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「リングドンの薬草園に行くんだって?今の時期は緑が生い茂ってて綺麗だろうなー。良い休暇になりそうだね。羨ましー。」
「先生、私、お父様に頼まれた仕事をしに行くんですけど。」
午後の授業、私が魔法発動の練習をしている横で、ルーイ先生はソファで寛いでいた。
「あそこの薬草園には色んな魔道具が使われてるからいっぱい見ておいで。面白い逸話もあるしね。」
さすがは、国を支える薬草園。色々と勉強させてもらいたい。
「先生、あれから無属性魔法について何か分かりましたか?」
私はリヴァン先生の仮説をルーイ先生に話した。先生も私の魔力に疑問を持っていたらしく、嫌いな王城にもこまめに足を運んでくれている。
「城の図書室の記録書には、記述はあるけど、それ程詳しくは書かれていなかった。あとは禁書庫を探してみるよ。」
「ありがとうございます。」
「僕もリヴァンの仮説は正しいと思うよ。もし無属性魔法が魔法自体を創造できるなら、属性に囚われすぎない方がいいのかも。」
「今の私のやり方でいいんでしょうか。確かに発動時間は早くなったんですが。」
それでもまだ、私の中で何か引っかかっている。
「ちょっと面白いんだけどね。記録書って魔法研究のために書かれたものだから、すごく正確に書かれてるんだ。日付や星の位置、天気とかね。でも無属性魔法の可能性のある魔法には肝心の魔法陣が記録されてないんだ。他の魔法はちゃんと書かれているのに。」
「複雑過ぎて書けなかったんでしょうか。」
「その可能性もあるけどね。でも僕は魔法陣自体無かったんじゃないかなって思ってるんだ。」
「そんなこと可能なんですか?」
私は思わず、練習中の魔法を中断してしまった。
「もちろんまだ憶測だけどね。でも、そもそも魔法陣は属性がある魔力を上手くコントロールするためのスイッチだ。魔力に属性が無いのなら魔法陣は必要ないんじゃないかな。」
もし魔法陣に囚われずに魔法が使えるのなら、私はどんなことができるだろう。
「まあ、リルちゃんはまず、色んな魔法に挑戦しようね。まだちょっと荒いから、繊細な魔法が使えるようにならないと。はい、練習再開だよー。」
「先生!私、転移魔法が使えるようになりたいです。」
今一番の私の目標だ。
「うん。まだ全然無理。もうちょっと魔力の微調整出来ないと。長期休暇もちゃんと練習するんだよ。課題出すからねー。」
「はい。」
私の初めての長期休暇は、仕事と課題で忙しくなりそう。
「先生、お土産買ってきますね。」
「わーい。美味しいものがいいなー。」
美味しいものか、帰りに待ち合わせしているウィルに領地の事を聞いてみよう。
ウィルのことを考えると、私の中にある不安な気持ちが薄らいだ気がした。




