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7-36

「待ってくれ!」

私達の会話が、ウィルの大声で中断される。



「絶対にダメだ!リルは、ダリア様とは戦わせない。貴方が何者なのかは知らない。でも、神に近しい存在なら分かるはずだ!ダリア様の力を。」

ウィルが必死にシロへ訴える。心なしか、ウィルの顔色が悪い。彼の額に滲む汗が、頬を伝って地面に落ちた。



「リル、ダリア様の本当の力は毒なんだ!」

振り向き様に、ウィルが私の両肩を掴んだ。



「毒?ウィル、毒ってどういうこと?」


「ダリア様は確かに、王族の血を引いている。だから表に出ている魔力は光属性だ。でも、それだけじゃない。ダリア様はもう一つ、毒の魔法が使える。」



毒魔法?

回復薬を作る要領で、植物から毒を作り出す魔法はある。けれど、何も無い所から毒物を生み出す魔法はない。

つまり、毒魔法は現状、存在しない。



「正確には、魔力に作用する毒だねぇー。リルちゃんへの対抗策として、世界が与えた力だよぉー。」

シロがツンツンと、私の足に触れていた。



「魔力に作用する毒!?魔法を無力化するということですか!?」


「それもあるけど、その毒は人の体のもっと深い所、魔力の核を蝕むんだぁー。そうなれば、人は魔力自体を失うことになるねぇー。」



そんな...。

魔法が使えなくなる毒なんて。

それを私の魔法は防げるの!?



「ダリア様は多分、初めからその力を持ってはいなかった。リルがアーレント王国を出た直後に、使えるようになったんだと思う。暫くして、毒魔法を操れるようになったダリア様は、婚約者を持つ令嬢にかけて遊び始めたんだ。」


「なんでそんな...。」



ああ、そうか...。魔力を失った令嬢が、婚約者に捨てられるよう仕向けたのね。

なんて酷い。



魔物の脅威に対抗するため、アーレント王国での貴族の結婚は、魔力が高い者同士の方が好ましいとされていた。

そのため、令嬢が理由も無く魔力を失ったとなると、体の欠陥を疑われる。令嬢のその後の結婚は、厳しいものになるだろう。

それを知っていて、ダリア様は毒魔法を使っていたのね。



「絶望に沈む令嬢を慰めながら、笑っているダリア様の姿は、今思い出すだけでも虫唾が走る。」

遠くを見つめるウィルの目には、はっきりと嫌悪が浮かんでいた。



「それでも、リルちゃん以外にアレは倒せない。世界はリルちゃんを排除するまで、アレに力を与え続けるよぉー。そして、多くの命が失われる。」


「他の人間なんて、どうでもいい!」


「ウィル?」


「人がどれだけ死のうが、不幸になろうが、リルが無事ならなんだっていい!」





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