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2-30

「見えて来たよ。あそこがグリーンブレス薬草園の入り口になるんだ。」

薬草園はその周囲を背の高い鉄作で囲われており、入り口には門番が立っていた。


「すごいね。」

広大な敷地を鉄作で囲う光景は圧巻だった。


「ここは貴重な薬草だけじゃなくて、毒性のある薬草の試験栽培もしているからね。警備は厳重なんだ。」



 門を通り過ぎると、複数の建物とガラス張りの温室が見えた。


「薬草は種類ごとに栽培しているのね。」

簡易な囲いの中には花や実を付けた薬草が種類ごとに栽培されている。


「毒性のある物もあるから無闇に触っちゃダメだよ。」


「分かった。ウィルは薬草に詳しいの?」


「僕は将来、兄さん達の補佐で薬草園を管理する予定なんだ。だから薬草については勉強しているよ。」

少し見ただけでも沢山の種類の薬草が生えている。これを覚えるのは大変そうだ。






「ようこそ、アルト嬢。私はここで所長を任されているケイル・マリードと申します。」


「彼が今、この薬草園を管理してくれているんだ。」

マリード所長は肩ほどの茶色の髪を一つに束ね、同色の鋭い瞳でこちらを見ていた。鍛え上げられた体格のためか、少し威圧的に感じる。


「初めまして、リルメリア・アルトです。度々こちらを訪れることになると思いますがよろしくお願いします。」


「はい、後ほど私の娘も紹介いたします。年は少し上なのですが、仲良くしてやってください。」


「会えるのを楽しみにしていますね。」





「本日はディレイル君に会いに来たとか。」

 マリード所長はその見た目に反して、細やかに薬草園の説明をしてくれた。


「うん。リーン先生はいる?2人を応接室に連れて来て。」


「かしこまりました。」


 

 

 応接室に案内され、少しの間待っていると、リーン先生とデルが揃って部屋に入ってきた。2人とは手紙の遣り取りはしていたけれど、直接会うのは教会の時以来だった。


「久しぶりだね、アルト嬢。元気だったかい?」

リーン先生は変わらず温かい笑顔で私を歓迎してくれた。


「はい、リーン先生。デルも久しぶり。」


「態々ここまで来てくれてありがとう。アルト子爵家には本当に感謝している。」

デルは姿勢を正すとゆっくりと頭を下げた。


「私の方にもアルト子爵から丁寧な手紙を貰った。」

お父様はリーン先生にも詳しく説明したようだ。

 

 挨拶を終え、本題に入る前に私は背筋を伸ばして、目の前に座る2人を見据えた。




トントン



 私が話し出そうとすると、部屋にノックの音が響き、1人の少女が入ってきた。





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