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メグレン様

晩餐会を前に運命の出会いを果たす。

「大丈夫だったかい君たち? 」

どこかでお会いしたような…… 隣の方にはもっと見覚えが。

「ありがとうございます」

ビアンカは素直だがはっきり言って余計なことした感が強い。

これくらい自分たちの手で解決できる。うん…… 

被り物と黒装束で正体を隠していますがどうやら王子の関係者。

その証拠に隣には眼光鋭い爺さんの姿が。まだ私を疑ってるのか睨んでいる。

もう味方…… ただの王子のお相手じゃない。そこまでしなくたっていい。


それにしても素敵な方。顔は隠れていて拝見できませんが服から見える筋肉。

筋肉隆々の方とは違い何だか品も教養もある感じ。

ラクエラでも故郷でも見かけないタイプ。恐らく傷だって無数にあるに違いない。

それを見せて頂けたらな。もちろん遠慮なく触らせてもらう。

叶うなら舐めたい。互いに傷を舐め合ったっていい。

ダメ…… つい本音が出てしまう。でもお嬢様だからそんなはしたない真似…… 

妄想がつい止まらなくなる。


「ありがとうございます。ぜひお名前だけでも? 」

「メグレンと申します。王子に仕えてる身。どうぞよろしく素敵なお嬢さん」

そうやって笑う。爽やかな感じがする。決して顔が見えませんが。

「こちらこそ。私はマリオネッタ。こちらは姉のビアンカ。どうぞよろしく」

さあ挨拶も済ましたことですしさっそく頼みごとを聞いてもらおうかな。


「二人は姉妹なんだね。生まれは? 」

「はい。故郷は…… 」

一応はすべて伝える。暗殺者とは言えその辺の指示を受けてない。

仮にそこから何か分かっても暗殺の疑いを掛けられることはないと踏んでいる。

彼らだってそう。私はすべてを包み隠さず言える範囲で。できるだけ誠実に。


「あの…… 一つお願いがあるのですが」

ああ言ってしまいたい。でも言えば嫌われるかもしれない。

お嬢様には相応しくない。はしたないと思われたらどうしよう?

もう我慢できない。ビアンカだってきっと……

あれ? ビアンカは王子の時とは違いあまり興味がないらしい。

切り替えられている証拠。

私には王子はガキだからどうでもいい。だからって私よりも年上。

もっと子供ならよかったのでしょうが中途半端に幼いから。

一国の王子にどれだけの注文をつけるのか。でもこれも仕方ないこと。

それよりも今はメグレン様にお願いを聞いてもらいたい。


「いいよ。何でも言ってくれ」

本当に優しくて素直な方。これなら問題なさそう。

「では体を見せて頂けませんか? 」

「こんな道端でいきなり? 人の目の前でかい? あまりに大胆だな 」

そう言って苦笑い。無茶な要求し過ぎた。これは拒絶されても仕方がありません。


「ごめんなさいメグレン様。これは私の癖みたいなものなんです。

お気に召さなければすぐにでも断って頂いて構いません。

決して不快にさせるつもりはないのです。

挨拶のようなもので故郷でも毎朝見回りついでに見せてもらってそれから…… 」

ダメだ。これ以上は恥ずかしい。そもそも恩人に何て頼みごとをしてるの?

最低最悪のお嬢様だと言う自覚はもちろんあります。それでも抑えきれない。

男の方の素敵な肉体美を見て触って傷を舐めたい。その願いを伝えられたらな。

つい恥ずかしがって何も言えなくなってしまう。

それほどメグレン様が光り輝いている。


「仕方ない少しだけ。顔はダメだぞ。それ以外ならどこでもいい」

おかしな頼みごとに困惑しながらも受け入れたちょっとおかしな方。

人を疑う事を知らない純粋さ。私のように邪な心で近づく者にも紳士に振る舞う。

私の理想の方かもしれない。久しぶりの触れ合いで感じる優しさ。

はっきり言ってこれ以上の方はいないのではと思ってしまう。単純かな?

ただとんでもないお願いしてる自覚がある。


「ちょっとマリオネッタ。それはさすがにまずいのでは…… 」

ビアンカはやり過ぎだと窘めるが本人がいいと言うのだから構わない。

今はメグレン様の厚意に甘えましょう。


「ではまずは下半身から…… 」

まずい。嫌らしい言い方をしてしまった。太ももの筋肉を見たいだけ。

では拝見いたします。ああすぐにでも舐め回したい。

それが叶うならこの身を捧げてもいい。

それほど魅力的なメグレン様。ああ堪らない。


うん? さほど大きくない。筋肉はあるがそこまでではない。鍛え方が弱い。

あまり歩いてさえないのではないかと疑う。

これは私の求める男臭い像とはかけ離れている。

うーんどうしましょう? 素敵なのにどこか違和感。


それからは胸を触るが特に問題ない。この辺りにも傷は少ない。

彼は戦士タイプではないのかもしれない。頭脳派なのでしょうか?

つい彼を丸裸にしたくなる。比喩ですがね。


「もういいだろう? 寒い」

「最後に背中をお願いします。これが最後ですので」

随分と好き勝手にやらせてくれるな。警戒心と言うのがまるでない。

そう言いながら動かす手を止めない酷いお嬢様。

ふふふ…… 言ってみるもの。 

もちろん狙われてるのは王子。ですがあなた方だって危ないのは変わらないはず。


服をめくってもらって背中を見る。これは大きな傷?

いや違う。これは何かの紋章だ。龍と蓮の花。それと古代の文字? 

変わった趣味をされている方。背中にはおかしな紋章がある。

とりあえず手で触れてみる。うんよく分からない。あまり感じない。

どうやら私の求めていたものではないらしい。でもこれはこれでいい。

傷をなぞる。そして舐める。


「何をする! 」

傷を触ってもいいが舐め回してはいけないらしい。それが常識。


                  続く

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