第三話
その日は軽い自己紹介と挨拶だけだったので、学校はすぐ終わった。
「じゃあね~!瀬奈!すみれちゃん!」
「あ、亮。ばいば~い。」
「ばいばい。」
キョロキョロ。
裕也を探してしまう。
裕也は一緒に帰らないか。
「瀬奈。」
「ん?どした?」
「り、亮くんってどう思う?」
「なに、いきなり。まだ初日だよ?どうもこうも何も思わないよ。」
「わ、私ね。一目惚れしちゃったかも。」
「・・・ええっ!亮に?」
コクッコクッ
縦に頷くすみれ。
「な、なんで?学年トップの佐々木は?」
自己紹介があったので、同じクラスの学年トップの人も知っていた。
「最初佐々木くんいいなって思ってたの。でも、亮くんすごくかっこいい!」
確かに、佐々木も亮もかっこいい。
佐々木は大人っぽいし、勉強もできるみたいだし、もうすでに噂されている。
亮はかっこいいと言うか、どちらかと言えば可愛い系。無邪気だし、もうクラスのリーダー的存在になっていた。
「すみれって本当恋愛体質だね。(笑)」
「~っ。瀬奈!私、亮くん頑張る!」
「うん、頑張って~!」
「瀬奈は、相変わらず裕也?」
「は?ないない!」
「え~そろそろ言ってくれてもいいんじゃない?」
「ないよ!裕也は大切な友達!」
「そっかぁ。」
そう。裕也は恋愛感情なしの大切な友達。
中学の時もお互いそういう風に見たことはないし、これからもそう。
だと思っていたのに。