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アレンの気持ち

ストに覗きと裸になっているところを咎められ言い訳もできない。

どうにかしないと説教が永遠に続くことになる。

最悪外出禁止令が出てもおかしくない。

このまま放置はできない。生贄を差し出す必要がある。

生贄は私に近ければ近いほどいい。だからかわいそうだけれど……


「ビアンカがどうしてもって…… 」

「うわお嬢様! 私のせいにして! 」

「二人とも同罪だよ! 覗きはご法度さ! 」

結局ビアンカの巻きこんでしまった。罪悪感に苛まれる。

どうしていつもこうなのでしょう? よくしてくれるメイドなのに。

これではエラまで剥奪されない勢い。可哀想に。

しかしこれもメイドの仕事と言えば仕事か。

お嬢様の代わりになることで丸く収まるならそれはきっと本望でしょう。

ありがとうビアンカ。彼女の優しさが身にしみる。


「どうしようもないお嬢様だ! こんなことばかりしてたらいつか不幸になるよ」

厳しいストはガミガミと言って長いから辛い。

もうそろそろ嘘泣きでもしないと体が持たない。

「ふふふ…… もう大げさなんだから」

「大げさではありませんよ。いいでしょう忠告します。

そんな悪い子にはまもなく不幸が訪れるでしょう。もう知りませんからね! 」

子ども扱い。もう立派な大人で誰もが振り向くお嬢様なのに。

脅してコントロールしようとするスト。でも私は気にしません。

幸不幸などたかが人間では予知できない。ストのそれは忠告ではなく憂さ晴らし。


「はいはい。悪い子ですよ。ではもういいですよね? 」

「いいはずないでしょう! 本当にお嬢様は何も分かってないんだから!

不幸が必ず降りかかりますよ」

そう言って涙を流す振り。一滴だって垂れてないんだから。まったくよくやる。


「あああん! お嬢様の将来が! 」

そうやって嘘泣きを続ける。何だか喘いでるだけにも。仕方ないのでこちらも。

「ごめんなさい! ごめんなさい! 私が私が…… 許して! ううう…… 」

「あああ! うわあああ! お嬢様! 」

「ごめんなさい! 本当にごめん…… クション」


まずい。さすがにこの格好では風邪を引く。急いで服を着てと。

準備が整ったところでもう一度嘘泣き。

「ううう…… ごめんなさい! ごめんなさい! 」

「ああん! あああ…… 」

二人で嘘泣き合戦してると居た堪れなくなったビアンカまで泣き出してしまう。

うわ…… 面倒臭いな。でもこれも戦い。

お互いに一歩も引かずにウソ泣き合戦。何て生産性のない事をしてるのでしょう?

もういい加減飽きて来た。泣きながらその場を離れる。

冗談じゃない。私だって忙しいんだから。


夕方。アレンとの待ち合わせのいつもの小屋へ。

もう寒いな。どうしてこんな寂しくて寒々とした場所で会わないといけないのよ?

「アレン! どこにいるの? 」

待ち合わせ場所の小屋が開くことはない。

鍵が掛かって入れない。だからそのまま待機。

風邪を引くこと間違いない。ああもう面倒臭いな。

「こっちだ」

そう言って裏に回るように指示する。本当に我がままな人。


一応はビアンカもついて来た。ちょっと離れたところで待機してもらっている。

アレンだからどうってことないのに一人にはしておけないと。

お嬢様は自覚が足りてないとストのような物言い。


「心配したんだからアレン! 」

「本当かいマリオネッタ? 」

情けない顔のアレン。いつもなら挨拶のケリ入れてるところ。今日は遠慮しよう。

どうも真剣な様子。ふざけてる時ではなさそう。

「どうしたんだいマリオネッタ? 泣きはらしたような顔をして」

アレンはちょっとだけ嬉しそう。でもそれは壮大な勘違い。

ウソ泣き合戦で熱くなって本当に泣いてしまった。いつものこと。それで勝者は?

アレンには関係ないですがおかしな展開に。


「まさか心配して…… 」

「ううん。それはないから安心して」

「ははは! 無理しなくていい。悟ったんだろう? 」

どうも嬉しそう。だがどうせロクなことにならない。それがアレン。

そもそも悟ることも予知することも興味を持つこともない。


「いいから! 用件を言いなさいよ! 」

「実は俺…… 」

アレンに出兵命令が出たそう。

危険はほぼないが長くなるそうで二年以上戻って来れないと。

もし早く戻って来れるとしたらそれは遺体になってだそう。

物騒なことを言うアレンに何て言葉をかけてやればいいのか?

迷いどころ。不安な気持ちはよく分かる。でも少々大げさな気もします。


「あんたねえ! どうして私な訳? 」

出兵命令が出た者が恋人に別れの挨拶をするのは私だって見て来たつもり。

でも私たち友だちで仲間で幼馴染だけど決して恋人ではない。

一度はそう言う関係になりかけたがそれをアレンの方が浮気して台無しにした。

一度の過ちだからとアレンは言うけれど許されることではない。

このマリオネッタお嬢様をコケにしていいはずがありません。

それなりのプライドがあります。


アレンと来たら本当に信じられない。

何と言っても軽くていい加減だから。女と見たら誰にでも告白する。

だから会うたびにお仕置きのケリを入れていた。これもアレンの為。

きちんと反省してくれたらいいんだけどな。


                 続く

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