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「アーレント王国で、私は不思議な魔法に触れました。あれは異世界人の魔法だったのですね。」
「うん。あの国は、数百年前に連れてきた異世界の子の影響を強く受けているねぇ。あの子も斬新な変化を、世界に齎してくれたよぉ。人の命を脅かす敵がいれば、危機感抱いて自ら変わるでしょって、魔物を作ったんだぁ。あの国の下には、あの子が作った魔物を生み出すダンジョンがあるんだよぉ。」
え?
「そんな...あの魔物のせいでどれだけの人が被害に遭ったか...」
親を失った子供、住む場所を追われた家族、怪我を負って働けなくなった父親。
招火の儀で辺境地を回って、沢山の悲しい現況を知った。
それが、そんなものが、神の望んだ世界の変化だなんて!
「今すぐ止める方法はないのですか?悲劇しか生まない魔法なんて、世界には必要ありません!」
「でも、あれは劇的な世界の変化に繋がったよぉ?人は新たなコミュニティを作り、組織を形成して、国同士で連携を取り始めた。商会やギルドが生まれたきっかけになったんだぁ。理花ちゃん、人はねぇ、優しい恩恵にはすぐ慣れちゃうんだよぉ。だから時には災厄の方が、自らの力を発揮出来るんだぁ。私はねぇ、どっちでもいいんだよぉ。世界のためならねぇ。」
この可愛い狐が、本当に神様なんだと理解した。
慈悲も非情も持ち合わせた、人とは違う存在。
私達とは、かけ離れた孤高の存在なのだと。
「理花ちゃん、君にやってもらいたいことは難しいことじゃないよぉ。ただ、この世界に生きる命のために、良くも悪くも変化を起こしてくれればいい。命が進歩し続ければ、世界は維持されるからねぇ。」
そんなの、そんなこと私に出来るの?
今まで好き勝手に魔法を使ってきた私に?
私は自分の魔法による悲劇的な結果を受け止められるの?
「うーん、そうかなぁ。君が生み出した新しい魔道具、あの魔道具は、人を、世界を変えてくれたよぉ。君が齎すものは、どれも優しい変化だったねぇ。」
「でも、アーレント王国では否定されてしまいましたよ。」
皮肉を込めた否定的な言葉が、私の口から飛び出す。
「勝手に連れてこられて、世界を救ってくれなんて。しかも私は生国に拒絶されたんです。そんな私に何が出来るって言うんですか?」
そもそもどうして私なの?
強い魂?私が?
私は強くなんてない。
それは私が一番良く分かっている。
「そんな事ないよぉ。私にはちゃんと届いたんだからぁ。理花ちゃんの強い最後の思いがねぇ。」
私の最後の、願い。
それは...
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メリークリスマス




