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アニータとニキータ

ラクエラに向かうトレインの車内に三名の不審人物。

男たちは疑いが晴れた。しかしこの女は明らかにおかしい。


三番目は美しい御婦人? どこかの御令嬢?

つい浮かれてしまう。しかしよく考えれば怪しい。

なぜこのような美しい方が一人でこのような場にいるのか?

ただ迷われた? いや違う。だとしたらそれは仕組まれたからに違いない。

名前も出身も言わずにすべてを分からないで済まそうとする。

そんな怪しげな人物は信用できない。たとえどんなに美しかろうと。

不審者と言うより暗殺者。黒に違いない。


「私からよろしいですか? 実はこの御婦人は助けを求めに来たのです」

隊長によれは初めは誠実だったがどんどんおかしな方向に行くから怪しいと。

要するに会話が成立しない。それはわざとなのかそうではないのか。

だが今のところ目立った被害もない。解放しない訳にも行かない。

ただの不慣れな女性が迷っただけとも取れる。


「いいだろう。それであなたは一お人で? 」

「いえ…… お友だちと。彼女はとてもやさしくて…… 」

「それで記憶の手掛かりはないのか? 」

悪い癖だな。どうしても真実が知りたくなり深入りしてしまう。

いくら美しかろうとたかが乗客。一般市民だ。深入りはすべきではない。

狙われている自覚はあるがまだ決定的ではないだけについ警戒を怠る。


「あの…… 手掛かりはないんですが一枚の手紙がポケットに」

そう言うと手紙を見せる。

「これは…… 」

危うく手に取るところだった。物凄く自然だったのでつい。上手いな。

「行けません! 」

トルドが紙を叩き落としたので難を逃れたが毒針がびっしり。

触れては怪我では済まない。


「トルド? 」

「ご心配なく。手袋をしてますので。王子は? 」

「そうか。寒いと手袋をしていたな。私は問題ない。それよりもこの女だな。

捕えよ! 早くこの反逆者を捕らえるのだ! 」

やはり暗殺者だったか。あまりに単純で分かり易かったので逆に薄れていった。

こんなことがあるんだな。


「へへへ…… やっぱりあんたは第一王子だね」

そう言うと豹変して飛び掛かろうとするので剣で応戦。

さすがの女も逃げるしかない。

「邪魔したね王子様。また会う日を楽しみにしてるよ」

女はそう言うと隊長の攻撃を身軽にかわして去って行く。


「待ってくれ! お前は男なのか? 」

自分の目に狂いはないはず。彼女は立派な女性だった。それを確かめたい。

「へん! 俺は女だよ! どこを見てるんだ! おっと仲間のお出迎えだ。

それ以上一歩も動かない方がいいよ。この辺には毒針を撒いといたから。

怪我はしたくないだろう王子? 」

相手も慎重だ。追跡は断念せざるを得ない。


「それで名前は? 」

背に向かって問いかけると振り向いて自己紹介。

「まったくしつこい王子様だ。俺はアニータ。こっちは…… 」

「私はニキータ。以後よろしく! 」

そう言うと二人の暗殺者は姿を消す。

どうやら敵に情報が筒抜けだったらしい。

ただトレインごと爆破するような真似をしないところを見ると暗殺する気らしい。

アニータとニキータ。まったく聞いたことのないコンビ。

どこから連れて来たのやら。派手な二人組だ。


「大丈夫ですか王子? 」

「問題ないよトルド。それよりもそれ以上動かない方がいいぞ」

「ははは! 大丈夫ですよ王子。きっと奴らのハッタリに違いありません。

毒針を撒いてる時間的余裕はなかったでしょうから」

隊長が自信満々。それが今回命取りになった。ここは慎重になるべきだろう。


それからトレインは何事もなかったように速度を上げついにラクエラに到着。

念の為に窓から脱出することに。忠告は素直に聞くべき。

それにしても多少警戒していたがここまでとは正直思わなかった。

もし私があの手紙を受け取っていたら毒針の餌食になっていただろう。

あれが猛毒で即効性があればあっと言う間に亡くなっていた。

ただ私が亡くなったところで国王は健在。後は第二王子に引き継がれるだけ。

それでもいいと言うなら敵の正体は……

しかし暴かれてしまえば継承権を失う。そんな賭けに出るものか?


今度の件を国王に報告すべきか迷うところ。

ターゲットが不明。もし国王がターゲットなら今すぐにでも。

しかしこの私なら握りつぶすことも。狙われたとなれば戻るしかない。

今更遅いが呼び戻されるだろう。それでは国王の代理は務まらなかった事になる。

役目を放棄したようなもの。ただ逃げ帰ってきたように映る。

ともかく今すぐではなくもう少しだけでも全体像が見えてからでいいだろう。

あるいはすべての日程を消化し強い王子として戻って来る。

それが今この王子に求められていること。


ラクエラの夜。

「よし訓練はこれでもうお終いだ。後は明日に向けてしっかり体を休めておけ!」

「はい…… 」

この地下室に閉じ込められてからみっちりとしごかれた。

もう返事する体力もない。気力でしょうか?

さあでは気分転換にラクエラの夜を楽しむとしましょうか。


                 続く

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