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三日三晩

私に最後の言葉を託そうとするアレン。

二年は会えないと悲観的になっているがそれはアレンの問題。

私には関係ないこと。なぜ思いを受け止めてあげないといけないの?

非情に聞こえるかもしれないがすべてはアレンが悪い。選択ミス。


「ははは…… いいじゃないか。細かいことさ。昔のこともどうだっていい」

やっぱりケリを入れてあげるべきでしょうね。

まったく反省してない。どう言うこと?

「よくない! ノリ―ナはどうしたの? 」

ノリ―ナは私の後に付き合った女。常に女の影がちらつくだらしない男。

それがアレンの正体。昔からの仲でなければもうとっくに縁を切っていた。

「もう別れた。どうも相性が悪いみたいでさ」

つまらないことで喧嘩してそのままだそう。

どうせアレンのことだから自分勝手ばかりして彼女を呆れさせたに違いない。


「だったらデレデレは? 」

噂でノリ―ナと別れてデレデレとくっついたと。

アレンに直接聞くのは嫌なのでその手の話はしないことにしている。

ルックスは悪くないので放っておけば女は寄って来る。

だから今だって恋人の一人や二人いるはずなのになぜか私に。

「ははは! とっくの昔に別れた。俺がモテるからだそうだ」

「カトリーナとも噂になったでしょう? 」

村の外れでお爺さんと細々と二人暮らしをしていたカトリーナ。

そんな子にまで手を出して最低。それからそれから……

なぜ私がアレンの女事情を知ってなければいけないの?

いくら田舎だとしても耳には入れたくないアレンの情報。嫌でも入って来る。


「それは先月に振られた。なぜか俺の前から皆消えるんだ」

そんな風に悩みを打ち明けるが知るはずない。ただ軽くて浮気性だからでしょう?

バカなの? 何度も繰り返すんだからちっとも懲りない人。

そのせいで男女ともに信頼を失っている。


「はいはいそれで私に何の用? 」

「恥ずかしがるなよな。俺の為に泣いてくれたんだろう? 」

自信満々のアレン。もはや記憶の中では最低の人間に。

私の周りの人たちは立派な方ばかり。それなのにアレンは前と変わらない。

成長しない子供っぽいアレン。頭には来るけど。でも……

嘘泣き対決で泣いたのを真に受けてるんだからかわいい。


「うん。あなたと別れるのが辛いの! 」

優しさと思いやりを持ちなさい。

それがお父様の口癖。旅立つ者に掛ける言葉は励ましであるべき。

アレンは最低だけど私だってそれくらい弁えている。

だってアレンはやっぱり私を求めてるから。

見回りと称して逞しい男たちを現を抜かしていた私を勘違いしているのでしょう。

だったらそのまま彼の思い描いた人物になり切らなければ。


「マリオネッタ…… 好きだ! 戻って来たら結婚しよう! 」

アレンはいつになく真剣だ。でもどうせ戻って来れたら浮気するに決まってる。

「うん! 帰って来て! 私を迎えに来て! 」

そうして抱き合う。


「アレン! 」

「マリオネッタ! 」

こうしてアレンの思い通りしてあげた。これでいい。これでいいのです。


翌日アレンは早朝に旅立った。

見送りは叶わなかった。なぜなら寝坊したから。

まあいいか。戻って来た時に丁重に出迎えればいいでしょう。

眠いな…… もう一度眠りますか。

こうして運命の日は着実に近づいている。


恋人が出兵して落ち込んでいるお嬢様は三日三晩泣き続けてるとの噂。

まったく誰がそんなホラ話を? まさかアレン本人だったりして。

実際のところはストによって外出禁止にされただけ。

ああなぜ私がこんな目に遭わないといけないのでしょう?

別に触れ合いがなくなったのが辛いなどとかはない。

ただ自由を制限された上にどこでも脱ぐと思われたのが嫌だった。

ストは思い込みが激しい。そんなはずないでしょう?

どこでも脱ぐのではなく素敵なお方の前や小さい子に唆されて。


別に外で脱いでも構わないでしょう? 屋敷でだって似たようなもの。

着替えの時は一応は誰も入れないようになってるけど使用人が来ても気にせず。

だってそれがいつものことだから。何がいけないのかさっぱり分からない。

でもメイドたちが同意することはない。


三日後どうにか外出禁止令が解かれた。

「ビアンカ? ビアンカ? 」

「どうされましたお嬢様? まさかまだ懲りずに見回りついでの覗きを? 」

勘違いしまくりのビアンカ。そんな人は存在しません。

まったくちょっと出世したからって生意気に。本当に困ってしまう。

私を何だと思ってるのでしょう? 

「ちょっと領内を出たいの。ついて来てもらえません? 」

当たり前だがビアンカの役目は私のお世話。専属のメイドだから断ることはない。

でもこれも彼女を尊重してお願いしている。


「承知いたしました! 」

そうやって急に畏まる。もう立派なメイド。後はストの巻き方を習得すれば完璧。

そうなれば私の邪魔する者がいなくなる。

でも今は彼女にそこまで求めない。ただ関係を強固のものにしたい。


こうしてお供伴って領地を出ることに。

気分転換でこんな気まぐれを起こしたのではもちろんない。

メイドたちの噂を聞きつけやって来たのだ。


                 続く

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