ピオーネとライム
新章。暗殺者たち。
ピオーネとライムは幼い頃に家族と仲間を殺され二人で各地を転々。
元々城下町との境に村があったものだから否応なく戦に巻き込まれることに。
難を逃れた二人は城下町の良くしてくれた商人の家で暮らすようになった。
だが一年と持たずに離れることに。我慢の限界だった。
妹のライムがこの商人の二男に惚れられてしまいしつこくされる。
ライムは大人しくて言うことを聞く病弱な女の子。
ピオーネに似ずに肌は白く美しい。緑がかった目が特徴。
代わりにピオーネは働き者で日焼けで皮膚だけでなくいつの間にか心まで黒く。
そんな正反対の二人だが仲は良い。特にライムはピオーネに頼り切っている。
ただ当然のことながら暮らしは良くならない。
商人の家を飛び出し河原のボロ屋に住み着いたが大雨の影響ですぐに水浸しに。
家を変え人を頼るのも限界。故郷を離れることを決意。
そこで噂に聞く大都市ラクエラに憧れるようになる。
こうして二人はラクエラを目指すことに。
第三の都市ラクエラ。
ラクエラならばと全国からそのような流れ者が。
二人も三年を掛けゆっくりラクエラへ。
その途中では山賊や追い剥ぎや悪党の餌食になりかけたがどうにか切り抜ける。
奴らと来たらいきなり囲んで奪っていく。なけなしの金や服まで奪うから最悪だ。
ものを仕入れては市場の隅で売るを繰り返してどうにかラクエラまで。
そこで一獲千金のチャンスが訪れる。
「なあピオーネ。これ知ってるか? 」
金を勘定してると客の一人が噂話を持ってきた。
こいつと来たら町の情報屋を気取っていてつまらない噂話を持ってくる。
大抵が胡散臭いホラ話で客でなかったら無視してるところ。
「おい。もう店じまいだと言ってるだろう! さっさとどこかに行っちまいな!」
どうでもいい訳でもないが明らかに怪しい奴で胡散臭い話しか持って来ない。
そんな話に耳を傾ける暇はない。明日の仕入れもある。だから邪険に扱う。
今は手が離せない。金を数えてる時に邪魔されるのが一番腹に立つ。
それに危険でもある。金を数えてる間はどうしても無防備になるからな。
「いいのかい? これは一獲千金のチャンスだぜ。もうこんな話はないだろうさ」
「へへへ…… あっそう」
「懸賞金はな…… それだけじゃない。住むところだって提供してくれるぜ」
「おいそれ本当かよ? 嘘じゃねいだろうな? 」
つまらない儲け話には散々懲りてるのにそれでも引きつけられる魔力がある。
それはとても美味なもの。今の苦境を救えるだけのものがあるのだから。
「だからもう時間で…… 」
「本当だって。信じろよ。詳しい話を聞いて行かないか?
聞くだけならタダだから。いや金を払ったっていいぐらいだ」
誘惑に乗る。悪い癖。これで何度騙されたか? 危険な目に遭ったか?
金をやってもいいと言う輩の話など聞く必要はない。だが顔馴染みでもある。
無下に断るのも悪いし第一に話も聞かずに断るのは礼儀知らずだろう。
つい流されてしまう。最初の決意が揺らぐ事態。弱いんだろうな。
でもこれも貧しいのが原因。それを払拭すればもう惑わされない。
「お願いします」
「よしそう来なくっちゃ。いいか。おかしな連中が紙をバラまいている」
「はあ? 紙? 関係ないって! 」
「それがあるんだよ。その紙は招待状だ」
自分は実物を見たので分かると。自信満々。どうも信用できないよなこいつ。
「招待状? 関係ないね。今の私らには関係ないことだね」
「いいのかよ? このままだとラクエラでライムを売り飛ばすことになる」
常連客のこいつはライムを知ってる。そしてライムがこの街でも狙われている。
それは合法的にも非合法に無理やりにでも。そんな世界に私らは生きている。
やはり魔の手が迫っていたか? これは急いで手を打つ必要があるな。
「知るか! もう帰ってくれよ! 邪魔だって言ってるだろう! 」
「最後まで聞けって。そのライムの為にもあの招待状が必要になるんだろうが。
うまく行けば金はタンマリ。借金溜まってんだろう? 悪い話じゃないと思うぜ」
おかしな誘い。しかし私は……
「これはお前たちの為。急いだ方がいい。招待状は僅かだ。
度胸のある者を求めてる。さあ行け! 」
「お前は? 」
「ははは…… お礼はいいさ。上手く行ったら多少の見返りをもらうがな。
だから早く行ってこい! 」
なぜか送り出される。清々しいほどの笑顔で。これは胡散臭いな。
こうして乗せられて招待状争奪戦に参加することに。
詳しい場所を聞いて急いで向かう。一か所だけではなく数か所回っているそう。
奴の話を信じればもう争奪戦は始まっていると。
着いた時に終わっていてはシャレにならない。急ぐに越したことはない。
「いいかお前ら! これは勇気のある者に与える。さあ手に取るがいい」
貧民街に現れた救世主。声を高らかに人々を鼓舞する。
「おいそれで本当に金持ちになれるのか? 」
当然の質問をする愚か者たち。それに応えて賞金額を伝える。
とんでもない賞金額に興奮状態。このままバラまき続ければ殺し合いは免れない。
「そうだ! しかも成功報酬とは別にボーナスも出る。参加しない手はない。
よしもういいだろう。さあこの血塗られた招待状を受け取るがいい。ははは! 」
ついに始まる。僅かな招待状を巡っての殺し合い。
続く




