートを開くときに紹介したユーリファの能力により、魔人やアンデットを瞬殺しているので、本来なら一時間はかかってしまう道のりも早く進めているのだ。
今まで黙っていた彼らの中で最初に口を開いたのは、ユーリファから後を守護する女性。名はアウロラ。
『あ、あのさっきの<強欲>の魔人見当たりませんね』
彼女は騎士にしてはオドオドと話す。
彼女は薄い桃色の鎧を着ている。顔はヘルムを被っているため顔は見えず、声は少し響いている。
左右の手に持つ武器は刃の狭く、全体の長さは1メートル20センチで、女性が持つには大きめのバスターソードだ。
彼女に返事を返したのは、ユーリファの左を守護する、強靭な肉体が鎧の下からでも分かる筋肉の持ち主の男だ。彼の名はフィン。
「国を潰した奴でも、俺達の迫力に押されて逃げたんじゃねぇーの?」
彼の話し方は農村育ちのなのと彼の誰にでもフレンドリーさが強いせいか品をまったく感じさせないが、注意してもなおらないので誰もが諦めている。ユーリファも。
彼の装備は今回の為に大きめの彼の特注品鎧を注文したの筈だが、注文後でまた肉がついたせいか鎧の所々に鎖帷子と彼の逞しい筋肉が覗いている。もう填まらないガントレットとグリーヴ(すね当て)とサバトンは(鉄靴)は脱いでいて、すねは鎖帷子、普通の靴を履いている。
武器は銀と黒で戦槌を右手に持ち肩にのせて進んでいる。
顔はゴツくて、顎には髭を少しはやしている。目は鋭い。
髪は単発で前髪を上に上げた黒髪だが、所々白髪が目立つ。
「何言ってるんですか!魔物を早く片付けてるのはユーリファ様のおかげじゃないですか!まったくまったく!!」
『うんうん』
フィンに怒ったのは、ユーリファの右を守護する女騎士、エイル。
エイルの発言に頷く男はユーリファの前を守護をする騎士ローラン。
エイルは金色の鎧で、ポールドロン(肩当て)に花畑の絵が掘られている。
彼女は農村育ちで顔立ちは整っているが、美人と言うよりは活発系で可愛いといったほうがしっかりくる。髪は肩に届く長さで薄い茶髪。カチューシャをつけている。
武器は刃の部分が大きめのハルバードで、馬に股がりユーリファ達に速さを合わせながら進んでいる。
彼女はフィンと同じ農村育ちだが、少しは勉強したのか少しは品を感じる。
ローランは、漆黒の鎧をまとい、傷一つなくさらに、磨きあげられているので空のユーリファとヴィントゥルがはなった魔法<光>の光が反射される。門を潜った後からヘルムを被っているため整った彼の顔が見えない。
彼が右手に持つ武器は金に輝き、魔物達を切っても血の付かないフランベルジュ、両腰には2本の武器一つはレイピア、もう一つはメイスを装備している。
「ほーら、皆集中して!もうすぐ魔王城だよ」
と、ユーリファ。
「「「はーい」」」
「うん」
皆息の合った返事を返す。
「ユーリファ様的には魔王は七大罪をどういう配置にすると思いますか?」
「んー、多分力のあるものを最初において徐々に弱くして、将軍最後に<強欲>を置くんじゃないかな?まぁもしかしたら全員同じ場所に配置して、一気に潰しにかかってくるかもね」
「うへー、それは結構嫌ですね」
『そ、そうだね』
「後者はもしかしたらだけどね」
左をユーリファが見ると「後者は後者はで面白そうだな」と言いながらオーガを斬り倒すフィンがいた。
それを見た、ローラン以外の三人はフィンを、七大罪の<傲慢>みたいだなと思った。
魔王城に近づき門の前まで進む途中で、魔法<死の矢>が五人目掛けて飛んでくる。
それを全員が武器で流したり、切ったりしながらかわす。
皆、即死魔法<死の矢>を使った者を探す。
『愚か、避けずにくらえば楽に死ねたものを』
聞こえてきた声は生者では出せないであろう禍々しく、一言一言が聞くものの生を奪うかのような声。
聞こえたのは門の上から、皆が上を向く。
そこには闇のオーラをまとい、フードを深く被るが口元が見えるが、皮膚はただれていて口を開いていないのに歯が所々剥き出しになっている。ただれた皮膚からは肉が見えたりと一目で生者でないのが分かる。
「考えは当たったわね・・・・やっぱり最初は<憤怒>か・・・・」
