変わらない日常
「人は死を克服するために生れ落ちそして、旅に出る。」
「死を克服した瞬間に死ぬ、克服できないから幸せや夢を追い求めて懸命に生き抜く。」
「生まれたときにある程度の運によって人生の大半は決まる。だが自身の行動によっては
どこまでも可能性を秘めているものである。」
生きていくうえで大切なもの正しいのか行いや考えなのか、悪い行いや考え方なのか、
この世界はあまりにも不平等で、あまりにも歪な形である。
あまりにも答えが出せないそんな世の中に疑問を抱きながら、
朝、起きて歯を磨き朝飯を食い、学校や仕事に行く。まあよくある人の営みだと思う
そんな人たちを横目に何をするわけでもなく町のほうへ行き目的もなくさまよう。
学生服を着ている子供たちを見て、自分もこの時代があったなとかあの子は今どうしているだろうとか
スーツを着たサラリーマンなどを見ては、私もこういう風な人生を歩む可能性もあったのかなど、
いろいろ想像しては、想像どまりの繰り返しである。
町にはいろいろな建物がある。
大きいショッピングモール、スーパーマーケット、ゲームセンター、
そのまわりに細々した店が立ち並んでいる。少し道をそれれば飲み屋やスナックなどが軒並みあり
その先に行けば住宅街があり、なんてことのない街並みではあるがそこそこ大きいほうなんじゃないかとも思える。まあ田舎の部類なのではあるが
「雅!今日はなにするよ!」
後ろから急に声を掛けられて振り向くそこには見慣れた顔が近づいてきた。
彼とはもう十数年の間柄である。ここ数年、週に2,3回あって遊んだり飯を食べに行ったりしていた。
「何でもいい」
いつもそっけなく答える。なぜかといえば毎回これといってやりたいことがあるわけでもない。
何もせず自宅に行ってだらだら過ごすこともざらにある。
「なら行きたい場所が~」
大体は彼が決めてどこかへ行く、今回もその流れで服が置いてある店を見に行き、飯を食い、時間が余って自宅に帰りなんて流れになった。
「お邪魔しまーす」
京が入ってきた。遠慮なしにリビングにおいてあるソファに寝転ぶ、彼の定位置なのだ。
「そういえば、何を買ったんだ?」
自分は服などに興味もないし、というか大抵のものに興味がない。京が買ったものにも興味がないがなんて事のない会話をするために聞いてみた。
「ああ、夏服を買ったんだ、そろそろ暑くなるだろ?私服何着か買っとこうかって思ってさ」
「どこか行くのか?」
「今年は旅行行こうと思っててな。仕事も落ち着いてきたし、時間に余裕もできてきたから海にでもい久々に行こうと思って」
だからアロハシャツみたいの買ったのか、似合わなさそうだななんて思って眺めてみていた。
「お前、今、似合わねえななんて思っただろ?」
「事実だな」
「着てみたいから着るんだよ」
笑いながらそう言った。現に試着してみなよと言って着させたがアロハシャツ事態は変な印象ではない。ただ色が赤で全くと言っていいほど涼しそうに見えない。センスがない。
「他は何か買ったのか?」
「服を数着、あとは財布。」
そういえばブランド物の店にはいってたな、なんと思いつつ自分は場違いな雰囲気だったからアイスクリーム屋に行って座っていたのを思い出した。
「いくら?」
「20万」
「・・・高」
見栄を張るのは昔から変わらないと見える。ただ見栄を張るだけの努力をしているのを知っている。
だから嫉妬や気おくれなどはしないし、むしろそれがこいつのいいところだと思っている。
「風呂貸してくれない?」
「どうぞ」
唐突に風呂が入りたいという、まあ断ることもないが。なんともまあ会話が下手である。人のことを言えないが
腹が減ったので、飯を作りながら待っていることにした。
雅 28歳 大学卒業して無職
京 28歳 高校卒業した後、自分で会社を始める。いまはかなり時間に余裕がある。