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見回り終了

まずいところを見られたみたい。

でももう止まらない。一緒に水浴びをしたい。ただそれだけ。

せっかくの誘いを断っては悪い。


「おやめくださいお嬢様! 何をしておられるのです? 」

どうやらビアンカは私が狂ったのだと勝手に勘違いしている。

でもそれは違う。ただの思い込み。自分の意志で水浴びをするんだから。

彼らが呼ぶのならば私は応えるべきなのです。

彼らだって私が来るのを大変喜ばしく思っているに決まってる。

歓迎されたのならば出向かないのは失礼。お嬢様の名にも傷がつく。


「もうだったらビアンカが代わりに泳いできなさい」

そう言った途端に頬を赤らめる。そしてもうパニック状態。

大して難しい話をしてないと思うのですがどうも怖気づいている。

そんな大げさなものではありませんよ。ただ自由に自然に。

ビアンカは慣れないものだから怯えているし恥ずかしがってもいる。

それではダメ。本来どんなことでもするのが美徳と言うもの。

ああ何も気にせずにただ飛び込めばいいのです。

「ほら早くしなさい! 終えてしまうでしょう? 」

もう我慢の限界ときつくなる。


「ビアンカ! 」

「お嬢様! 」

こうなってはもうどうしようもない。

メイドの分際で意見を言おうとする。

ストでもなければエラでもないと言うのにこのお嬢様に文句を言うなんて。

まるっきり教育がなってない。ストは何をしてるのかしら?


でも…… そんなこと言うのはさすがに可哀想か?

ビアンカはビアンカなりによくやってる。認めるところは認めよう。

だって私のお気に入りで最近はずっとそばで仕えてくれる。

これだって嫌々付き合ってくれるしね。今彼女に辞められたら困る。

巻き込んではやっぱりよくない。これはあくまで私の趣味。

強要するのは違う。別にしてるつもりはないんですが。

今日のところはこれくらいで我慢しましょう。

まだ明日もある。明後日だって当然ある。

楽しみは取っておくのがいいでしょう。ああ今から楽しみ。


「どうしました? ヨダレが垂れますよ」

そう言うビアンカを真面目と取るか融通が利かない困った人と取るか。

とにかく言われた通りに服を着る。彼女にも手伝ってもらう。

「ねえあなたもしかして泳げないの? 」

決して不思議なことではない。私はたまたま泳げるだけ。

でも普通の女の子は泳ぐのは反対される。何かと危険だから。

私は幼い頃にお父様から習っているので泳ぎは得意。

「はい。黙ってましたが近づくだけで足が竦む。きっと泳げるとは思うんですが。

でも昔の記憶でどうしても泳げなくなってしまったみたいなんです」

正直に告白するビアンカには関心。それくらい真面目でないと。

お嬢様を補佐するには真摯な姿勢こそが重要。

そうすればエラの道もそう遠くない。


見回り終了。

これからゆっくりブランチに。

昼までは優雅に読書。ですがその前にブランチを頂く。

これでお腹を膨らませてはいけません。

前回お婆様に叱られたばかり。ここは優雅に行きましょう。

十人は座れる広いテーブルに一人っきり。

最初は嬉しいものですけど寂しさが押し寄せて来る。


「そこ! しっかり! 」

皿の運び方に並べ方が悪い。そもそも種類が違うと言い出した。

いつだって屋敷内はうるさい。カチャカチャと肉を切る音がする。

それを分けてしまいせっかくのでき立てが台無しに。

味もそうだが匂いが変化していく。もう少し静かに願いたい。


「あら…… お姉様? 」

次女のメリッサお姉様。いつも不機嫌で私に当たってばかり。

突然の登場で嵐の予感。まさかまた文句言われるの?

「どうしたの? 今日もまた怒られたんでしょう? 」

メリッサは頭が回る。どうすれば人が操れるか精通している。

読書家で長女などよりもよっぽど頭が良く人をバカにしたような態度。

二人とも将来の相手が決まっていて間もなくこの屋敷を出て行くことになってる。


もしこれがメイドなら叱りつけることもできるでしょうね。

人のブランチの邪魔をするから厄介。今日だってきっと……

「あらあらまだ続けてるの? 悪趣味なんだから。いい加減にしなさい! 」

有無を言わせない。少しぐらい反論させてくれてもいいじゃない。

「お姉様みたいに優秀で人気も高ければ私だってこんなこと」

何を言ってるのでしょう? 人気だけなら私の方が勝っていると言うのに。

貶したり馬鹿にすればその何倍にもなって返ってくるから正直には言えない。

「あら正直ね。でもいい加減覗きなどと言うはしたない真似はやめなさい! 」

どうやら気づかれたらしい。朝の密かな楽しみ。監視してる筈もなく吹っ掛けた?

「ですが…… 」

本当に幼い頃からメリッサお姉様には口では敵わない。

博識で物覚えも早い。何と言っても頭の回転が比べものにならないほど。

だから表立って反論はできない。ああ情けない。


そもそも何の用があると言うの?

人の優雅なブランチの時間を邪魔してまで伝えたいことって何?

早く用件をおっしゃってもらいたい。


                続く

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