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ヒロキ・ヒイラギの植物図鑑 第2部

「オレクス」★★★☆☆


 北ミーラの更に北の平野に生育している巨木。オレクスの存在自体は以前より知られていたが北ミーラ山に阻まれ運搬が難しかったためフォイップ、エアリー共に特に重要視されていなかった。

 所が5年前、オレクスから多量の樹液が採取でき、その樹液に発火性があることが発覚し自体は変わった。その爆発的発火性は機械や暖房などの燃料に使われユードラ半島にエネルギー革命を起こした。オレクスの木材は耐熱性も耐火性にも優れ丈夫。文句なしの植物である。

 樹液、木材とも優れたオレクスであるが発育に時間がかかるのが難点。樹液が取れるまで数十年かかる為、需要と供給が間に合わずオレクスが枯渇。僅かに残ったオレクスをめぐりフォイップとエアリーは対立、今日の戦争がある。




「ジライソウ」★☆☆☆☆


 ユードラ半島の至る所に生息する食虫植物の一種。開いた本の様な姿をしている。ネズミトリソウというネズミを捕食する植物を兵木用に品種改良した結果生まれた植物であり自然に生まれたものではない。

 20年前に勃発したフォイップ王国とエアリー共和国の戦争時に両国がユードラ半島全域にばらまいたためにいたるところに生息している。

 普段は土を被っていて目視できないのだが踏みつけてしまうと鋭い歯の生えた葉をまるで動物の口のようにパックンと閉じてしまう。その力は強烈で人の足なんかは軽々と噛みちぎってしまう。兵木用だったこともあり少しの養分でも育ち繁殖能力も高く、砂漠や豪雪地帯でも問題なく生育する。

 人間の予想を超える繁殖能力と適応能力のためにユードラ半島は足の踏み場をなくしてしまい戦争は休戦協定へと流れた。

余談だがこの休戦協定時に本来フォイップ王国の土地であるロデッサがエアリー共和国領となり人々はジライソウを避けるために木の上や空で暮らし始めた。

 フォイップ王国で確認できるだけでも1年に200件以上のジライソウ被害が起こっている。エアリー共和国も合わせたら更に数が多くなることだろう。

 ジライソウの被害に遭わないためには地面を出来るだけ歩かないことである。石などで隙間なく舗装された道でもない限り生息している。地面に隙間はないと思ったほうがいい。またジライソウは除去のことを考えて”敢えて火に弱く造られている”ため何らかの炎で地面を焼くとみるみるうちに消滅する。しかし炎は火事などの危険がある上に除去よりも繁殖の方がスピードが早くジライソウの全面除去は事実上不可能とされている。




「ボルーキ」★★★★★


 フォイップ王国の王都、都市名だが植物学的にも興味深いでここに記す。

ボルーキは遠くから見ると巨大な球体に見える。その球体の正体は巨大な毬藻。

元々はただの小さな毬藻だったのだが藻に藻が付くこと数万年、巨大な毬藻となった。

 この毬藻を都市に改造したのは約500年前、街の完全防衛を目指し多くの人間と年月をかけて建造した。その計画の主導者がガデム・サイエ国王の先祖である。

太古の毬藻という事もあって表面以外はもはや化石になっている。ボルーキ中央広場に存在するオブジェは正しく太古の毬藻である。

またボルーキに古くからある建物の中には毬藻の化石を建築材料として使った建物がある。ボルーキ城やボルーキ大学などがそれだ。

 街の防衛のために毬藻を使ったわけだがその防衛能力は本物、20年前の戦争時にも外部からの攻撃を寄せ付けなかった。また地面も硬い毬藻の化石になっている為ジライソウが生息していない。ユードラ半島において安心して地に足を下ろせる唯一の街である。




「大四葉」★★★☆☆


 2~3m程にもなる巨大なクローバー。葉は鉄のように丈夫であり茎はしなやかだが丈夫。葉を少し曲げ、茎をバネ上に加工した物が「クロウバ」と呼ばれる小型飛行艇の動力として使われている。バネはゼンマイとして使うため特別燃料を使用しないところがミソ、オレクスの枯渇にも無縁である。

 一度ゼンマイを巻くと巨大な葉が高速回転し巨大な揚力を得る。そのままカゴ状の乗り場を空中に浮かせるというわけである。一度に飛べる時間は条件にもよるが2時間ほど。どこか遠くの地方ではこのような乗り物をヘリコプターと呼ぶらしい。クロウバは大鳥とはまた違った乗り心地、挙動をするため空中作業をするときはこちらも使われることがある。

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