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招待状争奪戦

ラクエラ到着。

宿でウトウトしてるところを叩き起こされる。

どうやら女将さんが一部屋ずつ挨拶に回ってるらしい。律儀で仕事熱心? 

でも違った。無警戒にドアを開けると先程の三人組の一人が姿を見せる。

本当にしつこいんだから。


「ドレス? 正装? 馬鹿言うな! この格好で行くに決まってるだろう! 」

宣言したからには本気らしい。ですが少し考えれば分かること。

そのようなみすぼらしい格好で入れるはずがない。入口で追い返されるのがオチ。

どうしてこんな当たり前のことに気がつかない? それとも私の方が間違ってる?

「今は本当にないの。それでどうしても参加したいなら私のお付きになればいい」

お付きの者では王子のお相手はできないでしょうが中に入ることはできるはず。

間近で王子を見られるのだから文句ない。いい思い出にもなるでしょう。

うまく行けば目をつけられるかもしれない。それなのに……


「まったくお前は本当にバカだな。正装など必要ないし参加って何だ?

こっちは金になればいい。いい仕事を見つけたと思ってるだけさ。

だがどうやら本気であのカードはないらしいな。だったら出直してくる。

次に来た時には絶対にそのカードを渡してもらうからな」

意外にも物分かりのいい強盗さん。大人しく帰ってくれた。

あまりにもあっさりなので拍子抜けする。


うーん。なぜ招待状を所持してると気づかれたのでしょう? 

やっぱりあの子が言い触らした? でもあの一瞬で? それはあり得る?

それとも彼らにはそれが何か初めから分かっていた? 

どうもこの辺りのことがしっくりこない。


たかが招待状一枚にそこまで過剰反応するもの? 

ここの人たちはおかしい。普通殺し合いどころか奪い合いだってしないでしょう?

ここまでするもの? いくら一世一代の大勝負だとしてもやり過ぎ。

たかが晩餐会の招待状。いくら王子に気に入られたいからって……

待って…… もしかして根本から違う? 何かがおかしい。違和感がある。

ただそれが判明したところで二人っきりでは対処のしようがない。


ボウっとしてると再びドアの叩く音がする。

今度こそビアンカでしょう。

「邪魔するぜ! ほら殺されたくなかったら例のものを出しな! 」

まだ子供と言うか少女。私なんかよりも小さいのに仕草や声が大人っぽい。

ただ言葉遣いがマイナス。もう少しどうにかならないの?


「もしかしてあなたも招待状を奪いに? 」

もう隠す必要もないでしょう。時間を掛けずに話を引き出す。

「ああそうさ。悪い? 」

潔い。清々しいほどの潔さ。それでも差し上げる訳には行きません。

一難去ってまた一難。手当たり次第襲撃してるようにしか見えない。

もう安全面を考えればここは大人しく渡した方がいいに決まってる。

ビアンカには悪いですけど極秘旅は私が言いだしたこと。

これ以上災いが降りかかるなら考えを改めてもいい。

ただ王子への未練はやはり残るが。


「どこで? 」

「あんた目立つんだよ。それに俺はあんたがあの女を助けるのを見たんだ」

俺とはさすがに下品。まさか自分が女と言うのも忘れ格好つけて使いたくなった?

それはそれでいい。私だって憧れることがありますもの。

相手は武器を携帯。どうやら本気らしい。でもないものはない。

あの女とは一体誰のこと?


「正直に答えてくれたら差し上げないこともありませんが」

ここは交渉することに。この人も不相応な招待状を狙っている。

極秘のはず。どうやって漏れた?

「あんたが手にした紙は血塗られたものさ。このままだと必ず悪いことが起きる。

今すぐ手放すんだね。忠告したよ。ホラ早く寄越しな! 」

随分自分勝手。勝手に人の後をつけてきて強引に奪い取ろうとするんだから。

今ここで手放す訳にはいかない。でもずっとついて来るのは間違いない。

そうなった時に対抗できるかと言えばさすがに無理。

ビアンカと二人だけでは対処のしようがない。


「あなたの熱意には負けました。いいでしょう。取って来ますから五分待ってね」

大人しく部屋に待機してもらって急いで荷物を持って外へ。

もちろん目立たないように帽子は欠かさない。

ビアンカを捨てて一人で逃げるような真似はできない。

急いで彼女を探さないと。それにしてもどうしてこうも群がるのでしょう?

確かに私はたまたま瀕死の女性を助けたことで招待状を手に入れた。

でも噂では名家のお嬢様には招待状が届いたはず。

それなら世の女性にもチャンスがないとは言えない。

彼女が令嬢でないとしても多くの女性に招待状を送ったはず。

盛り上げ役も必要。王子に奇声を上げるのも立派な役目。

それなのに不相応な方たちは私の一枚の血塗られた招待状を奪い合おうとする。


逃げながらもそのことが頭から離れない。

どうもおかしい。とても不思議な現象。

まるで別の狙いがあるかのよう。そんなこと関係なく杞憂で終わるのでしょうが。

うーん。もう頭が混乱する。


                 続く

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