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リヴァン先生との特訓で融合魔法のスピード化を成功させた私は、無属性魔法についてルーイ先生にどう説明すればいいのか悩んでいた。
「ルーイ先生がお休みですか?」
朝、いつものように教室へ行くとバリー先生に、ルーイ先生が急遽3週間ほど学院を休むことを聞かされた。
「リルメリアさんは、その間の午後の授業は自習ということになりますね。何か希望はありますか?」
3週間も何をしよう。
「何をするかは少し考えてみます。今日は図書室に行ってもいいですか?」
「もちろん大丈夫ですよ。何かあったら言ってください。」
「はい先生。ありがとうございます。」
席に着いて準備を始めると、まもなく今日の授業が始まった。
「え?演習?」
午前の授業を終え、ウィル、リズベル、ロイド、ニルフといつも通り食堂で昼食を食べていると魔法の実技授業の話になった。
意外にもリズベルは火属性が強く、攻撃魔法が得意らしい。いつもおっとりニコニコしているリズベルが炎で攻撃している姿なんて想像出来ない。
「うん。少し先なんだけど、先輩達と演習に行くことになったの。3日間ぐらい学院には来られないから、あとで、基礎学のノート見せてくれないかな?」
「分かった。もちろんいいよ。でもリズベル演習気を付けて行ってきてね。」
「うん。頑張ってくるね」
嬉しそうに笑ったリズベルが可愛い。
「皆んなは魔法の実技は順調?先生はどんな方なの?」
「俺達も順調順調。その内俺らも演習に行けるはずだ!な!ニルフ!」
ロイドの問いかけにニルフが頷く。
「ロイドとニルフは水属性が強いんだっけ?」
「俺はそうだけど、ニルフは氷だな。昔っから二人で連携するやり方が得意。」
ふと2人の赤い髪を見て、髪色と属性はあんまり関係無いんだなと思った。
「ウィルは順調?演習の予定はあるの?」
「うん、頑張ってるよ。中々やり甲斐もあるしね。そう言えば、この後リルはどうするのか決めた?自主なんでしょ?」
ウィルに何だか、少しはぐらかされた気がする。そんなに自分の属性を教えたくないのかな。
「うん。今日は図書室で本でも読もうかなって。」
「そっか。じゃあ終わったら迎えに行くね。」
そう言ってウィルは私の髪先に触れた。
ここ最近、ウィルの私に対する仕草が甘くなっている気がする。
いつまでも耐性の付かない私は赤い顔を下に向けることしか出来なかった。
そんな私達を皆んなは見て見ぬふりをしてくれた。
 




