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7-21

「ここが入り口だよぉー。」


「この絵が?」


「うん!この絵の額縁に、あの子が持ってた鍵が使われてるみたい!リルメリアちゃん、触って魔力流してみてぇー!それで開くはず!早く早く!」


シロに急かされて、私は言われた通り魔力を流す。

すると、額内の空間が歪んで水面のような波紋を作った。



「さあ、リルメリアちゃん。かつての聖女が作った神の空間へ、行ってらっしゃい。大丈夫。君ならきっと...。」


私だけに聞こえたシロの声を最後に、辺り一帯が光に包まれた。


転移とは違い、平衡感覚を失う程の空間の歪みは感じられない。私の体は、ただ心地良い温もりに包まれた。まるでシロと初めて会った泉の中のよう。


その温かさが、段々と消え、光も共に収まっていく。

光に眩んだ目が、初めに捉えたのは木の床だった。

私は気持ちを引き締め、周りを見渡す。そこは、静まり返った小さな教会で、人の気配は感じられなかった。



正面にある古びた祭壇に置かれた本が目に付く。

この本だけが、なぜか真新しい。

私はそっと、その本に手を伸ばした。




「ダメだ、リル!」

急に手を掴まれた私は、反射的に振り向く。



「何で!?どうして...。」


「私も、リルと一緒に行くよ。君だけを危険な目に遭わせられない。」

私の腕を掴んだウィルは、覚悟を秘めた瞳で私を見つめている。

私はその瞳に囚われて、目を逸らすことが出来なかった。



「メリアお嬢様を離せ!」

静かな空間に大きな声が響くと、ウィルの首元から、鈍い光を放つ剣先が見えた。



「おい!何やってんだよ!少し落ち着け!ああ、リルメリア、良かった。大丈夫だったか?」


「ライノルト、何度も同じ事を言わせないで下さい。女神様の前ですよ。その剣を仕舞いなさい。」


「何これ!?何これ!?転移じゃなかったよ!うわー、何だろ?」


「ふう、どうやら私も、無事に来られたようだね。」



目の前に、淡い光を放った人型が現れ、その輪郭が徐々にハッキリしてくる。


光は順に、ライ、デル、ゲイツ、ルーイ先生、アルバス様を形作った。すると静かだった空間が、一気に騒がしくなる。

そして、その6人はすぐに、意味深な視線をぶつけ合い始めた。



なぜだかみんな仲が悪いし、空気が重い。


私はソロリと彼らの囲いを抜け出した。



あれ?シロの姿がない。あんなに行きたがっていたのに。逸れてしまったのかしら?



私が内心首を傾げていると、ピコンと、酷く懐かしい電子音が聞こえた。

音の方へ向くと、祭壇にあった本が光っている。その上には、ゲームでお馴染みのウインドウが表示されていた。


そこに現れた言葉に、私は思わず半眼になる。

私は、この場に響き渡るような大きな溜息を一つ吐いた。



素敵なコメントありがとうございます(*゜▽゜*)誤字報告感謝です╰(*´︶`*)╯♡

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