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5-11

「お疲れ様でした、聖女リルメリア様。やー、神獣様までお連れになるなんて、さすがリルメリア様!今後が楽しみです。私、一生付いて行きますね!」

大興奮で私達を出迎えたノルンは、直ぐさまソファに座る狐の前に陣取った。狐に興味津々のようで、今まで以上に目が輝いている。



「これから各国への通達は私が行う。聖女の披露については、アイゼンが主導することになるだろう。ノルン、貴方にはアイゼンの補佐を任せる。序でに、その神獣の存在も大々的に広めてやれ。」



「「えーー!」」

猊下の指示を、ノルンと狐が揃えたように首を振って拒否する。



「猊下!アイゼン師匠と同じ仕事は勘弁してください!私、死んじゃいますよー!」


「私だって、恥ずかしいからやだぁー。理花、じゃなかった。リルメリアちゃーん、助けてぇー。」


この2人、種族は全く違うのに、雰囲気がそっくり。実は兄弟?



「リルメリアちゃん、私に弟はいないよぉ!」

真面目な顔で否定していますが、見た目では狐さんが可愛い弟ですよ?




「2人とも、これは決定事項だ。リルメリアも覚悟しておけ。」


「分かりました、猊下。」

うん、こうなったら腹を括ろう。嫌だけど頑張るしかない。


受け入れた私とは反対に、似た者同士の2人はすっかり項垂れてしまった。




「ところでリルメリア、いつまで私を猊下と呼ぶつもりだ?そろそろ私を敬称で呼ぶのは止めろ。そうだな、レーグはどうだ?」



え!?



「レーゲンビリアかぁ。数代前の聖女の伴侶と同じ名前だねぇ。あの子も良い子だったよぉ。レーグかぁ。良い名前!呼んであげなよぉ、リルメリアちゃん。」


うーん、レーグかぁ。ちょっと私には恐れ多い。レーグ様でもいいかな?



「いいぞ。だが、貴女は早めに聖王としての自覚を持つことだな。」



「はい...」


聖女としての、異世界人としての役割は、神との会話の中で納得したし、覚悟も出来た。

でも、私が聖王だなんて...

正直に言って、こちらはあまり自信がない。



「そう言えば!神獣様のお名前は何とおっしゃるんですか?」



あ!


私と狐は、お互い顔を見合わせた。




「シ、シロかな。」


「え!?ちょっとリルメリアちゃん!」


でも、でも、狐さんの名前、私には分からないじゃないですか!


私は心の中で必死に訴える。




「そうか、覚えやすくて良いな。では、シロ。貴方はこれから、常にリルメリアと行動を共にするだろう。リルメリアを頼むぞ。」


レーグ様が狐の前に跪いて、諭すように話すと、狐も仕方なさそうに受け入れていた。




「狐さん、名前が分かったらすぐに訂正しますから、今は我慢してください。一緒に世界のために頑張りましょう!」

私が声を潜めて狐に話し掛けると、小さな頷きが返ってきた。



「で、では、レーグ様。シロ共々よろしくお願いします。」


「ああ、よろしく頼む、聖女リルメリア、神獣シロ。」


「私もよろしくお願いしまーす!」


2人の温かい歓迎に、これからの不安が少し薄れたような気がした。

心なしかシロの尻尾も揺れていた。










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