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第一話

 女の子なら誰しも一度は夢見たことがあるはず。

 白雪姫やシンデレラのように白馬に乗った王子様が自分を迎えに来る。

 そんな、自分だけの王子様を夢見たことがきっとあるはず。

 きっと、あるはず……。



 といっても、そんな夢物語などに浸るような乙女な年齢などとっくにすぎ、そろそろ彼氏の一人もいないことに焦燥感が出てきた年頃。

 私、高木 明音(たかぎ あきね)は彼氏のいない暦を更新し続けている、情けないかな23歳。

 趣味は……最近は少しは増えてはきたけど、女子としては少数派のゲーム好き。楽しいんだから仕方ない。女子が好きな恋愛ゲームやパズルゲームはもちろん、シューティングゲームやRPGやSLGなどにも手を出し、果てには格闘ゲームにも手を出しちゃってたりする。

 ゲームセンターなどに行って遊ぶこともしばしばある。

 そんなところに行くんだ、男性との出会いも……ないわけではない。

 が、どうも興味が持てず友達止まり。

 いや、むしろ良き対戦相手(格闘ゲームやパズルゲームの)だったりする。

 どうも、世間の女子とは趣味が違う。



 別に悪いとは思ってはない。

 自分は胸を張ってゲームが好きだと言えるし。

 ゲームを通じて出来た色々な友達がいる。

 恋人が……出来ていないのは縁がなかったからだと思いたい。

 それに、ゲームセンターに遊びに行っていたことで、私にとって親友と呼べるような友達に出会うことができた。



 私の親友。私がそう思っているだけなのかもしれないが、それでも私は彼女が私の一番の理解者だと思っている。

 神武 香奈恵(かみたけ かなえ)。

 彼女との出会いはゲームセンターだった。ある男子の恋人(といっても付き合いだしてすぐだったらしいが)で、ゲームに興味はないけど彼氏に誘われたので連れられて来た。

 その男子は友達で、初めて会う子の紹介をしてもらった。

 全然趣味は合わないけれど、彼女といると何故か楽しかったし、心安らいだ。

 彼女がその男子と不仲になり別れてしまった後も、私と彼女はとても良い友人関係だった。

 今も、一緒に遊んだりしている。



 彼女―-かなとは高校二年生からの付き合いだった。

 かなの家と私の家はそんなに遠くもない距離だったし、何度か泊まりに行ったりもしていた。

 大学は志望が違うから別々にはなったけど、在学中もそれなりの頻度で会っていた。

 私は大学を卒業後、なんとか就職の決まった調剤薬局で働いている。

 かなは専門学校を卒業後、洋裁工場に勤めていた。

 高校や大学生のときに比べると休みをあわせることが難しくはなったが、それでも月に一回くらいのペースで遊んでいる。



 今日は土曜日。日曜休みなので、これからかなの家に泊まって明日は二人ではショッピングと予定を組んでいる。

 かなは今日のために、レンタルショップからDVDを借りてきているらしい。

 かなは私と違って芸能人に興味がある。

 若手の実力俳優の伊勢 武(いせ たける)。かなが今一押しの芸能人である。そんなわけで、かなは伊勢君の出る映画のDVDを借りてきた。

 かなはその映画が上映されている時に観に行っていて、その後に会ったときのかなの話題は伊勢君の話題ばかりだった。

 内容は伊勢君がある魔法の本を開いて異世界に行くといく物語。

 そこで、伊勢君は勇者となり仲間とともに困難に立ち向かう様が描かれた映画。

 昔の映画のリメイクだが、伊勢君の演技力もさることながら、ド迫力のCGなどを使って描かれたモンスター、今までになかった手法での撮影シーンなど、とても高い評価を受け何かの賞も受賞していた。

 上映している間はそんなに興味がなく観に行くことはなかったが、かなの話やニュースで流れたりする話を聞いていたら、レンタルが出たら観たいなと思っていた。

 それをかなに言ったら喜んで、借りて一緒に観るという話になった。



 お泊り道具をバッグにいれ、手土産にお酒とおつまみを持参。

 かなの携帯に電話をいれて、家を出る。

 両親には泊まってくるとは伝えてある。

 私には姉が一人と妹が一人いる。姉は去年結婚して近々子供を出産予定で、病院に通院するときはいつも母が車を出し、付き添っている。

 家族とはどちらかといえば、仲がいいだろう。だから、外泊するときは事前に連絡をいれている。二十歳も過ぎちゃんと働いているが、そうしないと心配をかけるかもしれないし、習慣にもなっているから。

「それじゃ、行ってきます」

 玄関を出る前に一言だけ言うと。

「かなちゃんによろしく言っておいてね~」

「たまには、こっちにも泊まりにおいでよと伝えておいてくれ」

 中から妹と父親の声が返ってきた。

「伝えとくー」

 そう言って、母と兼用している軽自動車に乗り込む。



 車で15分くらいの位置にかなの実家がある。

 かなの母親はかなが専門学生となった年に事故で亡くなった。

 もちろん、かなは落ち込んだけれども、かな以上にかなの父親は落ち込んでいた。そのため、かなは父親を支えるのに必死だった。

 母親が亡くなった後、父親がかなに対する心配のかけかたは異常なくらいだった。

 かなの母親が亡くなる前までは、かなも私の家に泊まりに来たことも何度かあったが、亡くなってからは一度もない。

 父親が許さなかったからだ。帰ってくるのが遅くなることも許さなかった。

 最近では、仕事以外で遅くなることも許してもらえるようになったらしい。

 それとは関係なしに、一応今から行くよって連絡はいると思うので電話をして出てきたわけですが。



 明日はどんな服を買うかなとかあの店に行きたいなとか考えながら、かなの家まで運転をした。どこにでもあるような一軒家。かなの実家。

 

 インターホンをならすと、しばらくしてかなが出てきた。

 かなの作った夜ご飯を食べ、後片付けをし、かなの部屋へといく。

 かなの部屋は落ち着きのある壁紙に、ベッドは白を基調とした薄っすらと花柄の描かれたベッドカバー。枕元にはちっこい犬のぬいぐるみ。棚には女性雑誌や少女漫画。机の卓上カレンダーは今一押しの伊勢君のカレンダー。

 そして、借りてきたというDVD。



 このDVDのせいで明日が変わるなど夢にも思わなかった。

初投稿。誤字脱字大歓迎です。

読みにくいところもあるかもしれませんが、お付き合いお願いします。


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