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独特のオーラ

占い師・ビアンカの本領発揮。

「では王子。水晶にご注目下さい。ほらマリオネッタは出て行ってね」

面倒臭いな。あの水晶玉には私しか映らないはずなんだけど。

言われるまま部屋の外に。三分も経たずに呼び戻される。


水晶占いと称して王子を騙そうとするビアンカ。

王子あるいは王族を欺くことがどれだけ罪深いか。はっきり言って重罪です。

ビアンカったら何を考えてるの? 王子はしつこいんだからやめてよね。

いくら麗しの令嬢で王子にピッタリでも嫌なものは嫌。

しかもメグレン様の目の前で恥ずかしい。誤解されたらどうするつもり?

仮にこれがビアンカの作戦でもこの私を犠牲にしていいはずがない。

大体王子はビアンカにこそお似合いでしょう? 祝福してあげますよ。


「マリオネッタ…… 我が愛しのマリオネッタ! 」

王子はすぐにその気になる。もう単純で困る。言うことを聞くのなら文句ないか。

「はいはい。王子のお気の召すように」

ここで嫌がってはいけない。にっこり微笑むのがいいでしょう。

「おお…… 何と美しい。ぜひとも我が妃になってくれませんか? 」

これは民として喜ばしいこと。大変名誉なこと。夢のような出来事。

でもお相手がこの通りただの子供にしか見えない。それが残念でなりません。


「へへへ…… どうしましょう? まだ決めかねております」

今すぐに決められない。私にはまだメグレン様がいます。裏切れない。

「自分ですか? ただの相談役。王子ともなれば何かと悩みが多いものですから」

どうやら王族関係でもないらしい。ただの相談役だと言う。それも本当かどうか?

まだ私たちを完全に信用されていない? 

ですが彼がそうだと言うならもうこれ以上追及致しません。

でも素敵なんですよね。王子と言う比較物があるので尚更引き立てられる。

独特のオーラがある。そう感じてしまう。


「そのマスクとマントを取って頂けませんか? 」

しつこく頼み込む。もう気になって仕方がない。

「ちょっとマリオネッタ! 王子の前で失礼でしょう? 」

王子の心を掴んだのに余計なことをするなと注意される。

ビアンカには王子は大変魅力的に映るのでしょう。

しかし私にはその良さがどうしても分からない。

王子の地位と名誉にはもちろん惹かれますが彼自身に魅力を一切感じない。

お年だってもう子供でもないはずなのにどうしても子供っぽく見える。


「このメグレンは幼き頃から王家に仕える者だ。この私だって見たのは僅か」

王子はこれ以上メグレンについて聞かないように釘を刺す。

どうやら友情や身内意識と言うより王子の秘密に関わることらしい。

それが透けて見える。だから王子たちはこれほど頑ななのでしょう。

昨夜の即興芝居もただの思いつきではないのかもしれません。

疑惑の王子とメグレン様の関係。それはまた後で解き明かせばいい。


「メグレン…… 彼はメグレン様ですよね。それで…… 」

「そうだ。そして我が名はハッチ。どうだ妃の件前向きに検討してくれないか?」

格好つけて名乗るがそれは昨夜聞いたので驚きはない。何回言うつもり?

「王子…… 」

「いやいいんだ。こ奴とはな幼き頃からの付き合いだ。ははは! 」

ご機嫌麗しいハッチ王子。今のうちにこちらの手の内を明かす?


「王子! この下々の者に余計なことを吹き込んではなりません! 」

お爺さんは困惑気味。それ以上に狼狽えてるのがメグレン様。

「お前が紹介し連れて来たのだろうが! 」

王子はお怒りになられている。


「まあまあ落ち着き下さい。ここは一つ古代より伝わる秘儀をお見せしましょう。

どうぞ奇跡の目撃者に! 」

調子に乗ったビアンカはそう言うと精神を集中させお告げを伝える。


「王子は狙われております。急いでここを離れなさい」

ついに告白するビアンカ。これは明らかな裏切り行為。

もし奴らに知られればタダでは済まされない。もう私知らない。

でも連帯責任だからな。でもやっぱり知らない。


「うむ。そうではないかと思っておったところだ」

王子は意外にも正直に従うよう。まさか私が運命の人も信じてるの?

まったく世話の焼ける王子。これでは簡単に騙されるじゃない。

もう甘ったれの世間知らずだから世話が焼ける。

もちろん私には人のこと言えないのですが。それにしても大胆なビアンカ。

もうこれで後には引けない? 王子に保護を求める気でしょうね。

しかしどうやらビアンカもそこまでは考えてないらしい。

果たしてこの決断が正しいのか? 間もなくその答えが分かる。三日もすれば。


「そうですな。十分気をつけましょう。それでどのような輩が攻め込むと? 」

爺さんが水晶を覗き込む。するとそこにはまだ私の姿が。

消えるまでに時間が掛かるらしい。だから驚いて飛びのきこちらに目を向ける。

ちょっとまさか私だと? 違うとは言えないところが厄介。

「敵はご招待した中に紛れ込んでいます」

そんな風にまとめて終える自称占い師のビアンカ。


「おいもっと詳しく教えんか! 」

爺さんは喚き散らすがそれをメグレン様が宥める。もう年なのでしょう。

「充分です。ありがとう二人とも」

そう言って王子の代わりに感謝の言葉を述べて戻るように促す。

「おい! 本当にお前たちじゃないんだな? 」

爺さんは粘るがそれには答えようとしないビアンカ。

イエスともノーともはっきりしない。

このあやふやな対応でごまかすしかない。

後はどこまで信じてくれるかに掛かってる。


こうして舞踏会まで特にやることもないので散歩することに。

今のところ王子の行方を掴めてる者はいない。

さあこれで奴らよりも先手を取ったことになる。

上手く行けば交渉材料にもなりうるもの。

王子所在不明では奴らも暗殺者たちも気が気じゃないはず。


                   続く

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