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第二十五話

遠くでガランゴロンと鐘の音が聞こえてきた。

そういえば、昨日も聞いた気がするような…?

「ああ、もうそんな時間ですか。私が出来る講義はここまでですね」

そう言って、リディルは広げた地図や過去の『神銀の乙女』に関する絵付きの資料を直し始めた。

リディルが見せてくれた『神銀の乙女』の絵付きの資料には、過去の彼女たちの肖像画などもあった。その瞳の色はどれも銀色だった。肌の色や髪の色は十人十色だったけど。

資料を手早く片付け終えたリディルは、いつもの笑顔で軽くお辞儀をしながら言った。

「長々お付き合いくださり、ありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとうございました」

「ありがとうございました」

かなも私もリディルにお辞儀をし返す。

「では、食事に行きましょうかね。サティが今かと待ちわびているはずですからね」

リディルはそそくさと、先に部屋を出た。

…レディファーストじゃなのか?!と思ったが、部屋の外の安全を確認のためだったようです。確かにこの部屋のドアは、普通の木製のドアだったから外の様子はわからい。

「さあ、行きましょうか」

かな、私、兵士さんの順で部屋を出て、リディルの後に続き廊下を歩いていった。




リディルの足は複雑に入り組む城の構造など知り尽くしてるかのような、しっかりとした足取りで進んでいった。いや、まあ騎士ってくらいだから城に勤務してそうだから、知ってるんだろうけど…。

昨日通った記憶のない道(といってもうろ覚えですが)をリディルは進んでいく。

しばらく進むとリディルは城外へと足を進めた。

少しだけ行くと、花園だろう色とりどりの花や草木が生い茂った庭に到着した。


庭の中を少し進むと、拓けた場所に昼食の用意をしたサティと名前も聞いていない兵士さんと同じ格好をした兵士が居た。

名前も聞いていない兵士さんは一例をすると、その場を去って行きました。多分、サティと一緒にいる兵士が交代の人なんだろう。彼もお腹減ってるだろうしね。

サティは私たちの姿を視界に収めるなり、お辞儀をして柔らかい笑みをくれました。

「サティさん」

「カナエ様、アキネ様!お待ち致しておりましたよ。今日の昼食は、リディル様の提案でここ花園での食事となります」

「リディルさんの?」

そう言われて、私もかなもリディルを見た。

二人に見られたリディルは、とても解り易い照れ方をしていた。

「カナエ様もアキネさんも、この世界に来たばかりですからね。綺麗な花などを見ながらの食事ならば、少しは心が晴れるかと思いまして。お気に召しませんでしたか?」

あからさま過ぎて嘘くさいけれども、言っていることはもっともだと思った。

あからさまだろうと、美形の男性に正面から見据えられて微笑まれたら、解っていても赤面するのが年頃の女性です。かなにリディルの笑顔が炸裂しました。

「いえ、そんなとんでもな。こんな場所で食べるのなんて、私初めてです。ありがとうございます」

かなは赤面しながら、慌てたように言った。

「お気に召していただけましたか。カナエ様に喜んでいただけて私も嬉しいですよ」

まあ、私もかなが喜んでくれるなら嬉しし、綺麗な花を見ながらの食事もいいかなと。

かなの様子を見ていて自然に笑顔になってたらしく、リディルは私の様子も見て満足そうだった。


この世界の料理は私たちの世界とそう大差がないようで、並べられた料理はどことなく見たことのあるようなものが多かった。

これには、心底安心した。

見も知らない異世界で、ゲテモノ料理や元の世界じゃ考えられないような彩りの料理など出された日には…。異世界だから、それを食べるより他に手段がなかっただろうから、だから見た目だけでも似てる料理に安心感を持って食べれた。味もそう変じゃなかったし。というか、すごい美味しいし。

ただし、使う食器に箸はなくナイフやフォーク、スプーンだった。

いつも家で食べるときは箸だったから、ナイフやフォークは使い慣れずに大変です。こぼしてないけど。



「食事の後も勉強になるけど、今度はサティの娘のマリーン・ラシーヌが講師として来るんだよ」

リディルは優雅に食事をしながら言った。

サティの娘と聞いて私もかなも、食事の手が止まった。食事の手を止めたかながリディルに質問をした。

「サティさんの娘さんが講師ですか?どんな人なんですか?」

「マリーン・ラシーヌは君たちと同じくらいの年頃だが優秀な魔術研究員だから、心配することはないよ?ああ・・・いや、性格ということならば…。そうだね、良くも悪くも研究員って感じの子かな?」

