二日目 妹系変態暗殺令嬢探偵マリオネッタ始動!
二日目。
王子暗殺計画はついに二日目へ突入。
これから何が起こるのか? あるいはもう起こってしまっているのか?
昨夜は敵の動きを察知した王子側が先手を打ったことで回避された。
恐らく大失敗だったのでしょう。ですがこれがもし予定通りだとしたら……
果たして今日はどう動く。私たちもただじっとしてる訳にもいかない。
やることはいっぱいある。まずは暗殺者として。
恐らくまだ王子へ直接危害を加えることはないはず。
ただ痺れを切らして一気にもあり得る。指示を見逃さないようにしないと。
でもどうやって? 仲間と言う名のライバルの動きも把握できてない状況。
地道に情報収集から始めるしかなさそう。
ライバルは誰か? 監視役は誰か? その他は?
とにかく招待客の振りをした少なくても十六名を把握する必要がある。
しかもできるだけ早く。その上で監視者もあぶり出す。
すべてを把握し計画の全容が分かった時点で王子たちに打ち明ける。
それが今の私たちのプラン。現状まだ何も分かっていない。
いくら私がお嬢様で探偵令嬢の異名を持っていたとしても情報が少な過ぎる。
うーん。どうしましょう? 面倒だから全員捕まえる? うんそれがいい。
「マリオネッタ! マリオネッタ! 聞いてるの? 」
寝ぼけてると勘違いされてしまう。もう誤解して。作戦を練っていただけなのに。
「おはようビアンカ」
「おはよう。ほら支度しなさい」
ビアンカはもう姉を演じている。お嬢様とメイドよりはやり易いんでしょうけど。
私としても思いっきり甘えられるので悪くない関係。
どうせ私はただのお嬢様。彼女の指示に従うのが一番いい。
探偵令嬢は最後の最後。それまではビアンカに任せておきましょう。
頼りにしてますよビアンカお姉様。
「早いね。何か分かった? 接触はあったの? 」
もうホコリもゴミも取り除かれていた。私が寝てる間に掃除を済ましたらしい。
テキパキとしていて大変よろしい。そう言えば何度か起こされた気がする。
麗しのお嬢様の眠りを妨げてはダメでしょう?
「ありません。ただ今日も待機かな。この水晶玉はここに置いておきます」
大事に毎日拭いている。それが日課らしいがこれ本当に役に立つの?
「持って行かないとまずいよ。命令には逆らえない」
水晶玉をビアンカに。これを使って暗殺する気らしいがまったく想像がつかない。
まさかこれで撲殺する気? でもだったら私は必要ないしダンスの特訓も無駄に。
本気で王子をやるつもりなの? 疑問でしかない。絶対無理でしょう?
たとえ重かろうが辛かろうが面倒でも持って行くしかない。
奴らの狙いはまだ先だから今は必要ないとは思うけれど捨てたと思われては厄介。
反抗的態度を取れば消されてしまう。
迷った挙句に持って行くことにしたらしい。荷物になるし目立つと嫌がっている。
もちろんこの水晶玉を裸で…… いや裸だなんて恥ずかしい。
いけない。脱線してしまった。水晶を袋に入れて準備万端のビアンカ。
さあ私もそろそろ…… 寝るとしますか。だって寝不足なんだもん。
「マリオネッタ! 」
「冗談。冗談ですよビアンカお姉様」
晩餐会場の二階に作られた舞踏会場。
そこには王子の姿を一目見ようと招待客が群がる。
まだ時間はあるのに何を考えてるのこの人たちは? うっとうしいな。
暇なのでしょうか? そうに違いありません。
昨夜の即興劇で興奮収まらぬなのだろう。単純なんだから。
「失礼皆さん。王子は外出されております。
舞踏会までは時間があるのでどうぞ速やかにお引き取り下さい」
トルドが笑顔を引きつらせて対応。
彼は王子のお付きの者で王子が幼い頃からの付き合いだそう。
昨日船内で自慢するように語っていた。
はいはい。もう群がるのはやめなさいっての。バカみたい。
だが彼女たちは離れようとしない。しかしやり過ぎれば排除される。
されなくても疑われるのは間違いない。目立ってもいる。
うるさくてうっとうしい。睡眠不足の私には酷。静かにしてよね。
待てよ…… これは逆にチャンスかもしれない。
ここにいる者は昨夜の劇に感銘を受けた一般の招待客。
現状をまったく理解してないお気楽なラクエラ周辺の令嬢たちでしょう。
私たちのような暗殺者がこのような振る舞いをするとは到底思えない。
そんな余裕も演技力だってない。あるはずがない。
本当のお嬢様である私以外はただの殺し屋。貧しい生まれの哀しき運命の者。
あるいは消せない記憶に悩んだり重い十字架を背負った者や見捨てられた者。
村々で迫害を受けてきたそう言った者たちの集合体。
王子を暗殺し一発逆転を狙う輩。そんな者がここで王子にかまけてるはずがない。
私だってバカバカしいと思う。これがメグレン様なら気持ちも分からなくもない。
とにかくそのような状況にない。ならばここの者は正式な招待客。怪しくない。
全員が全員そうとまで言えないが私のように遠巻きで様子を窺う者はきっと仲間。
候補が四人。一人は心底興味がないと睨みつける。
その隣では無理に笑顔を作って見守る怪しい女。お嬢様タイプ。
その二人の様子を見守るように離れたところにいる女。
最後が昨夜騒動を起こした市長の娘。恐らく姉の方。紫のリボンが特徴的。
真横で目星つけてるのがビアンカ。どうやら彼女も同じ考えに至ったと見ていい。
でもこれはあくまでただの憶測。間違ってる場合も。
まったく何も知らされてない私たちには無謀なこと。
続く




