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ハッチ王子はマリオネッタがお好き

ラクエラは間もなく夜を迎える。


その頃王子たちは……

「ハッチ王子いかがですか? 」

「ははは…… まだ慣れなくてな」

「大丈夫ですか? 無理せずに」

きちんと役目が務まるか不安そうなハッチ王子。それはトルドも同じよう。

「うむ。問題ない。さあ下がるがいい」


「その前にフレイトですが懸命な捜索活動を続けてますが発見には至らず…… 」

未だに行方不明のままそれ以上の進展はない。

「そうか…… フレイトがな。もう充分であろう」

捜索を打ち切るように命令する。血も涙もないハッチ王子。

これ以上は確かに難しい。諦めムードも広がっている。

引き連れた者も最小限で協力者も限られている。

メインの王子護衛に人員が不足しては本末転倒。

「はは! そのように致します」

「ああそれから昼間に会った二人組。何か怪しい気がする。十分警戒するように」


「それでハッチ王子はどちらをお気に召したのですか? 」

トルドがつまらない質問をするものだからハッチ王子はご機嫌斜めの様子。

昼に偶然出会った二人組。名前は確かビアンカとマリオネッタだったかな。

何でも姉妹で招待されたんだとか。疑わしいのなら確認をすればいい。

だがそれを管理していたのもまたフレイト。

彼に一任していたので招待客リストも紛失したと見て間違いない。


「それは…… 妹の方だ。次の機会にはぜひともお相手願いたいものだ」

「おお…… 変わった趣味をされてますな。一般的には淑女そうな姉を選ぶかと」

「それはお前の基準だろう? 貞淑な者はつまらなくていかん」

ハッチ王子は危険な道へと進んでいるよう。


「はあ飽きたと? 」

「おいトルド! この私の好みをバカにしてからかっているだろう? 」

へそを曲げるまだ子供のような振る舞い。

「いえ滅相もございません。どうぞお怒りを静め下さいハッチ王子」

「ならん! 仮にもこの私は王子であるぞ! 忘れたか? 」

「はあ…… まあそうですが。分かりました手配いたします」


ハッチ王子のお気に入りがあの鋭い眼をした女性。

と言ってもあの時だけで普段は明るくかわいいのだろうが。

姉妹揃ってどこかミステリアスな感じがする。そこに惹かれたか?

ちっとも女を見る目を養ってないな。これではすぐに騙されてしまう。

国が乗っ取られたらハッチ王子のせい。


「よし下がれ」

「ではメグレンを」

「うむメグレンは残れ! いろいろと相談したいこともあるしな」


メグレン。王子の側で仕える謎多き男。姿を黒装束で隠し同行を許されている。

ハッチ王子の相談役として。その正体はごく一部の者にしか知られてない。


「ハッチ王子? 」

「そんな目で見ないでくれよメグレン。これでも一生懸命やってるんだから」

「もっと王子らしく頼みますよ」

頼りないところを見せては民はついてこない。もっと堂々と胸を張る。

それがハッチ王子に求められるもの。


「そうだな。フレイトの件は残念だがある程度仕方ない」

もう諦めてるらしい。ここが慣れ親しんだ城下町ならいざ知らず初めてだからな。

ラクエラに精通している者を同行させるんだった。

「はい。過去のことよりも今夜の晩餐会の成功が大事かと」

「メグレンもそう思うか? そう言ってくれると助かる」

随分と弱気と言うか自信がなさそう。これではいけない。

「はい。非情にならねば」

「それでな…… 」


ボーンボーン

午後五時の鐘が鳴り響く。

「おっと…… どうやらもう時間らしい」

「お任せくださいハッチ王子! 必ずやご期待に添えるよう尽力致します! 」

「もうそれくらいで頼む。信頼しているからなメグレン」

「それはもちろん…… これも王家の為」

「いやこの私の為だ。私の為のみに動いてくれ! 」

「ははは! 」


間もなく晩餐会が始まる。主賓の王子の姿がなくては格好がつかない。

急いで準備に取り掛かる。



ラクエラの夜は華やかで人々の心までも明るくする。

オレンジのランプが真っ暗闇を煌々と照らす様はどこか懐かしい感じ。

辺境の令嬢ではその魅力にすぐ憑りつかれてしまう。

今日はどこかでお祭りがあるとか。誕生祭や収穫祭があるのかと疑う。

しかしビアンカは首を振り笑う。バカにしてるに違いない。


「ラクエラはお嬢様の村とは比べ物にならない発展した交易都市。

ラクエラからトレインで一気に行けてしまうし港があるので外国との交流も盛ん。

お嬢様には不思議なことばかりでしょうがここでは至って当たり前のこと」

いつの間に私専属のお抱え教師になったと言うの? 生意気なビアンカ。

歴史ぐらい知ってるわよ。それにしても寒い。どうにかならない?

私だってそれなりの名の知れたところのお嬢様。

ビアンカは村だと言いますがお父様は町だと。私はお父様を信じたい。


「ねえ寒くありません? 」

せめてお迎えに上がって欲しいのだけどさすがに隠れ家まで来られてもね。

晩餐会場まで二人仲良く歩く羽目に。

我がまま言っても仕方ないか。これも運命と諦めるしかない。

そう運命……


                続く

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