第0話 精霊に愛され精霊を信仰する国の伝承
ふと思い付いたので書いてみました。
まだまだ文章力は乏しいので何でも大丈夫だよ!と言う心優しい方は読んで頂けると嬉しいです。
精霊に愛され、精霊を信仰するこの国には昔から伝わる古い伝承があった。それははるか昔の話。ーーまだ人類の発展も乏しく精霊達が森を駆け回り、草木はたっぷりと陽光を浴び青々とした葉を広げ、花が咲き乱れる美しい自然溢れる国だった時の話である。
精霊王は四大元素の精霊を操る事の出来た娘を『精霊姫』とし、自身の娘のように快く迎え入れ深く心の底から愛していた。近くの湖に出掛け2人で談笑をしたり、ただ最愛の娘の傍にいられるだけで良かった。ずっと、このままで居られれば良いと願っていた。……だが、時間と言うものは残酷だ。
どれだけ一緒にいたくても、ずっと傍にいて欲しくても精霊と人間の娘という種族の違いには逆らえなかったのだ。最愛の娘はどんどん痩せ細り、綺麗な黒髪も綺麗な肌ももう、変わり果ててしまった。……それでも、精霊王は娘を愛していた。
ついに自身の部屋のベットから動く事も出来なくなった娘に精霊王は毎日会いに行った。綺麗に摘んだ花を持っていき、今日あった出来事を話した。
……いつ最後になっても良いように。悔いが残らないように。その一心で精霊王は1日、1日を大切に過ごしていた。
それでも寿命という鎖からは逃れられない。いつも通り綺麗な花を摘んで娘の部屋に行った時には、娘はにっこりと微笑むだけで返事を返す事さえままならない程に衰弱していた。
「……もう、行ってしまうのか……?」
衰弱した娘の手を握りながら精霊王はか細い声で呟く。握った娘の手は前よりも冷たくなっていてもう、永くは無い事が痛い程伝わってくる。これで最後なのだと認識してしまった時にはもう遅かった。涙が溢れ出して止まらない。まだ言いたい事は沢山あるのに、口は開いては閉じてを繰り返すだけ。その時、つっ…と娘の指が精霊王の頬を撫でる。涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま娘を見ると若い頃の笑顔を浮かべながら最後の力を振り絞るように口を開く。
「……えぇ、そうみたい、……わたし、貴方と過ごせて幸せだったのよ……?だから、泣かないで、笑って……?だいじょうぶよ、かならず私はまた貴方に会いに行くわ。……だって、わたしは精霊に愛されてるんだから、……そうでしょう……?」
「あぁ……なんたってお前は、精霊に愛されている『精霊姫』なんだからな」
「……ふふ、そうよね、……ねぇ、あ……い……して……いる…わ」
「……?!……俺も、お前を愛している、この世で1番」
精霊王の言葉が娘に聞こえていたかどうかは分からない、だが、娘の最期の表情はひどく穏やかなものだった。
数日後、最愛の娘の葬儀が終わり、精霊王は四大精霊を呼びつけこう言い放った。
「……必ず、お前達四大精霊を使役出来る娘を見つけ出せ。その娘は◯◯の生まれ変わりの筈だ。そして俺の屋敷に連れてくるんだ。分かったな」
「「「「はい、精霊王様」」」」
それから精霊達は自身を使役出来る娘をずっと探しているという。
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