5-13
「ライ、アリア!それに、ロバートとローズも!皆んな来てくれたのね!」
「俺もいるぞ、リルメリア。久しぶりだな。」
「デル!」
私が皆んなに手を伸ばすと、ギュッと強く握り返してくれた。
歓喜に溢れた私の執務室が、以前のアルト家に戻ったように感じられた。
「ゴホン!」
皆んなに会えた喜びに浸っていると、アイゼン司祭の咳払いが聞こえた。
その横で、ノルンが済まなそうに苦笑いを浮かべている。
「聖女様の御前ですぞ。先ずは礼を尽くしてくだされ。」
アイゼン司祭の言葉に、皆んなが私の前に跪く。
「聖女様、ぜひ、我らをお側に。この命尽きるまで聖女様のお力になると誓います。」
誠実過ぎる口上が、私の心を酷く揺さぶった。
皆んなが私に頭を下げているのに、一線を引かれているのに、それでも私は嬉しいと思ってしまった。
これからも皆んなと一緒にいられることが、幸せだと。
「うん。皆んな、よろしくね!」
「「「はい!」」」
シロが私の足元に擦り寄ってきた。一緒に喜んでくれているようだ。
ここから、これからだ。
執務室から見える中央教会の正門の外には、今日も馬車の列が見える。
私がいる中央教会に入る事が出来るのは、私が選んだ人達のみ。
その他の人は、例え一国の王であっても違う場所に滞在してもらう。
ティリウス聖王国の聖都では、各地に赴任している聖職者が定期的にやって来る。そのため、貴賓用の離れや宿泊施設は沢山あるのだ。押しかけてきた人達には、そちらで十分。
「本日も凄い数の面会希望が届いています。ですが、リルメリア様のご指示通り全て断っております。」
「ありがとう、ローズ。そう言えば、今日の護衛は貴女だけなのね。ライは?」
いつも張り付いているライがいない。珍しい。
「はい。その、ライはリルメリア様から離れたくないとゴネたんですが、ロバートと共に新しい制服を取りに行かせました。」
「出来たのね!お披露目前に全員分の制服が間に合って良かったわ。皆んなもよく似合ってる!」
ローズの純白の騎士服姿が麗しくってドキドキする。無理を言って白にしてもらって良かった!本当に良かった!
ラナとネルのフリルが付いた白のエプロン姿も可愛らしい。
聖王国の聖職者で白を纏えるのは、聖女、聖人そして司祭長のみだ。
そこを何とかお願いして、いや、ほぼ脅して、私の側近の制服には白を使えるようにしてもらった。
私を守る聖騎士となったロバート、ローズ、ライは、白で作り替えた聖騎士の制服を着る。
デルとアリアには、薬師用の白いマントを用意した。
彼らが私の側近なのだと一目で分かるように。
うんうん、大満足の仕上がりだ。
これでいつでも戦える。
私はこれから始まる戦いに、気を引き締めた。




