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2-19

「ようこそ。アルト子爵、リルメリア嬢。」

 レブロン公爵家のエントランスで公爵と夫人、そしてティーナが揃って出迎えてくれた。

 馬車から見えた公爵家はとにかく凄かった。

 王宮に近い一等地に広大な敷地を所有し、その邸宅は王城と同等の歴史を持つらしい。

 門から邸へと続く道は見事な庭園が作りこまれていて、私は窓に張り付いて眺めてしまった。



 案内されたサロンはアンティークの家具が並び、どこか重厚感を感じさせる部屋だった。けれど、大きな窓から見える中庭と飾られた沢山の花によって華やかに演出されていた。

 私はお父様の隣に座って、目の前に座るティーナを見た。

久しぶりに会えたティーナは元気そうだ。

目が合ってにっこりと微笑みを向けられた。



「今日は招待に応じてくれた事を感謝する、子爵、ご令嬢。」


「いいえ、こちらこそお招きありがとうございます。改めて紹介します。娘のリルメリアです。」


「レブロン公爵様、夫人。初めまして、リルメリア・アルトです。よろしくお願いします。」


「リルメリア嬢、この度は娘が迷惑をかけた。しかしレブロン公爵家としては今回の件は好機と捉えている。全面的にアルト子爵家を支援するつもりだ。」

公爵は真っ直ぐに私達を見据え、後ろ盾になってくれることを約束してくれた。

一見冷淡そうに思えたが、忌憚ないレブロン公爵の言葉に、実直な人柄が伝わってきた。


「ふふ。ごめんなさいね。この人いつもこんな感じなの。ちょっと堅いのよね。」

夫人がもう耐えられないとでもいうように話に割り込んできた。


「リルメリアさんとお呼びしてもいいかしら?私のことはレイラと呼んでね。」


「はい、レイラ夫人」

美しい所作でお茶を飲む夫人は、王族の血を引く侯爵家のお姫様だったはず。

私は思わず背筋に力が入った。


「リルメリアさん。私もこの人もとても貴女に感謝しているの。貴女のおかげで公爵家の鉱山事業は更に発展していくわ。でもね、1番感謝しているのは貴女がティーナの苦しみを理解してくれたことよ。この子の苦しみは私達ではどうする事も出来なかったから。だからありがとう。ティーナの心を守ってくれて。」


「私は、ただ。出来ることをしたかっただけです。でもよく考えないで行動した結果、公爵様やお父様に多大な迷惑を掛けてしまいました。」


「大丈夫よ。子供を守るのは親の仕事だもの。この人も貴方には感謝しかしてないわ。ね?そうでしょう?」


「ああ。約束は必ず守る。君は何も心配する必要はない。」

公爵の鋭い眼差しの中に暖かな感情が見え、私は肩の力を抜いた。


「はい、ありがとうございます。」


「これからもティーナをよろしくね。」


「もちろんです。」

私はティーナに向かって満面の笑みを浮かべた。




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