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2-11

 今日はアルベルティーナ様が我が家にいらっしゃる日。公爵家のお姫様が来ると朝から子爵家は大忙しだ。

なにしろ今まで友達がいなかった私は、我が家に人を招待したことがない。

だからか、みんなの気合いの入り方が違う。

私は邪魔にならないよう自分の部屋で大人しくしていた。


 

 

 午後、アルベルティーナ様は真っ赤な薔薇のようなドレスで我が家にやってきた。

ドレス姿も本当に素敵だ。

お父様と一緒にアルベルティーナ様を迎える。


「今日はご招待ありがとうございます、アルト子爵様、リルメリア様。」


「久しぶりだね、レブロン嬢。すっかり素敵なレディだ。今日はゆっくりしていきなさい。」

そう言ってお父様は仕事へと戻って行った。



 今日のことは、お父様にもお話してある。だからお父様はここまで。

これ以上お父様が関わると、レブロン家とアルト家が関わる話になってしまう。

今日はあくまでお友達同士の悩み相談だ。

 




「アルベルティーナ様、ご紹介しますね。私の魔法学の先生のリヴァン先生です。」

アルベルティーナ様を自室に招待し、私の横に座るリヴァン先生を紹介した。


「初めまして、レブロン嬢。今日はよろしくね。さて、話はリルちゃんに聞いたよ。結論から言って属性転化を元に戻すのは無理だ。あれは、成長過程みたいなものでね。誰にも止められないし、変えられない。その人にとって必要なものなんだ。」


「そうですか。」

アルベルティーナ様は真っ直ぐ前を向いて先生の話を聞いていた。


「でもね。魔鉱山の魔力汚染の問題なら他にも解決方法はあるんじゃないかなって思うんだ。」


「え?本当ですか?」


「うん。今って闇魔法の結界を使って採掘してるんだよね?」


「はい、レブロン家の魔法士が採掘者一人一人に結界魔法を掛けています。ですが、闇属性を扱える魔法士は多くありません。何度も結界魔法を掛け直す余裕も無く、事故が絶えません。」



「リルちゃんならどうする?」

リヴァン先生に急に話を振られた。


「先生、闇魔法の魔道具化は難しいんですよね?」


 6属性の内、光と闇の属性魔力は扱いが難しく、魔道具化することができる魔道具士は極端に少ない。

そのため闇魔法の魔道具化が出来ても、量産する事が出来ない。



「リルちゃん、闇属性以外で結界魔法を生み出せばいいんじゃない?」

先生は悪戯を思いついたような無邪気な顔をこちらに向けた。



「先生、それやってみたいです。」


「リルメリア様、そんなこと本当に可能なのでしょうか。」



「アルベルティーナ様、絶対成功させてみせます!待っていてください!」


「リルメリア様、ありがとうございます。私もぜひ、お手伝いさせてください。」


「アルベルティーナ様、成功したらお祝いのお茶会をしましょうね。私、お茶会を主催したことがなくって。ぜひ来て欲しいです。」


「ふふ。リルメリア様、逆ですわ。私がお礼のお茶会に招待しなくては。ぜひその時はおもてなしさせてください。」

アルベルティーナ様の笑顔は可愛らしい花の妖精のようだった。



「リルちゃん。これから毎日研究だね!」


「はーい。」

リヴァン先生もやる気十分のようだった。




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