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回収作戦 (4)

ハデスは陣地へ戻ろうとしたが、事はそう簡単には運ばなかった。

「聖位国」の兵士たちの指揮官が、二度目の奇襲の後、彼を追撃するため別働隊を差し向けてきたのだ。


その度ごとに、追ってくる別働隊を待ち伏せ地点に誘い込み、各個撃破してきた。だが、その間にも本隊の進軍速度はどんどん上がっていく。

別働隊を犠牲にしてハデスの位置を割り出し、その分本隊が加速する──まさに牛を捨てて目的を得る、極めて卑劣なやり口だった。


「はぁ……三十一……」

最後の別働隊兵士の首を斬り払った瞬間、ハデスは荒い息を吐き出した。

ほとんど戻りつつ 있었지만、その代償として従っていた弓兵たちは全滅し、陣地は今まさに冒険者チームに攻め込まれている。

残された時間は、わずか一時間──。


『残りは陣地で守り抜くしかないな』

打つ手をすべて使い切ったハデスは、急ぎ冥霊石のある陣地へと駆け戻る。


その頃、交戦中の冒険者チームは遅々としながらも着実に陣地を攻略していた。

城壁の裏から降り注ぐ矢の雨。壁の隙間から突き出される槍。壁を越えようとすれば、そこには戦士たちが立ち塞がる。

幸いなことに、魔法を操る敵はいなかったため、僧侶の援護を受けつつ前進できていた。


しかし拮抗していた戦いは、次第に傾き始める。

「あと少しだ!」

「……もう一歩で突破できる!」

壁の攻略には時間を要したが、ひとたび壁を打ち破り内部へなだれ込むと、陣地はあっという間に瓦解した。

大半の骸骨兵は侵入してきた冒険者たちに対処できず、ただ粉砕され、消滅していく。


数は圧倒的にこちらが不利だった。だが彼らの熟練と冷静さは、数の優位をあざ笑うかのように、骸骨たちを瞬く間に消し去っていった。


「……あれが発生源か?」

最後の壁を破壊すると、不気味な石碑が地面に突き立っていた。

それは周囲の魔力を吸い上げ、このまま放置すれば今にも何かが起こりそうな気配を放っている。


そして石碑の周囲では、床から無限に骸骨兵が湧き出し始めた。

彼らは接近を阻むべく、これまで以上に攻撃的に突っ込んでくる。

──間違いない。この石碑こそ、骸骨を呼び出す元凶だ。


「リーダー! 俺たちが抑える! 今すぐあの石碑を叩き割れ!」

「……わかった!」


あれを破壊しなければ、安全に脱出することはできない。

仲間たちはリーダーが石碑へ辿り着けるよう、骸骨を押しとどめ道を切り開いた。


「砕け散れッ!」

地を蹴り跳躍し、両手の剣に全力を込め、石碑へ叩きつけようとしたその瞬間──!


どこからか現れた一振りの剣が、軌道を逸らし弾き飛ばした。

そのまま地面に叩きつけられたリーダーは、剣が飛んできた方向を睨む。


そこに立っていたのは──最初に彼らを奇襲した、あの男だった。


「ここまでだ」


最悪の事態だった。無理を重ねて攻略してきたせいで、仲間はすでに疲弊しきっている。


「お前たちは壁を修復しろ。ここは俺が引き受ける」

その言葉に従い、骸骨兵たちは一斉に崩れた壁の方へ向かっていった。


「……はぁ。なるべく穏便に済ませたかったんだが……これを見た以上、お前たちが生きて帰れる道はない」

「お前……お前はいったい何者だ!?」

「……ハデス」

「フン、笑わせるな。神の名を騙るとは!」

「信じるかどうかは勝手だ。ただし──名を明かしたのは、決して好意などではない」


そう言いながら、ハデスはゆっくりと歩み寄り、地に落ちた己の剣を拾い上げる。


「──お前たちは皆、皆殺しだ」

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