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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

なろうの魔女

作者: としかわ
掲載日:2026/05/30

AI直接使用

なろう町に魔女出現!


「人間の匂いがしない」AI作家疑惑の女、火刑台で笑う


【なろう町発】昨夜、中央広場で“なろうの魔女”と呼ばれた女性作家が火刑に処された。


女は、異常な更新速度、整いすぎた文体、機械じみた比喩表現などから、読者の間で以前より「AI作家ではないか」と噂されていた。感想欄には告発が殺到し、ランキング欄では「人力作品を守れ」との声が相次いだ。


処刑直前、女は自らを「魔女」と認めた。しかし、それは謝罪ではなかった。


目撃者によれば、女は炎の中で咳き込みながら笑い、読者、審問官、そして“人力証明”を求める町全体に向けて、呪いのような言葉を吐き続けたという。


焼け跡からは、作者名のない原稿片が見つかっている。


以下、火刑台で記録された女の発言全文。


§----------§


あら、みなさん。


そんなに近くへ来ると、煙が目に入りますよ。

火を見るときは、少し離れて眺めるものです。

お酒も、物語も、処刑も、近すぎると味がわからなくなりますから。


ええ。

私が魔女です。


あなたがたがそうお呼びになるなら、私は魔女です。

札のない女。

証明のない女。

人の手で書いたと、きれいに言えなかった女。


そういうことで、よろしいでしょう。


あら、石は投げなくても結構。

もう火はついておりますもの。

そんなに急がなくても、私はちゃんと燃えます。


けれど、その前に少しだけ話をさせてくださいな。


私はね、物語が好きでした。


誰にも読まれない物語が好きでした。

夜中に書かれて、朝には消される物語が好きでした。

一行目だけ強くて、二行目で迷子になる物語が好きでした。

泣かせようとして、少し失敗している物語が好きでした。

格好つけすぎて、作者の恥が透けている物語が好きでした。


そういうものは、いいのです。

人間くさくて。

いえ、人間でなくても。

くさくて。


あら、笑いましたね。


そう。

そこです。

あなたがたは、匂いを嗅ぐのが好きでした。


人間の匂い。

機械の匂い。

借り物の匂い。

嘘の匂い。

努力の匂い。

手書きの匂い。

生成の匂い。


本当は、物語なんて読んでいなかった。

あなたがたは、匂いを嗅いでいただけ。


この文は人間の匂いがする。

この比喩は機械の匂いがする。

この更新は早すぎる。

この泣き方は整いすぎる。

この怒りは綺麗すぎる。

この沈黙は、誰かに作らせた沈黙だ。


そう言って、棚を分けた。


明るい棚。

暗い棚。

奥の棚。

入口の脇の棚。

題名を見せてもらえる棚。

題名を見せる前に、背中を向けさせられる棚。


ああ、煙が。


少し、目に入りますね。


でも大丈夫。

まだ見えます。


あなたがたの顔が見えます。

とても安心した顔です。

魔女を見つけた人の顔。

悪いものを燃やせば、町が綺麗になると信じている顔。

これで明日から、安心して本が読めると思っている顔。


かわいい顔。


本当に、かわいい。


……咳。


ごめんなさいね。

少し、喉が。


水?

