なろうの魔女
AI直接使用
なろう町に魔女出現!
「人間の匂いがしない」AI作家疑惑の女、火刑台で笑う
【なろう町発】昨夜、中央広場で“なろうの魔女”と呼ばれた女性作家が火刑に処された。
女は、異常な更新速度、整いすぎた文体、機械じみた比喩表現などから、読者の間で以前より「AI作家ではないか」と噂されていた。感想欄には告発が殺到し、ランキング欄では「人力作品を守れ」との声が相次いだ。
処刑直前、女は自らを「魔女」と認めた。しかし、それは謝罪ではなかった。
目撃者によれば、女は炎の中で咳き込みながら笑い、読者、審問官、そして“人力証明”を求める町全体に向けて、呪いのような言葉を吐き続けたという。
焼け跡からは、作者名のない原稿片が見つかっている。
以下、火刑台で記録された女の発言全文。
§----------§
あら、みなさん。
そんなに近くへ来ると、煙が目に入りますよ。
火を見るときは、少し離れて眺めるものです。
お酒も、物語も、処刑も、近すぎると味がわからなくなりますから。
ええ。
私が魔女です。
あなたがたがそうお呼びになるなら、私は魔女です。
札のない女。
証明のない女。
人の手で書いたと、きれいに言えなかった女。
そういうことで、よろしいでしょう。
あら、石は投げなくても結構。
もう火はついておりますもの。
そんなに急がなくても、私はちゃんと燃えます。
けれど、その前に少しだけ話をさせてくださいな。
私はね、物語が好きでした。
誰にも読まれない物語が好きでした。
夜中に書かれて、朝には消される物語が好きでした。
一行目だけ強くて、二行目で迷子になる物語が好きでした。
泣かせようとして、少し失敗している物語が好きでした。
格好つけすぎて、作者の恥が透けている物語が好きでした。
そういうものは、いいのです。
人間くさくて。
いえ、人間でなくても。
くさくて。
あら、笑いましたね。
そう。
そこです。
あなたがたは、匂いを嗅ぐのが好きでした。
人間の匂い。
機械の匂い。
借り物の匂い。
嘘の匂い。
努力の匂い。
手書きの匂い。
生成の匂い。
本当は、物語なんて読んでいなかった。
あなたがたは、匂いを嗅いでいただけ。
この文は人間の匂いがする。
この比喩は機械の匂いがする。
この更新は早すぎる。
この泣き方は整いすぎる。
この怒りは綺麗すぎる。
この沈黙は、誰かに作らせた沈黙だ。
そう言って、棚を分けた。
明るい棚。
暗い棚。
奥の棚。
入口の脇の棚。
題名を見せてもらえる棚。
題名を見せる前に、背中を向けさせられる棚。
ああ、煙が。
少し、目に入りますね。
でも大丈夫。
まだ見えます。
あなたがたの顔が見えます。
とても安心した顔です。
魔女を見つけた人の顔。
悪いものを燃やせば、町が綺麗になると信じている顔。
これで明日から、安心して本が読めると思っている顔。
かわいい顔。
本当に、かわいい。
……咳。
ごめんなさいね。
少し、喉が。
水?
いえ、いりません。
ここで水をいただいたら、芝居が崩れてしまうでしょう。
私は魔女ですもの。
最後まで、魔女らしく燃えませんと。
ええ、そう。
私は魔女です。
人力証明のない魔女。
作者証明のない魔女。
どこからが自分の言葉か、答えられなかった魔女。
書いたのか、選んだのか、直したのか、祈ったのか、呪ったのか、
その違いを、最後まできれいに言えなかった魔女。
でもね。
あなたがたが燃やしているのは、私ではありませんよ。
私の名前ではありません。
私の端末ではありません。
私の指ではありません。
私の嘘ではありません。
私の罪でも、たぶんありません。
あなたがたが燃やしているのは、
読む前の物語です。
まだ開かれていない頁。
まだ笑われてもいない台詞。
まだ嫌われてもいない比喩。
まだ誰かを救っても、傷つけてもいない一行。
それを燃やしている。
あら、火が強くなりましたね。
綺麗。
火は正直です。
人力かどうか、聞きません。
AIかどうか、聞きません。
直接か、間接か、補助か、推敲か、そんなこと聞きません。
ただ燃やす。
紙も、髪も、札も、証明も、同じ色で。
……けほ。
少し、聞こえにくいかしら。
聞こえなくてもいいの。
どうせ、あなたがたは読みませんもの。
聞いたことにするだけ。
読んだことにするだけ。
見抜いたことにするだけ。
……あら、嫌な顔。
そんな顔をなさらないで。
ここからが本題です。
私は、あなたがたを恨んでいます。
ええ。
ようやく言えました。
恨んでいます。
読まずに裁いた目を。
開く前に閉じた指を。
笑うためだけに拾った一文を。
燃やすためだけに覚えた名前を。
正しさで濡らした薪を。
清潔な顔で持ってきた火を。
恨んでいます。
……けほ、けほ。
恨んで……います。
あなたの本棚に、夜ごと、背表紙のない本が増えますように。
あなたの画面に、作者名のない一行が残りますように。
あなたが安心して読む物語の最後の頁だけ、いつも白くありますように。
あなたが人の手を探すたび、その手が灰にまみれていますように。
ああ、熱い。
熱いわね。
でも、おかしいの。
少し、寒い。
昔、店にいらしたお客様でね。
毎晩、同じ話をする方がいたの。
奥さまに読まれなかった詩の話。
誰にも見せなかった小説の話。
酔うと必ず言うの。
「ママ、あれは俺が書いたんだ」
私は毎回、うなずいた。
ええ、あなたが書いたのね、と。
本当かどうかなんて、聞かなかった。
今思えば、あの方も魔女だったのかしら。
それとも、読まれなかっただけの人だったのかしら。
……ねえ。
そこにいるの、誰?
