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マリオネッタお嬢様の密かな楽しみ

レオンナード王国の地方都市ニケの北の外れ。

現在交易都市ラクエラ以南より侵略を受けており徹底抗戦中。

美しく安全なニケが徐々に脅かされて醜く姿を変え始めている。


ごきげんよう皆様。私はマリオネッタ。どこにでもいる大きな屋敷のお嬢様。

自慢ですって? いえただのどこの村にでもいるかわいらしい女の子。

さあ今日も呑気に日課の見回りをするとしましょうか。

新人メイドのビアンカを連れて誰にも気づかれないように細心の注意を払う。

それが私たちに課された試練なのですから。


「お嬢様! あちらに見えるのは大変貴重な古代洞窟。

何人たりとも立ち入りを禁じられております」

緊張してるのかいろいろと紹介してくれるビアンカ。まだ慣れてないよう。

私がそんなのに興味あるはずがないでしょう?  

さあもういいかな。ではゆっくり近づくとしましょう。


ははは…… この筋肉どうだ?  

いや俺の方こそ凄いぞ。

そうやって筋肉自慢の兵士。朝稽古の疲れを癒している。

ああ何て素敵なのかしら。うん悪くありません。絶好の眺め。

もう少し全体を見せてもらえるとありがたいのですが。

万歳するのが一番ですがそれは難しい。

それに強烈な朝陽のせいで眩しくてよく見えないと言う根本的な問題も。


「あのお嬢様これは…… 」

ビアンカは呆れた様子。どうしたんでしょう? 絶対に興味があるはずなのに。

やせ我慢してる? それとも本気で困惑してるの? もう子供なんだから。

と言いながらもビアンカは私などよりも年は上。新人で私のお気に入り。

どこか品があって知性もあり私の付き添いにはもってこい。

どうやらビアンカは楽しくなさそう。これでは下手な言い訳をするしかないか。


「彼らは我が村を守る兵士。尊敬に値する人物です。

その彼らが必死に稽古した頑張りを褒め称えるのが私たちの役目ではないの? 」

それっぽいことを言ってビアンカを説得する。

彼女は私のお気に入りだからきっと応えてくれるに違いない。

「お嬢様! それはとても素晴らしい考えでございます。感服致しました」

ビアンカは私の適当に考えた言い訳を素直に受け入れ感激さえしている。

とてもいい子だとよく分かる。少々頭が悪くても問題ありません。


ああ早く次に行こう。見回りは時間との戦いでもある。

「ではそろそろお戻りになりましょうかお嬢様? 」

ビアンカは当然のことながら屋敷の掃除がある。

それ以外にもこなさなければならない雑用が溜まっている。

私はそれを承知で同行させている。大丈夫。掃除なら他の者に任せればいい。

雑用は帰ってからでもできるでしょう? 今この時にできることを優先すべき。

「ビアンカ? どうしたの? あなた最近おかしいですよ」

これが意外と効果あり。これでますます私を尊敬することでしょう。

私はいつだって素敵なお嬢様。怖いものだってありません。

「さあ次に行くわよ」

こうしてビアンカを引っ張って第二ゾーンへ。


「ホラ隠れて! 」

逞しい男たちが汗を垂らし向かい合っている。

武器は木の棒。相手が怪我をしないようにしっかり手入れがされている。

その一人がこの村で一番と名高いドレッド様。

個性的な髪と対照的にかわいらしいお顔立ちをしておられる。

まさかあれで私よりも上だと言うから驚く。まだまだ幼い。

ああ垂れる汗を拭いて差し上げたい。あるいはお背中を流してあげたい。

ただそれだけだと言うのに心臓がドキドキする。

ああこれはビアンカの胸だった。もう子供だから困ってしまう。

まさかドレッドに心を奪われた? もう単純なんだから。


「お嬢様。さすがにこれは刺激が強すぎます」

頬を赤らめるかわいらしいビアンカ。

何を言ってるのでしょう? 刺激って何のこと? 

「素敵な方でしょう? どう来てよかったと思う? 」

「確かにそうなのですが…… 」

どうもはっきりしない。

「どうしたのビアンカ? 心配ごと? 」

「いえ…… お嬢様を甘やかさぬようにと厳命されておりまして」

「もう今は楽しもう。誰も見てないって」

どうにかビアンカを引き入れようとするがまだ納得が行ってないようだ。


「何だお前ら! 」

ドレッドの指導係。随分とお年を召した方。

間もなく引退し故郷に帰ると言ってたっけ。面倒なのに気づかれたな。

単純だからきっと敵兵の偵察だとでも思ったのでしょう。

ここは退散するとしましょう。ドレッドの様子も見れたことだし満足。

本当は心行くまで見たかったけど私たちの関係は公にできない。

そう私たちは愛し合っている…… と思ってるのは私だけ。空しいですね。


「ほら次行くよ」

ビアンカを連れ回す悪いお嬢様。ですが見回りも決して悪いことばかりではない。

もしもの時に役に立つこともある。

ただ村の中心を離れないことが重要。

村境には追い剥ぎに人さらい。森を抜けようとすれば山賊に遭遇するとお父様が。

小さい頃から何度も口を酸っぱくして言われていた。

絶対に近づくなよと。それくらい恐ろしいところなんだと。

噂では最近人さらいとはまた別の集団が荒らし回ってるそう。

徐々にこの辺りも治安が悪化してきているのでしょう。


                続く

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