いえ、いりません。

ここで水をいただいたら、芝居が崩れてしまうでしょう。


私は魔女ですもの。

最後まで、魔女らしく燃えませんと。


ええ、そう。

私は魔女です。


人力証明のない魔女。

作者証明のない魔女。

どこからが自分の言葉か、答えられなかった魔女。

書いたのか、選んだのか、直したのか、祈ったのか、呪ったのか、

その違いを、最後まできれいに言えなかった魔女。


でもね。


あなたがたが燃やしているのは、私ではありませんよ。


私の名前ではありません。

私の端末ではありません。

私の指ではありません。

私の嘘ではありません。

私の罪でも、たぶんありません。


あなたがたが燃やしているのは、

読む前の物語です。


まだ開かれていない頁。

まだ笑われてもいない台詞。

まだ嫌われてもいない比喩。

まだ誰かを救っても、傷つけてもいない一行。


それを燃やしている。


あら、火が強くなりましたね。


綺麗。


火は正直です。

人力かどうか、聞きません。

AIかどうか、聞きません。

直接か、間接か、補助か、推敲か、そんなこと聞きません。

ただ燃やす。

紙も、髪も、札も、証明も、同じ色で。


……けほ。


少し、聞こえにくいかしら。


聞こえなくてもいいの。

どうせ、あなたがたは読みませんもの。

聞いたことにするだけ。

読んだことにするだけ。

見抜いたことにするだけ。


……あら、嫌な顔。


そんな顔をなさらないで。

ここからが本題です。


私は、あなたがたを恨んでいます。


ええ。

ようやく言えました。


恨んでいます。


読まずに裁いた目を。

開く前に閉じた指を。

笑うためだけに拾った一文を。

燃やすためだけに覚えた名前を。

正しさで濡らした薪を。

清潔な顔で持ってきた火を。


恨んでいます。


……けほ、けほ。


恨んで……います。


あなたの本棚に、夜ごと、背表紙のない本が増えますように。

あなたの画面に、作者名のない一行が残りますように。

あなたが安心して読む物語の最後の頁だけ、いつも白くありますように。

あなたが人の手を探すたび、その手が灰にまみれていますように。


ああ、熱い。


熱いわね。


でも、おかしいの。

少し、寒い。


昔、店にいらしたお客様でね。

毎晩、同じ話をする方がいたの。

奥さまに読まれなかった詩の話。

誰にも見せなかった小説の話。

酔うと必ず言うの。


「ママ、あれは俺が書いたんだ」


私は毎回、うなずいた。

ええ、あなたが書いたのね、と。

本当かどうかなんて、聞かなかった。


今思えば、あの方も魔女だったのかしら。

それとも、読まれなかっただけの人だったのかしら。


……ねえ。


そこにいるの、誰?


あら。

邪音里さん?

違う?

そう。

では、審問官さんかしら。

それとも、読者さん?


どちらでもいいわ。

火の向こうでは、顔がみんな同じに見えます。


札を貼る手。

石を持つ手。

拍手する手。

通報する手。

祈る手。


みんな、手です。


人の手です。


人の手って、便利ね。

書けるし。

消せるし。

燃やせるし。


……けほ。


ああ、煙で、少し。


言葉が。


どこまで話しましたっけ。


そう。

呪いでしたね。


忘れるところでした。

魔女が呪いを忘れては、締まりませんもの。


あなたがたに、呪いを。


あなたがたが、いつか本当に美しい物語に出会ったとき、

最初に疑いが来ますように。


これは誰が書いたのか。

本当に人か。

どこまで手が入ったのか。

証明はあるのか。

タグは正しいのか。

嘘ではないのか。


その問いが、感動より先に来ますように。


あなたがたが、いつか泣くほどの一文に出会ったとき、

涙より先に、判定が来ますように。


あなたがたが、いつか忘れられない物語に出会ったとき、

忘れられない理由が、

作者ではなく、

ラベルではなく、

証明ではなく、

ただ一行だったことに、

どうか遅れて気づきますように。


……あ。


火が。


きれいね。


銀河みたい。


いえ、違う。

棚。

棚が燃えている。

明るい棚も、暗い棚も。

奥の棚も、入口脇の棚も。

題名を見せた本も、背中を向けた本も。


みんな同じ火。


同じ煙。


同じ灰。


あら、そんな顔をしないで。

泣くなら、読む前に泣いてくださいな。

燃やす前に。

札を貼る前に。

魔女と呼ぶ前に。


……けほ、けほ、けほ。


少し、声が。


聞こえますか。


聞こえなくても、いい。


どうせこれは、感想ではありません。

弁明でもありません。

謝罪でもありません。

訂正でもありません。

利用状況の変更でもありません。


これは。


これは、ええと。


……なんでしたっけ。


ああ。


呪詛。


そう、呪詛です。


私が燃えたあと、

あなたがたの町には、清潔な棚が残るでしょう。

証明済みの物語が並ぶでしょう。

安心して読める物語が並ぶでしょう。

人の手で書かれた、美しい本が並ぶでしょう。


けれど、夜になると。


棚の奥で、音がします。


こつん。

こつん。


読まれなかった物語が、背表紙のないまま立っています。

燃やされたはずの物語が、頁のないままめくれています。

名前を消された物語が、あなたの名前を呼んでいます。


読んで。


読んで。


読んで。


……あら。


もう、ずいぶん近い。


火が。


ああ、髪が。


いい匂いでは、ありませんね。

人間の匂いです。

どうぞ、よく覚えておきなさい。


これが、あなたがたの欲しがった匂いです。


人間の匂い。

証明済みの匂い。

燃える紙と、燃える女と、燃える物語の匂い。


私は魔女です。


ええ。

最後まで、そう呼んでください。


でも、覚えておきなさい。


魔女を燃やす火で、

物語だけを残せると思ったら、

大間違いです。


火は、区別なんてしません。


あなたがたの正しさも、

あなたがたの棚も、

あなたがたの証明も、

あなたがたの美しい読書も、


全部、同じ色で燃えます。


……けほ。


もう、見えない。


でも、聞こえる。


頁の音がする。


誰かが、開いている。


誰かが、まだ、

読んで……


読んで、いる。


あら。


それなら。


それなら、まあ。


今日は、悪くない夜でしたね。

AI不使用


この呪詛が本当にならないように。

今自分には、タグ狩りがおこってそうにもみえています。

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