2-22
「よーし。まずは何か食べに行こうぜ。」
ロイドの案内で私達は王都のお店を回る。
普段の買い物は、邸に商人が来てくれる私にとって見るもの全てが新鮮だった。
私はつい楽しくて、フラフラと歩き回ってしまった。
平民向けのお店が並ぶ通りは人が多く、慣れない私は何度も人とぶつかりそうになった。けれどその度にウィルが私を守るように庇ってくれた。
「見てください。とても綺麗。これは兎ですわね。」
「この猫も可愛い。折角だからみんなでお揃いにしない?」
私達は、ガラス細工の露店の前で可愛い小物を見ていた。
「じゃあ俺このドラゴンにする。」
ロイドと一緒に選んでいるニルフはなぜか虹色の蛙を選んでいた。双子でも趣味は違うらしい。
「私はこれにしようかな。ウィルは?」
私は海の色のイルカにした。今日のリボンと同じ色。
「僕はこれにするよ。リルの瞳と同じ色だね。」
ウィルは薔薇の形をしたガラス細工を私の瞳の横にかざした。
「あら、2人らしくて素敵ね。」
ティーナとリズベルが私達を見て笑っている。なんだかちょっと揶揄われている気がする。
気付かない内に私の分はウィルが払ってくれていた。
「今日は少し早いけど、これで帰るか。」
「すごい楽しかったね。リルとティーナはいっぱい歩いて疲れてない?」
リズベルは歩き慣れない私達をずっと心配してくれていた。
「ありがとう、リズベル。貴女のおかげで楽しい時間を過ごせたわ。」
「みんな、今日はありがとう。また学院でね。」
今日一日で広い商業区を回りきることは出来ない。また遊びに来ようとみんなで約束して、今日は早めに解散することにした。
「ウィル、この後少し時間ある?良かったら少し付き合って欲しい所があるの。」
「もちろん大丈夫だよ。どこに行きたいの?」
「あのね、教会の孤児院に行きたいの。」
「分かった。ここから近いからこのまま歩いて行こうか。」
私はウィルと並んで教会までの道のりを歩いた。
「お嬢様、リングドン様いらっしゃいませ。」
孤児院のシスターが突然訪れた私達を優しく出迎えてくれた。
リングドン家は毎年この教会に薬草を寄付している関係で、孤児院にも援助をしているそうだ。
「お姉さん、こんにちは。」
孤児院の食堂に通された私達の下に、元気良くアリアがやって来た。
「こんにちは、アリア。元気そうで良かった。」
「はい、お姉さんのおかげです。ずっとお姉さんにお礼を言いたかったんです。」
そう言ってアリアは私に抱きついてきた。
シスターが慌てて止めようとしていたけれど、気にしないでと意味を込めて首を横に振った。
「アリア!」
大きな声に驚いてドアの方に目を向けると、息を切らせたライが驚いた表情でこちらを見ていた。




