第六話
打ち上がる花火はとても綺麗だったはず。
亮の冗談が今でも耳に残っている。
私は花火を存分に見ていない気がする。
帰り道。
亮と裕也と別れてすみれと2人。
「瀬奈?瀬奈?聞いてる?」
「あ、ごめん。すみれ・・」
「何かあった?」
亮は大親友のすみれの好きな人だ。
亮が男の子慣れしていない私をああいう風に扱うからドキドキしただけであって。
それが裕也でもドキドキしてたんだよ、きっと。
自分なりに解釈して自分を納得させる。
「なんにも!ごめんごめん!」
「も~。でさ、亮やっぱり、好き。」
「え、ああ、どうしたの?」
平静を装う。
「今日ね、瀬奈いなくなった時、あたし混乱しちゃって。瀬奈電話も繋がらないし、テンパってたの。そしたら、亮がさ、俺がすみれの為に探してくるよ。って!」
「あ、そうなんだ!よかったじゃん!」
ズキッ
亮は私のことが心配で、とかじゃなくて、私を心配してるすみれの為に探しに来てくれたんだ。なんだ。
思ったよりもガッカリする自分がいた。
な、なにこれ。
モヤモヤする気持ち。
「じゃあね!瀬奈。また連絡する。」
「ばいばい。」
なんだろう。
この気持ち。
普段なら何も思わないのに。
亮が、亮がドキドキさせるからだよ、、
亮はすみれの好きな人なんだから。