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6-15

魔力の壁によって隔たれていた空間が繋がり、草花の香りが目的地に着いた事を知らせてくれた。

転移が無事に完了した安堵感は、毎回不思議な高揚を私に齎す。



「みんな、本当にお疲れ様。私の我儘に付き合ってくれてありがとう。ゆっくり体を休めてね。」

私は心を込めて、一人一人に労いの言葉を掛けた。




「ああ、戻ったか。ご苦労だったな。」


「リルメリア様、お疲れ様でーす!」

ゆったりと歩くレーグ様とは対照的に、ノルンが手を振りながらこちらにやって来た。

この二人にも沢山の無理を言ってしまった。本当に感謝しています。



「詳しい報告は部屋で聞こう。頑張ったな、リルメリア。」

心に染み渡る温かい言葉と優しい手が、私に残る苦しい記憶を溶かしていく。



「はい!ただ今戻りました!」


「「「お帰り(なさい)。」」」



大好きなみんなの「お帰り」が、私を出迎えてくれた。







「そうか。では、サンクティーは大分、世界に出回ってしまったな。」


「はい。でも、あの花は魔力によって咲く花。育つ場所は限られます。」




護衛してくれたみんなを無理矢理休ませ、私とレーグ様は今、額を突き合わせて世界地図を眺めている。

その横では、ノルンがせっせとアズバンド王国から持ち帰った資料を並べていた。





「お邪魔するよー!」

ノックもせずに部屋へ侵入してきたルーイ先生は、私の隣に腰を下ろした。



「先生、お父様とのお話は終わったんですか?」


「うん!今回の報酬、ガッポリ頂きました!未来のギルドメンバーも増やせたしねー。大満足だよー!それで?そっちの話は纏った?」


うーん。

思った以上に、サンクティーは広まってしまった。

このまま放置すれば、第二のオーレリー王妃が現れるだろう。



「私、サンクティーを回収しに行こうと思います。正しい使い方が出来るようになるまで、この花は私が管理します。」

サンクティーを作った異世界人の願いのためにも、このまま全てを処分したくない。



「じゃあ僕も参加しよー。色んな国を回りながらスカウトも出来るしね!楽しそう!報酬はよろしくね、リルちゃん!」


「はい!お金は任せて下さい!」


「やったー!ついでに、アーレントも偵察してくるよ。なんか面白い事始めたんでしょ?」


「ああ、それは私も聞きたかった。」


二人でニヤニヤしている所に、レーグ様も入ってきた。さり気なくノルンも聞き耳を立てている。



「ふふ、実はディナータ侯爵領に経済封鎖を仕掛けたんです。」


「「経済封鎖?」」


「はい。ディナータ領と取引していた商会を買収して侯爵との契約を破棄させました。噂も色々流しています。ディナータ侯爵家が領地を維持出来なくなるまで後少しですね!」


にっこり笑った私に、三人の顔が引き攣っていた。



「怖っ!僕らの聖女様が腹黒い‼︎」

書類が崩れた音と、ノルンの叫び声が部屋に響いた。





「ですが、そんなメリアお嬢様も素敵です。」


「だな、俺もとことん付き合うぜ。」


「「もちろん、私達も。」」


「女神様を支えるのは、私の使命です。」



みんな...。

いつの間にかドアが開いていて、みんなの顔が覗いていた。



「僕が来る前から、この子達、揃って廊下にいたよー。リルちゃん、大人気!」



「みんな、ありがとう!沢山迷惑を掛けると思うけど、よろしくね!」



私は、大好きなみんなの下へ駆け出した。











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