過去の話 その三
風呂から上がると京がソファで酒を飲んでいる。俺が取っといた日本酒をあけていた。
「先に飲んじゃってるよ~おちょここっちにあるぜ」
こいつと思いつつ俺もソファに腰を掛けた。
もう一升瓶の半分を飲んでいた。大分出来上がっている。だが顔色はあまり変わらない。前にあったとき気づいたがこいつは酒に強い体質みたいだ。
「京、お前勝手に飲むんじゃないよ」
「わりいな、うまそうだったもんで」
笑いながらそういってきた。まったく、とため息を少しついた後、テーブルの置いたつまみ類をあさる。
「そういや明日の仕事なんだけどさ、おまえ手伝いにこないか?」
「いや却下だな。」
「なんでだよ、たまには手伝いに来いよ~」
次の日仕事だと大体こんな感じで誘われる。いつもは軽く流すが今日はしつこかった。
「明日けっこう割が高いんだよ、即日で払ってやるからさ、どうよ?」
「・・・・今回だけな」
「おーけい、じゃあ明日一緒にそのまま行くか」
酒が入ると遠慮がない。仕方ない明日は付き合ってやるか。そう思いテレビのチャンネルを回し始めた。
「そういやさ、高校卒業した後、地元でさ~」
結構酒を飲んでしまった。何を話したか覚えてない。京はもう寝ている。
ベランダに移動してたばこに火をつけた。
「明日、働くのか。面倒だな」
月明りが照らした下には駐車場がある。猫がこちらを見て鳴いていた。
最近野良が多いな、餌付けでもしてんのか?
そういや隣の万事屋?のばあさんちも猫多かったな?そこの猫か?
タバコの火を消す。かなり眠くなってきた。
テレビを消し電気を消しカーテンを閉め
ベッドに入り込んだ。