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ドロダール兄弟

故郷ではお嬢様失踪で大慌て。

遠方から旦那様まで呼び戻される緊急事態。

捜索隊にはドロダール兄弟が選出された。


「ほれ挨拶せんか? 」

「へい。ドロダールです。現在兄弟で作物の栽培をしております」

泥だらけの服を着替えようともしない無頓着な兄弟。急のことだからよしとする。

兄弟ともに不気味な印象。何とも言えない恐ろしさを感じる。

特に弟はずっと笑顔。はっきり言ってこれでは感情が読み取れない。

とは言えただの民ならこんなものか。大した問題じゃない。


「ほおそれでどこが適任なんだ? どう見ても不適格だが」

「実は二人は元暗殺者。旦那様暗殺未遂の前科が。現在このような状況に」

「おいおい。なぜそんな大それたことをした奴らを処分しない! 」

怒り狂う旦那様。お嬢様失踪で頭が一杯で余裕がない中でだから堪えるのだろう。

「それは旦那様の寛大な処置と。どうせ酔って何も考えずに許したのでしょう?」

執事は生意気を言って怒りを買うがそれでも納得の様子の旦那様。


落ち着いたところで話を聞く。

「それでお前たちやれるな? 」

「お任せください! 暗殺なら大得意です! 」

まるで話を聞いてない。危険過ぎる存在。早く畑に戻してやるのがベストな気も。

捜索隊には相応しくない上に村の外へ行けば迷惑を掛けるに違いない。

それが目に見えてるのに…… もうこんなのしか残ってない現状。終わっている。


「ダメだろこいつらでは。話さえまともに聞いてない。作戦失敗は目に見えてる」

「しかし…… まともなのは出払ってまして…… 」

「影の部隊はどうした? 」

「それはもう前線に投入してるではありませんか。すべて旦那様の判断ですよ」

「そうだったな。よし分かった。お前らにはマリオネッタ救出を命ずる! 」

「へへい! ではさっそく行って参ります」

積極的で従順なのは悪くない。元殺し屋なら隠密行動にも慣れてるだろう。

今回の捜索はスピードと積極性。それに何と言っても正確性が重要になって来る。

五日以上が経っている今頼れるものは何にでも頼るべき。


「ほう。それでどこへ行くつもりだ? 」

「近くの森あたり…… 」

「おい! こいつらをぶち殺せ! 」

「短気はいけません。さあ彼らにすべて任せて旦那様はお支度願います」

「分かったわ! それでストよ。お前は降格だ。それから…… 」


「申し上げます! 」

せっかくまとまるところで余計な邪魔が入った。

「何だ? 今は取り込み中。後にせんか! 」

執事が睨みつける。

「いえ。ビアンカの所持品の鍵で箱を開けましたところ手紙が一枚」

お嬢様失踪時にお世話係のビアンカも失踪してるので同行した可能性もあると。

あるいはメイドビアンカによる誘拐事件ではとも言われている。

真相は直接本人に確かめるしか術はない。


読み上げるとそこにはラクエラに向かったこと。

マリオネッタお嬢様も一緒であると言うこと。

一週間経っても帰って来なければ捜索するように。

その鍵をルームメイトの子に託したことが書かれていた。

ついでに血塗られた招待状についても少しだけ。


「おい招待状とは何だ? 」

「恐らく視察に来られると噂の王子による晩餐会の招待状かと」

執事は補足する。

「しかしそんなものは届いてないだろう? 」

そう。この屋敷には王子から正式な招待状は届いてない。

だから誰もその存在を知らない。ただ王子来訪の噂が広がっていて耳にはしてる。

「そうなのですが…… どうやらおかしなことが起きてるようで。

直接本人に問うしかないかと」

もはやどうにもならない。誰もどうしていいか分からない状況。

まさか無礼にも直接乗り込む? それは一族の終焉を意味する。

誰もがそのような愚行に賛成する者はいない。


「まあ良い。お前たちはラクエラに行き晩餐会に参加して救出するのだ」

「へい。では準備致します。明日にでも出発を…… 」

「ふざけるな! 今すぐに出発せんか! 」

イライラの限界の旦那様。もはや悪ふざけは通用しない。

「へい。ではすぐにでも…… 」

馬車の手配をしトレインでラクエラに向かうドロダール兄弟。

頼りないがもはやお嬢様救出には彼らにすべて任せるしかない。


二人が出発してすぐに重大な事実が判明する。

「何だと? ビアンカが? あのビアンカが? まさか信じられない! 」

「どうします? 」

「今更どうすることもできん! お前たちは引き続き情報収集に当たってくれ。

こっちはもう手一杯だ」

「お任せください。ビアンカの化けの皮を剥いで見せます」

「うむ…… 」

こうして故郷では動きがあった。


相変わらず抗戦で動きを封じられ家のことまで手が回らない事態。

もし放置すれば平和な村が一夜のうちに呑み込まれる。それはできない。

表立って動くこともできず人員も二名と寂しい限り。

もしもの時に突撃するだけの余力があるか?

今度のことが戦にどれだけの影響を与えるか?

ラクエラ同様に動きが活発になって行く。


もうすぐだ。間もなくラクエラでとんでもないことが起きる。

仮に王子が逃れてもラクエラは混乱を引き起こしただでは済まない。

一年以内に地図上からラクエラの文字が消えることになるだろう。

激戦地ラクエラ。その悲しい結末は?


               続く

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