対価、使い道
自宅まで送ってもらって、解散さんするときに封筒を渡された。
「ほら、これ今日の分」
「ああ、ありがとう。」
封筒には5千円はいっていた。仕事量にしては高い気がする。
「多くないか?」
「これから先に投資ってことで。」
「なら安いか」
「うるせいやい」
京は笑いながら言っていた。なんだが面倒なことになりそうだ。
「まあいい、また連絡する。」
「わかった。お疲れ」
「じゃあな~」
京も帰っていった。せっかくだし、外食でもしに行こう。近くに商店街がある。そこに
洋食屋がある。そこへ行こう。
学生時代、それこそ小学校のころから行っていた洋食屋、いまは一代目の娘がやっていたはずだ。
商店街につく、最近シャッター商店街とかで話題になっていたがここも時代には逆らえないみたいだ。
ただ、新しい店もぽつぽつとやっている。服屋、弁当屋、書店、アイスクリーム店、パチンコ店、
マージャン店、スーパー。この辺は変わらない、飲食店は入れ代わり立ち代わりだ。
洋食店についた。からんからんとベルが鳴る。
「いらっしゃい。」
店主の爺さんがいた、小学生のころから知っている。大分年をとったもんだ。
「おお、雅じゃないか。久々だな。」
「ああ、爺さん久々だな。」
「何にする?」
「まかせるよ。」
「なら、奥の席座っときな。」
そういわれて一番奥の窓際に行く。商店街が窓ガラスから見える。
昔からずっとここが定位置そして、注文はいつもお任せ。初めて来たときまだ、小学生で
親父がまかせるといって注文をしていたのがきっかけだ。
先に飲み物が来た。
「メロンソーダでよかったか?」
「ありがと。」
「相変わらず子供だな。」
「あんたからしたら俺はいつまでも子供だよ。」
「それはそうだ。もうちょっと待っててくれ」
微笑みながら会話していた爺さんをみてほっとする。相変わらずなようだ。
「あー雅兄きてるじゃん。」
「えりちゃん、久々」
「ちゃんと生きてる?」
「さあ、どうだか」
「京は元気?」
「ああ、あいかわらず仕事熱心だったよ。」
「あったんだね~京が雅の事心配してたからさ。」
「ああ、今日会ってわかったよ。」
「またちょくちょく来るの?」
「そうだな、たまには。」
「そうなんだ、落ち着いたんだ?」
「まあな」
「ほれ、ステーキプレート」
爺さんがステーキが入った鉄板を持ってきた。ライス付きだ。ステーキプレートはメニューにない。
親父が食っていたのを見て俺はいつも真似していた。
食べていると少し涙目になった。懐かしい変わらない味、変わらない店内、変わらない声。
「ごちそうさま、またくるよ」
「ああ、またこい」
「連絡先まだかわってないの?」
「いや変わったよ。」
「ならおしえてよ」
「次来た時教えるよ、携帯おいてきたから。」
「いつももってないじゃん、ここ来るとき。」
「家から近いし大体帰った後に来るからな」
「むー、次から持ってきてよね」
「忘れてなかったらな」
「ありがとうございました」
店を後にする。夜も更けてきた、商店街のメインロードを脇にずれて裏路地から自宅に帰る。
また駐車場で猫が鳴いている。近くの喫煙所でたばこをすってから、家に入った。