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枯れ専女子が中年王国にトリップ!?  作者: 権左衛門
枯れ専女子中年王国にとぶ
6/18

エルティスさん星を飛ばす

「ふー……」

サティさんは息を吐き出しながら、私をベッドの上に降ろしてくれた。


「すいません、やっぱり重かったですよね……」

そう言った私にサティさんは慌てた様子で首を横に振った。

「いやいや、ゆみ子ちゃんが重いんじゃなくて私の鍛え方が足りないんだよ。やっぱり歳かねぇ。」

そう言いながらサティさんは笑った。


「歳って……。サティさん、まだお若いですよね?」


「ははっ、若くないよ。若く見えるかい?いったいゆみ子ちゃんは私を何歳だと思ってるんだい?」


「んー……、40歳くらい?」


「本当かい~?お世辞でも嬉しいよ、ありがとう。」

とサティさんは笑って頭を撫でてくれた。

あ、また撫でてくれた。サティさんの癖らしいものだ。


「お世辞なんて……! 」

「私はもう43歳だよ。3歳も若く見られるなんて嬉しいね」

と笑ってくれた。


「そうだ、ゆみ子ちゃん足を見せてくれないかい?」


「へ……?足、ですか……?」


「いくらなんでも女性の足を勝手に触るわけにはいかないからね」

と言われ、なんで足?と思ったが、とりあえず

「いいですよ」と返事をし、足を見せた。


「ちょっと失礼」

とサティさんは言いながら私の右足に触れた。

足首を触られ、痛みと触れられた驚きでビクッとした私に

「痛いかい?」

と尋ねてきた。


「少しだけ……。」


「やっぱり、さっきの時に足首をひねったみたいだね。エルティスを呼んでこよう」


「そこまで酷くないですし、そこまでしてもらわなくても大丈夫ですよ」

と言う私に


「女の子なんだから自分を労らないと」

と言い残し、部屋を出ていった。


きっと、エルティスさんを呼びにいってくれたのだろう。

ありがたく座って待つ。

サティさんに触れられたところがジンジンと熱くなる。

痛みによるものもあるのだろうが、きっとそれよりもサティさんに触れられたからだろう。







「やぁ、ゆみ子ちゃん元気だったかい?」

とドアが開け放されて声をかけられた。


「ははは」、と元気だったらあなたを呼びませんよと思いながら笑った。ただし、愛想笑いと言うやつだ。

さっきまでそんなに痛くなかった足首がだんだんと痛みが酷くなってきたからだ。

笑っている余裕なんてない。でも、あたるわけにもいかない。


エルティスさんは、さすが医者と言うべきが私の顔色が悪いことに気づいたみたいで早足で近づいてきた。


「大丈夫じゃないみたいだね?」


「さっきよりも痛みが酷くなってきちゃって……」


「ちょっと見せて」

とエルティスさんが私の足首に触れてきた。


「いっ……つぅー……」


「ちょーっと我慢してね~」


いつのまにかサティさんは私の隣に立っていた。

そして、心配そうな目を向けている。


「エルティス、治るかい?」

いや、治るでしょ!というつっこみをしたくなったが患部をエルティスさんが触れたから、そんな余裕はなくなった。


「んー、これは……」

え、治らないの!?


「………………」


「な、治らないんですか……?」

恐る恐る聞く私にエルティスさんは、目をしっかりと合わせて言ってくれた。


「大丈夫、治るよ☆」

星を飛ばしている。

もうなにがなんだか……。


「ただし、安静にしてるんだよ?」


「はーい」

私も馴れてきたせいか、返事がだるだるしいものになってきた。


「サティ様、そのタオルを水で冷やして来てくれませんか?」


「ああ、わかったよ」

サティさんはせかせかと洗面台の方へ歩いていった。




戻ってきたサティさんの手に握られていたタオルをエルティスさんは私の足首に当てた。


ひやっとした感覚に

「……っめた」

と声を出してしまった。


「我慢、我慢」


「頑張れ、ゆみ子ちゃん!」


我慢しろと言うエルティスさんに、励ましてくれるサティさん。


サティさんは立っているが、エルティスさんは私の足下にしゃがんでいる。


んなエルティスさんの髪の毛がふわふわと開けていた窓から入ってきた風に揺られている。


思わず触りたくなったが、エルティスさんも私よりも少なくとも10歳は歳上だ。そんな相手に遠慮なく触ることもできずに、冷たさと痛みをこらえた。



5分くらい冷やしていただろうか、エルティスさんはタオルを私から離し

「とりあえずもう大丈夫だよ。湿布貼っとくから、毎日替えにおいでね」

と言った。


「どこに替えに行ったらいいんですか?」


「それは王子さまに聞いたらわかるから。というよりも、歩いたら大変だろうから王子さまにおんぶしてもらいなよ」

と言う。


「!?!?サティさんにそんなことお願いできませんよ!」


「いやいや、私はゆみ子ちゃんが大丈夫だったら全然構わないよ」


「ほら、王子もこう言ってるんだし、毎日ちゃんとおいでよ」

と言い残し、エルティスさんは私の頭を一撫ですると部屋を出ていった。



「じゃあ、明日から毎日朝食後に来るから」

とサティさんは言うとサティさんも部屋を出ていった。


私は一人きりになった部屋で、ばたんとベッドに倒れこむと、エルティスさんに触れられたときはジンジンしなかったなぁとエルティスさんに触れられたときを思い出していた。







ふと寒さを感じて開いていた窓のところまで、まだ痛む右足を引きずりながら行くと、庭が見えた。

そこにさっき見た帽子をかぶっている人がいた。

暇だったので、じーっと見ていると庭に生えている木の手入れをしていた。


「やっぱり庭師さんだったんだなぁ。」

と呟くと聞こえたわけでもないだろうに、こちらを振り返った。


慌てて目をそらす。

そして、またゆっくりとそっちを見るとまだこっちを見ていた。

頭を下げると


「こんにちは!!!」

と大きな声で声をかけられた。

慌てて

「こんにちはぁ!」

と大きな声で返した。


そのまま

「先程廊下で転んでらしてましたけど、大丈夫ですか~?」

と話しかけられた。


へっ!?なんで転んだことを知ってるの!?

だが、急いで返事をした。

「大丈夫です!!」


「それならよかったです~!」

と笑顔でその人は言い、失礼しますと言うと頭をペコリと下げて仕事にまた戻ったようだ。


私も頭を下げると、また痛む右足を引きずってベッドに戻って横になった。

庭師さんもおじさんだったなぁ。

歳はサティさんよりも少し年下くらいかな?カメルさんくらい?



そして、私はそのまま意識を遠くに沈めてしまった。




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