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介抱

晩餐会は華やかで俺向きじゃない。この黒のドレスだってちっとも似合わねえ。

何で来ちまったんだろうな俺はよ? 場違い過ぎて嫌になる。でも命令だもんな。

まったく楽な仕事だと思ったからピンチラに付き合ったが成功報酬とはな。

招待状を奪えばそれでいいと唆されたが違ったらしい。


地下で拘束されおかしな暗殺計画を押し付けられ今どうにか晩餐会に潜り込んだ。

これですぐにでも王子をやれると思ったが待ったが掛かるから嫌になるぜ。

大した警備体制も敷いてない今が絶好のチャンスだってのにのんびりしてる。

奴らの本気度を疑いたくなるがあの日の惨状を見てはな。

怖気づくような連中じゃない。暗殺には時間も金もかけてる。慎重にもなるさ。

だがそれではまどろっこしいんだよな。嫌にもなるぜ。

俺は頭よくないからピンチラに説得されてなければオサラバしていただろうさ。


「大丈夫? 気持ち悪い? 背中をさすってあげるね」

「いいよ。それよりあんた名前は? こんなことしてなくて王子を…… 」

まずい。暗殺しなくていいのか聞くところだった。まさか聞けるはずがない。

間抜けにもお世話になった女だからつい気を許してしまう。

ははは…… 俺も情けなくなったもんだぜ。


「私はビアンカ。気にしないで。誰だって体調が悪くなることはあるから。

落ち着いたらまたお話しましょう」

人の好さそうな金持ちの娘。笑っている。どうせ馬鹿にしてるんだろう?

俺たちは王子に群がる淑女の皆さんから蔑まれる為に生まれてきたようなもの。

あんただって優しくしてるけれど本質は変わらない。

どこから迷い込んだ捨て猫だと。


「ふふふ…… どうしたの? まるで光が眩しいみたい。慣れないの?

いつも明るくない。そう地下の真っ暗なところに。

まさかあなた…… そんなことないよね。ごめん忘れて。

さあ今はゆっくりして。私は晩餐会に戻るわ」

ビアンカが行ってしまった。結局お礼もできずじまい。

まあいいかそんなかったるいことできやしない。


ゆっくりしてると邪魔が入る。

「お前何をしている? 命令に背くつもりか? 」

さっそく探りを入れて来る。どうやら監視されてるらしい。

見届け人の怖そうな女が睨みつける。本当に女かよ。俺がビビっちまう程の迫力。

これだけ美人なのにもったいない。まあ男は外見の美しさに騙されるからな。

中身までは見ない。コロッと騙されてそのままあの世だ。

そんな恐ろしい女に違いない。女の俺でさえ近づきたくない。


ピンチラも似たようなものだが仕留めるのは俺だからな。

そこまでの技術はない。そしていつも殺した相手を慈悲深く守る。

それなら殺すなよと言いたいが俺が後始末をつけてるからその感覚がない。

慈悲を掛け涙を流すことも。本気かと聞くが当たり前でしょうと涙ぐむ。

どうやら冗談でないと。そう聞くとピンチラが凄く怖い者に見えるから不思議だ。

まあ後のことはピンチラに任せ誘い出せばいい。俺が後始末して任務完了。

難しいことは一つもない。


ビアンカが去り監視役も消えたと思ったら今度は男だ。

「おいいつまでそうしてる! お前は招待された身なのだぞ? 忘れたか? 」

高圧的。恐らく王子護衛隊の下っ端が護衛の為に急遽駆り出されたと予想がつく。

俺はそれでも慣れてるからいいが令嬢の皆さんには不評だろう。

基本的には人を見下し横柄な態度を取り言葉も汚い。

これでは王子のイメージまで悪くなるぜ。俺も本当に人のこと言えないが。


「もう大丈夫…… 申し訳ありません。すぐに戻ります」

「だったら早くしろ! 」

こいつをぶっ殺したい。でもムカつくからと死体を増やせば責められるのは俺。

王子暗殺にはこいつは関係ない。ただの雑魚で俺に強く当たる酷い奴なだけ。

それとも二人っきりになって嫌らしいことでもしようってんじゃないよな?

ごめんだぜこんな野郎と。冗談じゃない。あの王子だって俺の趣味に合わねえよ。


いや誰も俺の趣味に合う奴はいないか。紳士で常に見守る白馬に乗った金持ち。

ああダメだ。そう言うのこそ長く続かない。痒くて死にそう。

一か月も持たずに湖に沈めることになるだろうさ。

俺はきっと誰も愛せないんだろうな。

それにしても奴らなぜ一人やっちまったんだ?

大物の王子護衛隊長のドックなら分かるが知らない野郎を沈めて何がしたい?

今の野郎だってきっと気が立ってるのは厳戒態勢を敷いてるからだろうし。


そう言えば彼女もあの船に乗ってたような…… 勘違いでなければビアンカは……

でも仲間ならいいのか。作戦遂行中のライバルを消せばただでは済まない。

それは何度も何度も言われたこと。王子暗殺は思ってる以上に複雑なのだろうさ。

俺には関係ない。隙を見てぶっ放せばいい。おっと違う違う。

このナイフを突き刺せばいいんだったな。さすがに晩餐会に銃はタブー。

すぐにも没収された上で捕らえられえる。言い訳もできずに牢屋に直行。

翌日の日の出も見れずに処刑されるだろうさ。


落ち着いたところで戻ると雰囲気が一変。何かあったのか?

ピンチラを早いところ探さなくては。


                 続く

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