七大罪将軍の<憤怒> 姿は見たことは無いが、稀に七大罪に襲われながらも生きて逃げ切るものがいて、その者達から聞いた情報が書かれた書物がある。
それに目を通していたユーリファ達はさっきまでとは違い、戦闘体勢にはいる。
彼はフードから顔を全体的に覗かせ、ユーリファ達に見せるように立っている。
そして<憤怒>はユーリファが言ったことにたいし嘲笑を浮かべる。
『笑止!神の子と呼ばれるお前に対し、一人で待つわけがないだろう!』
<憤怒>がそう言うと、後ろから五体の協力な死のオーラを放つ魔物が現れる。
ただれた口角を釣り上げ言う。
『ここで貴様を殺すのは<強欲>を抜いた私達七大罪だ!』
ユーリファを囲むように立つ四人の騎士は、七大罪将軍─<強欲>を抜いた─者達の見たことのないオーラを感じて一歩後退る。
ユーリファですら背筋に冷たいものが登ってする感覚に身を震わせてしまう。
七大罪はユーリファですら戦闘訓練で少し手を焼く自分の師ファフニールさえもも容易く殺せるだけの力を持つ者がばかりだ。
でもこれは戦闘訓練ではない、ユーリファは装備の力を解放してローランの前へと立つ。
そして<憤怒は>言う。
『悔やんで死んでゆけ、神の子に下等生物らよ』
<憤怒>は手を上げ、指を空へと向けると指先に直径1メートル位の漆黒の球体ができる。それは精神即死魔法<無の世界へ>だ。
ユーリファは左腕に装備する手盾の能力『壊れぬ心の壁』を発動し、防ぐ。
『壊れぬ心の壁』の能力の1つ精神攻撃を無効化にすることができる。
七大罪から目を離さずに後ろの四人の騎士に大声で叫ぶ。
「皆!敵は七大罪将軍<強欲>を抜いた六体の魔物達だ、特に気を付けるのは<憤怒>、<傲慢>、<色欲>!貴方達に私の使える能力、支援魔法を付与するから・・・・こんなところで死なないでね!!」
『了解!!』
四人の声が揃い響きわたる。
ユーリファが付与し終わり、迫ってきた七大罪と戦闘を開始する。
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七大罪将軍との戦闘で少し痛手をおったユーリファだが、四人に護られながら戦っていたこともあり、魔力の量が多い─多すぎる─彼女は魔力消費少しですんだ。
だが、彼女を護りながら戦ったフィンや、エイル達は骨が沢山折れたり、内臓のいくつかが潰れるくらいの重症をおって、今はユーリファが展開した、最上位治癒魔法<女神の抱擁>で治療中だ。
七大罪は全員殆どが傷をおっていなかったが、誰かに呼ばれたかのように転移魔法で姿を消した。
きっと運が良かったのだろうと思いながら、ユーリファは魔王城『アスベエル』の奥へ奥へと進む。
最初は罠でもあるのかと慎重に進んでいたが、1つも見当たらなかった。
それに城には警備する者すら居なかった。
だからユーリファは魔力を使うことなく、今強大な魔力を感じる巨大な扉の前に立っている。
巨大な扉はユーリファが前に立つことで自動的に開いた。
そして全開した扉の先を見たユーリファは驚愕する。
彼女が見たものは、そこは『天界』でも再現が出来ないであろう芸術的でとてつもなく広い玉座の間があった。
「くっ」
城の中は暗く、暗らさに目が慣れていた彼女は痛いくらいの眩しさに手で目を隠す。
玉座の間の輝きに目を慣らす為に少しずつ手をどかしていく。
数分が立ち、目が慣れた彼女は玉座の間を見て、目を大きく、口を大きく広げてまた、驚愕する。
『天界』には無いくらいの豪華な部屋、いくらかかったのか想像できない。
そんな事を考えるためにここへ来たわけでわない!と首を大きくふって奥で、部屋の奥で玉座に背を付け頬づえをつき、深く座わる存在へと目を向ける。
ついに来れた。魔王のもとへと────。
「来たぞ、魔王」
ユーリファのその言葉に、魔王も答える。
『待っていた、神の子よ』
魔王は頬づえをついていた手をユーリファへとむけた。
そしてユーリファには聞こえない位の小さな声で呟く。
『私の愛しき君よ・・・・エリス』
えー、話が始まってすぐ前編、後編物早すぎですかね?
長くなりそうだったので切りました。
すみません!