過去の話 その二
高校を卒業して自分で事業を起こした。親友と呼べるかはわからないが、十年来の友は大学へ進学した。
四年間疎遠になっていたわけではないが、高校生の時に比べたら全くと言っていいほど合わなくなった。
彼が四年次のときの一年間一度も会わなかった。
うすうす感じていたが大分人が変わってように見える。とてつもない何かを経験した、そんな雰囲気だ。
卒業した後に飯に誘った。せっかく卒業して地元に帰ってきたと聞きすぐ連絡して迎えにいった。
「よう、雅。久々だな」
「おう」
そっけない返事、こいつとはかなり付き合いが長い。大体こういう時嫌なことがあって自分の中で消化できず、自問自答をくりかえして飲み込もうとしている。付き合いが短い人が見ればなんてことないんだろうが
俺はかなり気になる。
「とりあえず、予約した店行くか。車置いてあるから」
「わかった。いくか」
まだ15時当たりで人もまばらそんな地元の街並をみながら目的の店まで行く。
「そういやさ、俺らよく言ってたハンバーグ屋あったろ?」
「このへんだったよな?」
「なくなったんだよ去年、ほら誘ったときあったろ?」
「ああ、去年連絡あったな。そのときか?」
「そう、そん時行こうと思ってな。よくサービスしてくれたばあさんいたろ?」
「そういえばそんなこともあったな。元気にしてんのか?」
「近くに焼き肉屋できたんだよ。そこでバリバリ働いてるよ」
「そうか、今度顔でもみせるか。」
めんどくさそうな顔して社交辞令みたいにセリフを吐いている。俺はそうその時思った。
「ついたぞ」
「サンキュ」
こいつはいつもそう必ず礼を忘れない昔からそう。そこは今でも変わらない、少し安堵した。
店に入る。メニューをみて適当に頼む。雅は任せるといった。
酒は飲むかと聞いたがいらないといった。まああまり強いほうではないしな予想通りである。
カチャカチャと音をたてることもなく、食事をする音がしそうでしない。たたずまいが静かである。
飯のときいつも思う。雅は所作が奇麗なのである。テーブルマナーとか習っていたとかではない
鼻につかないとでもいうのか自然体なのだ。そう前から。
たわいもない会話して帰路につく、結局聞きたいことは聞きそびれた。
聞こうとしたが、関わるなというオーラみたいなのが感じて取れた、深入りはしないこいつとはこの距離感でやってきたからだ。
「お前仕事はどうするんだ?もう見つけたか?」
家に送り届ける最中きいた。
「いや、やるつもりはない。やる意味がない。」
なんというか普通のそれも大学を卒業したばかりの若人が吐くセリフではないように、そう達観しているといか、
「そうなのか。金はどうするんだ?」
「まあ5年ぐらいならなんとかなるかな」
「そうか、ならまたちょくちょく遊ぼうや」
「気が向いたらな」
「ありがとな送ってくれて」
手を振りながら送り届けて一息つく。ハンドルを握っている手は汗ばんでいた。
何があったか気になる
こいつに何があったのか
誘うことをやめたらそのままはかなく消えそうな背中を見ながら。