2-12
「今日の昼食は私もご一緒してもいいかしら?」
午前の授業を終え、片付けをしていると、アルベルティーナ様が恥ずかしそうに話しかけてきた。
「は、はい。もちろん!もちろんです!」
リズベルが声を裏返しながら答えている。顔も真っ赤だ。
「アルベルティーナ様、嬉しいです。みんなで食べましょう。」
「あっ!このサンドウィッチ美味しい。」
今日の日替わりサンドウィッチは肉厚のベーコンが挟んであって美味しい。つい声に出してしまった。
「それちょっと悩んだんだよね。明日はサンドウィッチにしようかな。」
「ウィル、私の半分食べる?」
「じゃあ僕のパスタもあげる。エビが美味しかったよ。」
「本当?食べたい。」
隣に座るウィルが私用にパスタを取り分けてくれた。
「ねえ。前から思っていたのだけれど、リルメリア様とリングドン様って婚約なさっているの?」
「え?」
ウィルが婚約者?
「あー。二人っていつもこんな感じだから気にしなくていいぞー。」
ロイドの言葉に顔が熱くなる。私達ってそう見られていたの?
ウィルを見ると全く気にせず微笑んでいた。なぜ私だけ。
「アルベルティーナ様、私達は婚約なんてしてないですよ。学院に入る前からの友達なんです。だから仲良く見えるんですよ。」
赤い顔を隠して何とか否定する。ウィルも何か言って欲しい。
「それって、今は、だろ。」
ロイドが何か言ったような気がしたけれど、よく聞き取れなかった。
「そうだ、みんな!私これから3週間、午後は家に帰ることにしたの。家で魔法の研究をしようと思って。」
食後の閑談中、私は今後の予定をみんなに話した。
「自主の時間は研究することにしたの?」
「うん。やりがいのある事を見つけたの。完成したらウィルにも見てほしいな。」
ウィルが応援してくれたら頑張れる。
「リルメリア様、私も子爵家に行ってもいいかしら?」
「もちろん!アルベルティーナ様も手伝ってくださいね。」
「え?レブロン嬢と?リル、どういうこと?」
少しだけウィルの表情が鋭く変わった気がする。なんだろう。
「リルメリア様は、先日私の相談事を聞いてくれたんです。」
アルベルティーナ様は我が家に来た時の事を簡略的に説明した。
「へえ。僕もまだ招待されてないのに。じゃあ僕も行ってもいいよね?リルの先生にも会いたいし。」
ウィルがちょっと怖い。私は首を縦に振ることしか出来なかった。
「リル。私も休みの日にリルを寮に招待していい?」
左側に座っているリズベルが私の左袖を引いた。上目遣いが可愛い。
「ずるいぞリズベル!じゃあさ。今度みんなで遊びに行こうぜ!」
ロイドの提案に無口なニルフも頷いている。
みんなで遊びに行けるんだ!
「リルは何がしたい?」
横を向くとウィルが首を傾げながら優しい笑顔で聞いてきた。
「私、みんなで王都に遊びに行きたいな。」
「いいね!じゃあアルトが今やってる事が終わったら遊びに行こうぜ。」
楽しみなことが出来た。何が何でも3週間で結界魔法を完成させよう。
みんなで笑って休日を過ごせるように。