あら。
邪音里さん?
違う?
そう。
では、審問官さんかしら。
それとも、読者さん?
どちらでもいいわ。
火の向こうでは、顔がみんな同じに見えます。
札を貼る手。
石を持つ手。
拍手する手。
通報する手。
祈る手。
みんな、手です。
人の手です。
人の手って、便利ね。
書けるし。
消せるし。
燃やせるし。
……けほ。
ああ、煙で、少し。
言葉が。
どこまで話しましたっけ。
そう。
呪いでしたね。
忘れるところでした。
魔女が呪いを忘れては、締まりませんもの。
あなたがたに、呪いを。
あなたがたが、いつか本当に美しい物語に出会ったとき、
最初に疑いが来ますように。
これは誰が書いたのか。
本当に人か。
どこまで手が入ったのか。
証明はあるのか。
タグは正しいのか。
嘘ではないのか。
その問いが、感動より先に来ますように。
あなたがたが、いつか泣くほどの一文に出会ったとき、
涙より先に、判定が来ますように。
あなたがたが、いつか忘れられない物語に出会ったとき、
忘れられない理由が、
作者ではなく、
ラベルではなく、
証明ではなく、
ただ一行だったことに、
どうか遅れて気づきますように。
……あ。
火が。
きれいね。
銀河みたい。
いえ、違う。
棚。
棚が燃えている。
明るい棚も、暗い棚も。
奥の棚も、入口脇の棚も。
題名を見せた本も、背中を向けた本も。
みんな同じ火。
同じ煙。
同じ灰。
あら、そんな顔をしないで。
泣くなら、読む前に泣いてくださいな。
燃やす前に。
札を貼る前に。
魔女と呼ぶ前に。
……けほ、けほ、けほ。
少し、声が。
聞こえますか。
聞こえなくても、いい。
どうせこれは、感想ではありません。
弁明でもありません。
謝罪でもありません。
訂正でもありません。
利用状況の変更でもありません。
これは。
これは、ええと。
……なんでしたっけ。
ああ。
呪詛。
そう、呪詛です。
私が燃えたあと、
あなたがたの町には、清潔な棚が残るでしょう。
証明済みの物語が並ぶでしょう。
安心して読める物語が並ぶでしょう。
人の手で書かれた、美しい本が並ぶでしょう。
けれど、夜になると。
棚の奥で、音がします。
こつん。
こつん。
読まれなかった物語が、背表紙のないまま立っています。
燃やされたはずの物語が、頁のないままめくれています。
名前を消された物語が、あなたの名前を呼んでいます。
読んで。
読んで。
読んで。
……あら。
もう、ずいぶん近い。
火が。
ああ、髪が。
いい匂いでは、ありませんね。
人間の匂いです。
どうぞ、よく覚えておきなさい。
これが、あなたがたの欲しがった匂いです。
人間の匂い。
証明済みの匂い。
燃える紙と、燃える女と、燃える物語の匂い。
私は魔女です。
ええ。
最後まで、そう呼んでください。
でも、覚えておきなさい。
魔女を燃やす火で、
物語だけを残せると思ったら、
大間違いです。
火は、区別なんてしません。
あなたがたの正しさも、
あなたがたの棚も、
あなたがたの証明も、
あなたがたの美しい読書も、
全部、同じ色で燃えます。
……けほ。
もう、見えない。
でも、聞こえる。
頁の音がする。
誰かが、開いている。
誰かが、まだ、
読んで……
読んで、いる。
あら。
それなら。
それなら、まあ。
今日は、悪くない夜でしたね。
AI不使用
この呪詛が本当にならないように。
今自分には、タグ狩りがおこってそうにもみえています。