良くも悪くも研究員ですか…。実験させてとか言われなければ、問題はないんだろうけど。

かなは首を少し傾げていた。どうも今の説明だと分かり難かったらしい。私もいまいちわからないし。

「…そう、なんですか・・・?」

「大丈夫だよ。根はいい子だから。きっと良い友達あたりにでもなれるんじゃないかな?」

どうやら、かなは納得したようです。ほっとした表情になったし。

リディルもそれを見て、もし味があるなら甘い微笑って感じの笑みを浮かべてました。



食事も終わりゆっくりと寛いでいた所で、また遠くで鐘の音が鳴りました。

「それじゃ、次の勉強部屋へ行こうか」

そう言ってリディルは椅子から立ち、さあ行こうと目線で訴えてきた。

「それでは、私は片付け等がありますので。何か御座いましたら御呼び下さい」

サティはそう言うと、綺麗なお辞儀をくれました。


「あの、サティさん」

「はい?」

サティと別れる前に、どうしても気になったことを聞くことにした。

かなもリディルもついでに兵士さんも、私を待っていてくれている様子。

「その、呼ぶって…どうやって呼べばいいんですか?」

そういえば、って感じの表情をかなはしていた。

リディルはおや?という表情で、サティはあらまあという言葉が似合いそうなちょっと驚いた表情だった。交代した兵士さんは…残念ながら後ろにいるので見えません。

「あら、私としたことが説明をしていませんでしたわ。このお城には各部屋の出入口の横に呼び鈴がおいてあります。そちらを鳴らすときに、私の名前を呼んでください。声に出さなくても構いません。そうすれば、私の方に直接連絡が来ますから。呼び鈴を鳴らすときに、特に誰かという指定がなければ、詰所の方で待機しているものが駆け付けますから」

リディルが昨日鳴らして居た呼び鈴にそんな機能があったとは…。不思議だわ。

「ありがとうございます。それじゃあ、もし何かありましたらお願い致します」

「こちらこそ、呼ばれるのを楽しみにしていますね」

サティは優しそうな笑顔で私たちを見送ってくれました。

リディルの案内で次の勉強部屋へと移動することになった。

そういえば、結局交代した兵士さんからも名前も聞いてないや。



花園を突き抜けて、城壁内の城とは別の建物にリディルは私たちを案内した。

建物内部ですれ違う人は、いかにも魔術師ですよ!って感じのローブを着ている人も居れば、研究者っぽい白衣をきている人も居た。

「この棟は魔術関係の施設や研究所など、魔術に関する様々な設備が詰まっているんですよ」

「それじゃあ・・・午後の勉強って魔術に関する勉強なんですか?」

つい、魔法に対しての好奇心に駆られて聞いてしまった。

聞かなくても相手が魔術研究員だって時点で、魔術関係の勉強だとは思うのですがね。

「ええ、そうですよ。楽しみですか?」

「…ええ。楽しみです」

なんだか、明日の遠足楽しみかいと聞かれた子供の心境だ。若干気恥ずかしさで、頬が熱い。

でも、実際かなり楽しみだし。魔法なんて…心踊るじゃないか!

「私も楽しみ。ねえ、あきちゃは魔法が使えたらどんなの使ってみたいの?」

と、どんなのが使えるかわからないのに私はかなと、こんな魔法が使ってみたいとかくだらないことを言いながらリディルに付いて行った。リディルは時々肩が震えているようだった。



「ここです。入りますよ」

リディルは中に聞こえそうな声量で言った後、一度ノックをしてから部屋のドアを開いた。

部屋の中はまるで図書館にいるかのような、四方の壁には膨大な書物。

それでも、本は全てきちんと壁の本棚に収められており、部屋は整然とされていた。

絨毯には紋章か魔法陣なのか判別のつきにくい、幾何学的な模様が描かれていた。

木製の立派な造りの机と柔らかそうな布地が貼ってある椅子。その椅子に座っていた女性が立ち上がって私たちを出迎えた。

「お待ちしておりました。私はマリーン・ラシーヌです。未熟者ですがよろしくお願いします」

サティに良く似た優しそうな人懐っこい笑顔。薄い褐色の肌に、淡い水色のようなの髪。肌も髪の色も似ているが、その眼の色だけは濃紺色だった。

彼女に近づいてわかったのだが、かなより身長が低かった。

印象としては可愛い子、でした。言葉の使い方もサティに良く似ているようで、丁寧な言葉使いだし。

「私がカナエ様とアキネ様にお教えすることは、魔法に関してですね。未熟者の私が講師で申し訳ないです。明日の準備で上役の人たちは都合がつかなくて…。申し訳ありません」

「いえ、そんな。こちらこそお世話ります。私は神武 香奈恵。よろしくお願いします」

「私は高木 明音です。よろしくお願いします」

かなと一緒に丁寧にお辞儀をする。マリーンは「こちらこそ」とお辞儀をし返してくれました。

マリーンの用意していてくれた椅子に、私とかなは進められてから腰をかけた。

リディルは私たちと共に、与えられた椅子に腰掛けていた。兵士は部屋に窓がないため、ドア側で待機してた。


こうして、マリーンによる午後の魔法の授業が始まった。

今回は文字ばかり結構びっしりって感じで読みにくかったら申し訳ないです。


未だに主人公はどのくらいの魔法能力にするか迷ってます。かなちゃんは決定済みなんですけどねー。チート能力か無能力か、それとも平々凡々な一般的な能力か…みなさんはどのようなのが良いと思われます?

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