表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/60

第三十二話

栗毛の馬に揺られながら、城下町へと続く道をフィンと一緒に行っている。

ぱっからぽっからっと、フィンの話だと馬車と同じ程度の速度で行っているそうだ。

ほどほどの速度で(自転車くらい?)行ってくれるのですが、正直なところ、それでも振動が筋肉痛に響きます。

ついでに、馬車は城と城下町を一日三回往復するらしい。

今日は聖帝の祭日のため、城への出入は制限され、朝と夜の二回だけのため、馬車ではなく馬で城下町に行くことになった。




「街に到着したらアキネ様に術をかけます。ずっとお側に居るつもりですが、お祭りですので人がごった返しています。ですので、逸れないように術をかけさせて頂きます」

そう言って、フィンは後ろから説明をしてくれている。

そして、その説明はいい具合で男性と密着しているという事から気を逸らしてくれるかと思いきや…逆効果です。

「危害などは加えませんが、アキネ様にかける術は一応攻撃魔術の一種になります」

フィンがしてくれている魔法の説明は全く頭に入りそうにありません。

真後ろから聞こえる男性の声が、自分が男性と密着して馬に乗っているという事実を叩きつけます。

くそう…こんなことなら寡黙なフーガとの同乗の方がましだった…。

「は…はぁ…」

そんな気の抜けた返事しか出来ないじゃないか!

筋肉痛も響くのだが、フィンの後ろから聞こえる声も何かに効きます(何にだ)。

考えないように考えないようにと思えば思うほど、考えてしまうわけで…。

ドキドキはしますよ。そりゃフィンはどちらかと言えばイケメンだろうし。格好は良いと思う。

でもだからって、男性経験なんてないさ!って誰に逆ギレしてるんだ私。

もう、頭真っ白。いや、寧ろ暴走?かなちゃん、助けてください。

「…馬乗りは緊張しますか?大丈夫です。私が居ますから落馬など致しません。ご安心ください」

いや、だからフィン。あんたが後ろにいるからすっごい緊張するんだよ!

とは言えども、乗馬なんて一作日したのが初めてだから一人じゃ乗れないから、城下町に到着するまでこの苦行に耐えねばならんのか…結構、辛いかもしれない。




私は返事も言えずに黙していると、何かを察したのかフィンが聞いてきました。

「…その、失礼ですが…私自身に緊張してたり…しますか?」

ズバリ、言い当てられました…。図星です。

「…ご、ごめんなさい。その、あまり男性の方と接する機会がなかったもので…」

どうせ、私は彼氏いない歴=年齢の人です。

男友達がいたところで、こんな風に密着することはなかったし。免疫なんて皆無です。

きっと今自分は真っ赤になっているのだろう。顔がすごく暑い。

「それでは、アキネ様。私が説明をしていることの意味を理解することだけに、集中してください」

いや、フィン先生。それができたら苦労してない…。

「が、頑張ってみます…その、申し訳ないです」

「いいえ。こちらこそ配慮が足りませんでした。城下町に着くまで今暫くご辛抱下さい」

そして、それからフィンによる魔法の説明が再開されました。








結論。

集中できませんでした…。

フィン先生。不出来な生徒でごめんなさい(いつ先生生徒になったんだ)。



城下町の城門をくぐって、少し行ったところに兵士の詰所のような大きな建物。

そこにフィンは馬を進めた。

道中出来る限り気をつけながらフィンは魔法の説明をしてくれたのですが、あまり理解できませんでした。大雑把にならなんとか…理解したようなしてないような。

詰所で厩にフィンの栗毛の馬を預け、フィンは私の両手を握った。

「少しだけ、我慢してくださいね」

人懐っこい笑みを浮かべながら、フィンに握られた私の両手。顔から火が出るぞコラ。

私の手より、若干温度の高い温かい大きな手。

って…温かい通り越して熱いわ!

「あつっ」

「もう少しだけ、我慢してください。今、術をかけてますので」

そう言って、フィンは握っている両手の力を強くして、振りほどかせてくれませんでした。

ものすっごい熱いのですけど!

火傷まではいかないけど…何と言えば良いんだろう。熱いお風呂に両手だけ突っ込んでいる感じ?

「終わりました。熱かったでしょう。すみません」

フィンは私の両手を離し、腰のベルトポーチから綺麗なハンカチを取り出した。

ボソボソと何か呟くと一瞬だけハンカチが淡く光り、そのハンカチを私の両手に握らせた。

「冷たい…」

ハンカチは乾いた状態のように柔らかいのに、水を湿らせて凍らせたように冷たかった。

フィンはその様子を見て、楽しそうに笑顔で言った。

「まず詰所で町の地図を見ながら説明をしましょうか。それなりに大きい街ですので、場所を絞って観に行かないと、朝になってしまいますからね」

そんなわけで、私はフィンに案内されるまま詰所の建物に足を運んだ。





街の説明を受けて、何処に行くかをフィンと決めました。

まず中央通りにある夕方の市(というか出店?)とそれが終わる頃に開催されるパレードを観に行くことにした。パレードを観たら晩ご飯を食べるという予定。

パレードから二時間くらいしたら、城へ往復する馬車の夜の便が出るそうだから、帰りは馬車に乗って帰ろうという案で決定した。はい、栗毛ちゃんの馬には失礼ですが、筋肉痛が辛いです。



そうそう、フィンが私にかけた術ってのは、攻撃魔術の一種で捕縛術。それの派生らしい。

なんでも対象者の魔力と術者の魔力。それを目視できない魔力の糸で繋ぐというもの。

もっとも、術者から対象者にらしいので、対象者からは術者が何処に居るというのは把握できないらしい。

フィンの話だと、今回かけたのは半径一キロメートル位の範囲にしか効果がないとか。それ以上の距離になると、魔力の糸が切れてしまうらしい。

この街の大きさからそれだけあれば、十分だろうと判断したかららしい。

一応、常時術者の魔力を微々たるものだが削る、持続系の魔法らしいのです。

効果範囲が広ければ広いほど、削られる魔力も大きくなっていくとのこと。そりゃそうか。

説明を受けて思ったこと。


犬のリード?



いや、まあ、知らない場所で迷子になったりするよりは遥かにましです。

熱かったけど…。

術をかけるときだけ、だからよかったけどね。




でも、私はあとで後悔することになった。

対象者である自分からフィンが何処に居るか、把握できない事を。



そう。私は…。



迷子になりました。

今更ながらに、登場人物の背格好などあまり突っ込んで書いてません。

そのうち、どのような格好してるかなど登場人物紹介などで書くべきなのかな?


突っ込んで欠かない理由は、主人公であるあきちゃんが男性経験ナッシングだからと言い訳してみます。いや、私の力量不足なだけですけど。

そのうち、頑張って書いてみたいと思います!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