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*ウィルフレイ視点 3

 薬草園の執務室で報告書を確認しているとデルが焦った表情で駆け込んできた。


「リルがいない!?」


「俺と昼過ぎに別れてからずっと姿を見ていません。同僚にも声を掛けて探してもらっているんですが、誰も彼女を見ていないようです。」


「本邸に連絡は?」


「今、人をやって確認していますが、馬車があるので本邸に帰った可能性は低いと思います。」

リルが何も言わずに何処かへ行くとは思えない。


「とにかく僕も探しに行く。」

リルは最近、どこか僕と距離を取っているようだった。

僕も父に頼まれた仕事に追われてリルとの時間を取れていない。

後悔と不安で机を強く叩いてしまった。





「ウィルフレイ様、お父様がこちらの書類に目を通して欲しいそうです。」

リリーが開けっ放しのドアから当たり前のように部屋に入ってきた。


 リリーは昔から年下の僕を自分の所有物のように思っているところがある。この薬草園も自分が女主人とでも思っているんだろう。父親のケイルの顔を立てて仲良くしてきたが、正直鬱陶しい。


「あら、どうかしました?」


「マリード嬢、リルメリアを見ませんでしたか?」

リルメリア呼びしたデルを思わず、凝視してしまった。リルが許可したのだろうか。

色んな状況が重なりイラついた気持ちを抑えられない。

いつもの平静な表情を造れず、僕はデルを睨みつける。


「リルメリア様ですか?やはり薬草園は飽きてしまわれたのかしら。危ないので1人で出歩かないよう、私がお願いしたのを怒っていましたし。ウィルフレイ様どうしましょう。」

リリーは涙を浮かべながら僕の腕を掴む。

あざとい彼女の仕草に逆に冷静さを取り戻した僕は、デルにリル捜索の指示を出す。


「リリーはケイルに事情を説明してきて。」


「私はウィルフレイ様の側で役に立ちたいです。一緒にいてはダメですか?」

リリーは僕の腕を離す気はないのか、更に自分側へと抱き込んできた。


僕はリリーの腕をかまわず振り払う。

時間が無い今、彼女に気を使う気はない。


「僕の指示に従えない部下は邪魔だよ。」


「え?ウィルフレイ様?」


「聞こえなかった?今すぐケイルに伝えてきて。」


リリーは僕の豹変に驚いたようで、ドアも閉めずに走って部屋を出て行った。

初めからこうしていれば良かった。何でも平穏に保とうとする自分が馬鹿らしくなる。



 僕は部屋のドアを閉めて、胸ポケットからペンダントを取り出した。

そのペンダントはリルに渡した戻り石と同じ意匠。違うのは、中心に光る魔鉱石がリルの瞳に浮かぶ金冠の輝きを放っていること。



 僕はペンダントを握りしめて、リルを思い浮かべる。

リルに渡した戻り石に付けた僕の魔法がリルのいる場所を示してくれる。


こんな機能を付けたと知ったらリルは怒るかな?

信じてはもらえないだろうけど、この機能はまだ使うつもりはなかったんだよ。


まだね。


でもリルはすぐ色んな人を惹きつけるから。

この機能だけじゃ足りないね。

リルを見つけたら、まずはデルに名前を許したことを聞かないと。


窓には笑みを浮かべている自分の顔が写っていた。




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