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王子を奪って見せます!

晩餐会場に着いたがまだゴタゴタが続く。

どうも不手際があって混乱してる様子。好意的に捉えればですが。

何だかとんでもなく嫌な予感がする。胸騒ぎがして仕方ない。

一度この場を離れた方がいいと第六感が。しかしできずにいる。

王子に会いたい一心。どうしても一目お目にかかりたい。

そのような思いからどうしても判断が鈍ってしまう。


「それで王子様は…… 」

「静かに! 指示に従わない場合はここでお引き取り願おうか! 」

偉そうにまったく何様のつもりなの。王子様? あんたは違うでしょう?

ただの下っ端じゃない。偉そうなこと抜かしてるんじゃない!

心の中に留めるが本当に失礼しちゃう。もしかして顔に出てました?

ふふふ…… 嘘がつけないお嬢様ですから。これは大変失礼。


「ほら早くしないか! 目立つだろうが! 」

なぜか周りの目を異常に意識する男。怪しさ満点。不安は尽きない。

「ねえビアンカ…… 」

男に気づかれないようにこっそり耳打ちする。

彼女だってこの異常事態に違和感を覚えてるはず。

メイドとしてだけでなく人生経験豊富なお姉様として頼りにしている。

「大丈夫。きっと警備が厳しいだけです」

ビアンカはこんなものだと言うが本当かな?

何かとんでもないトラブルに巻き込まれてる感じがして嫌。


裏に回り招待状を確認するとすぐに許可が下りる。

どう言うこと? ただの思い過ごしなの? 必要以上に警戒していただけ? 

悪だくみでなくて慎重にも慎重にってことでしょうか?

だとすれば私の予感は大外れしたことになる。

慎重になり過ぎて不要な警戒をしてしまった?

ならばこのざわめきは一体何? 

とんでもないことが起きようとしている。起ろうとしている。


扉を開くとすぐに階段が。

さっそく二階へと進もうとするが止められる。

一体どう言うこと? 晩餐会は二階で行われるのではないのですか?

ビアンカを見るがただ首を振るだけ。もうここまで来れば戻る選択肢もない。 

「地下だ! 下るんだよ! 」

どいつもこいつも口が悪い。どうしてこう品がないのかしら?

王子の忠実な部下だとしても我々には厳しい。それが現実なのでしょう。

ですが私は花嫁候補。ここで紳士に接すれば印象だって違って来るのに。

今だけしか考えられない愚か者だと? 

それはそれで仕方ないことではありますが。


「あの…… 舞踏会場は普通は一階か二階で行われるものでしょう? 」

気になったのでつい質問してしまう。常識だと思うんだけどな。

私だって田舎のお嬢様でラクエラには数回お父様の付き添いで。

だから詳しくはない。ですが招待客を集めてのお茶会だったり夜会は何度も。

友好の証に招待したりされたり。だから晩餐会だってきっと……

それなのに地下で何をしようと言うの? 華々しい晩餐会には相応しくない。


「うるさい! 文句があるなら上に言え! 」

自分は言われた通りに動いてるだけだと言い訳するがあまりにおかしい。

しかしもうここまで来てしまった以上はやはり引き返せない。

悔しいけど大人しく従う。

もう王子のハートを射止めよう。細かいことはこの際気にしないことに。

どうせこいつらはきちんと答える気はないのだから。


地下へと繋がる階段を下り薄暗い中で光が漏れる。

これではまるで秘密のパーティーではありませんか? 

それほどまでに警戒なさっているのでしょうか?

ビアンカと顔を合わせて意思の疎通をする。

もう引き返せないのはビアンカも同じ。

さあドアを開き中へと歩みを進める。


中には王子どこおろか招待客の女性さえ見えない。

ただ男が不機嫌そうに座っている。これは一体?

「君たちが最後だよ。それで君たちの覚悟を知りたい。本気で王子を…… 」

「もちろん王子を奪って見せます! 」

どうやら試されているのでしょう。本当に人が悪い。

それにしても見張りにしろこの男にしろ目つきも人相も悪い。

少しは名家の令嬢の扱いを学ぶべきではないでしょうか?

こっちが合せるだなんてなっておりません。

招待する側の粗が見え隠れして不愉快極まりない。

この程度のことに気が回らないとなると王子の印象まで悪くなる。

私だけではなく王子目当てにやって来た名家の令嬢やご婦人方もいるのですから。

いい加減しっかりして欲しい。


椅子に座らされると再び覚悟を求められる。

「もちろん王子はこの手で! 」

「よろしい。それでこそ招いた甲斐があると言うもの。そちらの方は? 」

「はい。異存ありません」

ビアンカは少し下がったところをキープする。

あくまで私マリオネッタお嬢様の為にあるのだとよくできたメイド。

連れて来て正解だった。身の回りのお世話等完璧ですからね。

それで屋敷でも異例の出世をして私専属のメイドに。


「覚悟は? もう元の世界には戻れない。いいですね? 」

これが最終関門。パスしないと王子のところには連れて行けないと。

ああもう面倒臭いな。だからいいと言ってるのに。早くしてよね。

その為に三時間以上かけてラクエラに来たんだから。


「ハイ! 」

二人同時に返事をする。これで少しは意気込みが分かってくれたでしょう。

王子とお近づきになれるんだから多少の制限も気にしない。我慢すればいいの。

上手く話が進めばもうすべて思い通り。

へへへ…… 王子早く来ないかな。


                続く

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